Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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あと少し……あと少しで次のフロア……私、頑張ります。


かくれんぼ

取り敢えず真ん中の部屋に戻ってきた俺達は左側の部屋へと繋がっている扉の前に立ちじっと前を見据えながら考える。この先がイヴちゃんの言っていた嫌な予感のする部屋なのだが、それを聞いたせいなのか俺も嫌な予感がしてきた気がする。しかしこれはきっと思い込みだろう。そう思い込むしかない。

 

まぁここでじっとしていても何も事態は変わらないので部屋に入ってみることに。きっとまだいきなり襲われるようなことは無いはずだ。

 

 

「イヴちゃん。そろそろ行こうか。」

 

「うん……。手をつないでもいい?少しこわいの。」

 

「いいよ。もし中に行ってきつそうならすぐに言ってね。部屋から出るから。」

 

「分かった……。」

 

 

そういうとイヴちゃんは俺の方におずおずと手を出す。それを握ってあげると少しイヴちゃんの手が冷たいことに気づく。ただ単純に寒かったのか。それとも極度の緊張状態なのか。おそらく緊張状態であることは察しているのだが、もし寒いのであれば今来ている上着を貸すくらいならできるであろう。しかし生地があまり厚くないので少し心許ないだろうか。

 

 

「お兄さん……?行かないの?」

 

「ん?あぁ、行こうか。その前に寒くない?大丈夫?」

 

「……?大丈夫、寒くないよ。どうして?」

 

「んー。手が冷たいから心配になっちゃってさ。寒く感じたら俺の上着くらいなら貸すからすぐ言ってね。」

 

「うんわかった。すぐ言うね。」

 

 

やはりあまりここに長居してもいいことは無さそうだ。そう思い俺は扉のノブに手を掛ける。イヴちゃんを気にかけつつ俺は扉をゆっくりと開いた─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉の先にはなにやらカーテンで何か隠されている壁が幾つかある。しかし手前の壁にはカーテンがなく、棒人間が描かれているだけだった。そして左奥の部屋の壁には何やら魚の頭と尾の真ん中を切り分けようとしている絵がある。あれが何かをすれば絵から出てくるのだろうか。……いや、もう少し現実を見た方がいいのか?そもそも絵から物体が出てくるなんてありえない。こんな世界で外の常識を持ってきたところで通用しないのは何となくわかっているが、絵からものが出るなんて流石にないだろうと思いたい。

 

 

「それじゃあこの部屋も少し見て回ってみるか。イヴちゃん行けそう?」

 

「うん……。がんばる……。」

 

 

なんだか嫌なことを無理やりやらせている気分になるがこれは致し方ないと思う。この部屋の謎を解決しないとこの美術館から出られないかもしれないのだから。

そんなことを思いつつゆっくりと歩き出す。まずはカーテンのかかっている壁から見てみようと思い、まっすぐ歩き出すと棒人間の絵の前を通り過ぎたその瞬間にパシャンと液体が何かにかかった音がする。ふと辺りを見回すと某人間の真下に何やら先程はなかった文章が。

 

 

“かくれんぼ する?”

 

 

その文章を読んだ次の瞬間、走り去って行くかのような音とともに棒人間は姿を(くら)ます。しっかりとは見えないがカーテンの下にはボタンのようなものがあるように見えなくもない。

ならばどこかのカーテンの下に棒人間(あいつ)はいるのだろう。俺の運がないことはこのクソみたいな世界に来ている時点で証明されているだろう。そんな俺がこんな運要素しかないものに挑戦したところで全て開くまで終わりませんでしたみたいなオチになるだろう。それならばこの部屋に嫌な予感を感じていたイヴちゃんに最終決定権を持っていてもらった方がいいかもしれない。俺には無い第六感(シックスセンス)を信じてみるのも大切だろう。ゲームでそうだったから間違いない。だがそんなことよりもイヴちゃんに聞きたいことがある。

 

 

「イヴちゃん。この部屋の中で一番嫌な感じのするとこって何処かな?」

 

「……あそこ。あそこはいやだ。」

 

「怖いとかじゃなくて嫌だ?」

 

「うん。あそこだけはなんでか分からないけどいやだ。」

 

「わかった。じゃああそこの前は極力通らないようにしようか。」

 

 

イヴちゃんが指を刺したのは俺たちの斜め左後ろの壁。恐らくあそこにもカーテンがかかっているのだろうと思われる。となるとあそこにはイヴちゃんにとって良くないものが飾ってあるのだろう。ならばあまり近づかないよう気をつけながら他の場所のカーテンを開ける他ないだろう。ならばまずはこちらの棒人間のいた壁の横のところのカーテンから開けていこうと隣の壁へ移動する。

 

 

「イヴちゃん、ここ開けるけど大丈夫?」

 

「ここなら大丈夫……だと思う。」

 

「じゃあ開けよっか。」

 

 

俺はそう言うとボタンへと手を伸ばす。人差し指がボタンを押したその時、カーテンがひとりでに開き出す。そこに描かれていたのは────

 

 

 

 

 

どこか分からないところで力なく倒れている俺の姿だった。

 




ちなみに元々ここはBGMが無くなる絵画が飾ってありました。
流石に探索中に音楽が流れているわけが無いのでそれの代わりに主人公の絵を置けばいいじゃないということで置いてみましたがあのイヴちゃんをどう表せばいいのかわからなくなりまして……。

なので主人公には力尽きてもらいました。仕方ないよね(๑>؂•̀๑)
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