Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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今更ですがちゃんとした人型以外が喋る時は句読点やクエスチョンマーク、エクスクラメーションマークはつけてません。(今のところ)
原作準拠の喋りをさせてます。原作がそこら辺を着けてきたらまた考えます。



では、どうぞ。


お使い

「ッッッッッ────────!!」

 

 

黒い手に触れた瞬間、俺は急に全身に強い鋭痛に襲われる。まるで内臓をちぎり取られたような感覚。あまりの痛さにその場に蹲ってしまいそうになる。

 

 

「───お兄さん?大丈夫?」

 

 

イヴちゃんの声が聞こえる。ここで倒れてはダメだ。彼女が進むことに怖気付いてしまうかもしれない。しかし“彼女は必ずここから脱出させなければならない”。そうしなければいけない気がする。

彼女の声のおかげで痛み以外の思考が動き始める。それと同時に倒れゆく俺の体を、そうはさせまいと全身で踏ん張る。少しでも心配をかけないように。

 

踏ん張るタイミングが遅かったのか少しふらついてしまったが、倒れていないだけまだマシだろう。そんなことに多少安堵しつつイヴちゃんに向き直る。

 

 

「あはは……ちょっとふらっとしちゃった。でも俺はこの通り元気だよ。」

 

「本当に……?」

 

「もちろん。嘘はつかないよ。」

 

 

もちろん嘘だ。さっきの鋭痛が少しだけ残っていて顔を顰めそうになる。でも顰めた顔を見たイヴちゃんが怖がるかもしれない。なんてことを思うと不思議と笑顔でいられた。

……自分はロリコンではないことを祈りたい。きっと子供が好きなだけだ。そうに違いない。

 

 

「それよりも、薔薇はどうかな?なにか変化はあった?」

 

「え?あ!お兄さんの薔薇の花びらが減ってるよ!」

 

「────なるほどねぇ?あの言葉はそういうことか。」

 

 

どうやら、薔薇と命は一心同体(あの言葉)は文字通りらしい。ならこの花弁が全て散ってしまったら何が起こるのか。そんなことを想像するのは難くない。ならば、できる限り俺が盾となってイヴちゃんを護らなければいけないということになる。こんな痛みを小学生に与えてしまっては、高校生(大人)の名折れだろう。

 

 

「イヴちゃん。この手には絶対に触らないでね。」

 

「なんで?」

 

「どうやらこの手は誰でも人を攫ってしまう悪い手らしい。俺も今引っ張られたからよろけちゃったんだ。」

 

「そうなの?わかった!」

 

 

流石にイヴちゃんに本当の事を言うのは憚られる。なので少し暈して伝えることにした。取り敢えずこれでこいつには注意してくれるだろう。

 

 

「さて、あと少しだけ聞けばまた曲がるところがあるっぽいから行ってみよっか。まだ背中についてきてね。」

 

「うん!」

 

 

この道はすごく短いとはいえまだ歩き始めて数歩しか来てないところで止まってしまった。この調子ならまだこの黒い手は出てくるだろう。少なくとも1回は。ならば用心しておくに越したことはない。“備えあれば憂いなし”だ。

 

 

「じゃあゆっくり歩くからスピード合わせてね。」

 

「はーい!」

 

 

なんだか本当に小学校の先生か親になった気分になる。イヴちゃんは本当にいい子だ。この子の親御さんはさぞかし優しくも厳しい、しっかりとした大人の方なのだろう。

1歩1歩ゆっくり、しかし着実に前へと進みながらそんなこと思っていた。

 

─────

 

あの後、2回黒い手が出てきた。曲がり角に差しかかるまでテンションを張っていたせいか、右側の壁が途切れた時についほっと一息ついてしまった。そう、気を緩んでしまったのだ。

右前に見えた蟻の絵画を確認するために1歩を踏み出した次の瞬間、目の前から黒い手がずるりとこちらへ向かってきた。もう新しく来ることは無いだろうと高を括っていた矢先にこの出来事が起こったもので、俺は柄にもなく驚いてしまった。そこを後ろにいたイヴちゃんに見られてしまい、俺は恥ずかしくてたまらなくなっていた。

 

 

「蟻の絵があったね。」

 

「そうだね。怖がりなお兄さん。」

 

「あー……そのことは忘れて貰えると嬉しいなぁ……なんて。」

 

「うーん。難しいかな!ひょぉおおああああいいい!!なんて言ってて面白かったもん!」

 

 

悪意なき暴力とはこのことなのだろうか。俺のメンタルがイヴちゃんの手によってズタボロにされていく。

正直穴があるならそこに入って引きこもりたい。いや、もういっそ貝にでもなってしまいたい。それくらいに恥ずかしかった。そんな傷口にイヴちゃんは容赦なく笑顔で塩を塗りたくってくるのだ。

もうここまで来ると怒りと言うよりも悲しみの方が強いのだろう。ネガティヴ思考に落ちそうになるのを頑張って持ち上げる。

 

「これ以上その話をされちゃうと俺泣いちゃうなー。イヴちゃんとお話したく無くなっちゃうなー。」

 

「え〜!なんで〜!」

 

「なんでも。じゃあ蟻の絵を持ち運べるか確認するから少し離れてね。」

 

「ぶー!お兄さんのケチー!」

 

「ケチで結構。……お、外れそうだな。」

 

 

イヴちゃんの言ってることを話半分に聞きながら俺は蟻の絵を外す。絵は少し大きいが、重さはそんなになく持つところをしっかりとしているのでもしかしたらイヴちゃんでも持てるかもしれない。まぁ危ないから持たせないが。

まぁそんなこんなで俺は蟻の絵を手に入れたので、イヴちゃんが約束していた蟻にこの絵を見せに行こう。

 

 

 

 

あの黒い手ゾーンを何とか抜けて蟻の所へと戻ってきた。仕方ないと思えばいいのか面倒だと思えばいいのか。蟻を見つけるのは手間がかかる。元々細々とした作業自体苦手だし今は絵画を持っていることだ。イヴちゃんが見つけてくれるだろう。なんてことを思いながらさも探していますという雰囲気を出しながら足下を見回す。どうやら俺の近くにはいないらしい。なんてちょっとした茶番の様だなんて思っていると、やはりイヴちゃんが蟻を見つける。

 

 

「はいっ!持ってきたよ!」

 

「あ それ ぼくの 絵」

 

「そうだよ!頑張ってとってきたんだ!」

 

「やっぱり かっこいい」

 

「うっとり」

 

 

最初に会った時から思っていたがこの、蟻はナルシストなのだろう。それか自分を大分美化して書いてもらったからか。どちらにせよ蟻の願いは叶えたわけだ。さて、そろそろこの部屋の完全攻略をしようか。




内臓をちぎられる感覚ってどんな感じなんでしょうね?
私は味わいたくないですけど。

イヴちゃん幼女化が進むんじゃ^〜
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