Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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お待たせしました!少しだけ予定より投稿が遅れましたが無事書き終わりました!

今回の文字数……9277文字!いやぁそりゃあ時間かかりますわ(笑)今までの最高文字数が確か4000文字くらいだと思うので軽く倍以上は書いてますね。

今回の主役はイヴちゃん!……と言いたいところですが、なんだかみんなキャラが立ってしまいました。普段イヴちゃんしか書いていない反動ですね(笑)

今回のことを踏まえまして一応次の暦もイヴちゃん主体で書きたいなと思ってますのでお楽しみに!


では前起きはこのくらいにして!









では、どうぞ。


閑話:バレンタインif

バレンタインデー。それは世の女性たちが好意の持つ男性に、又は仲の良い友達などにチョコレートを贈る日とされている。それに伴って、日本では「1年の内最もチョコレートが売れる日」ともされている……らしい。しかし諸外国では男性が女性に花束やアクセサリーなどのプレゼントを贈ることの方が多いらしく、お返しも同日にしてしまうことからホワイトデーなんてものも無いそうだ。

 

なんて特別な人(恋人という存在)に無縁な男が愛の日について語ったところでお前が言うな状態なのだが、そんな俺に相談をもちかけてきた人がここに1人─────。

 

 

「お兄さん……。バレンタインに何送ったらいいかな?」

 

「えー。それ俺に聞く?チョコとかクッキーとかみんなで分け合えるものがいいんじゃない?ってことしか俺からは言えないよ?」

 

「そっかー。ニホンジンなら何かすごいものを渡しあってそうだなって思ったんだけどなぁ……。」

 

「うーん日本人に対する偏見が凄い。と言うか誰に贈るの?其れによって助言も変わるんだけど。」

 

「……ギャリーとメアリー。いつもお世話になってるから何か贈りたいなって。」

 

「ほーん?なら心のこもったものならなんでも喜んでくれそうだがねぇ……。」

 

 

バレンタインデーが近くまで迫っていたある日、イヴは俺の元を訪ねてきていた。どうやらイヴはあの二人に対して贈り物を考えているようだが思いつかないらしい。……ナチュラルに俺が省かれていることは気にしないでおこう。きっと俺本人に聞かないように予めギャリーとかに助言してもらっているんだろう。というかそう信じさせて。

 

話が逸れた(閑話休題)。俺に考えられる贈り物は手作りのお菓子とか安物でいいのでペアルックのアクセサリーとかだろう。特にメアリーなんかは髪の毛が長いのでイヴとお揃いの髪留めなんか良さそうではないか。それにギャリーには同じようなアクセントのついたネクタイピンか、少し値は張るが普段使いできて長持ちする万年筆の様なものを贈れば喜ばれるのではなかろうか。

 

 

「イヴはどういう物贈ろうと思ってる?後は……予算とかも聞いとかないと。」

 

「う〜ん。やっぱり喜んでくれる物がいいな。あとはやっぱり花束とか!」

 

「あー花束か。全く思いつかなかったわ。普段使い出来るものしか頭になかった。」

 

「も〜!ロマンがないなぁ。だからモテないんだよ。ギャリーも言ってたよ。『ヒロトシはいつになったら良い人と巡り会うのかしら』って!」

 

「うぐっ。別にいいだろ。みんなに迷惑かけてる訳じゃないし。それに彼女なんて作ったら今以上に遊べなくなるぞ。」

 

 

そんな苦し紛れな言い訳を、俺は9つも年の離れた女の子へ言い放つ。尤も、俺自身彼女を作る気が無いのはクリスマスから変わってなくそれよりもイヴとギャリー、そしてメアリーと遊んでいる時の方が有意義な時間に感じるのだ。それなのになぜ彼女なんて作る必要があるのか。なんてこの間ギャリーに彼女の有無を聞かれた時から考えていた。

しかしこうも責め立てるかのごとく言われてしまうとなんだか作らないのが悪いように感じてくる。

 

 

「って言うか、そんなこと言うイヴは誰かいい人はいないのか?まあまだ早いかもしれないけど。」

 

「えっ!?えっとぉ……そのぉ……。いない……かな?」

 

「……え?…………あぁ!ふーんそっかー。イヴにも春が来たのか。誰々?俺の知ってる人?」

 

「えっと、その……。ひ、ひみつ!教えてあげないもん!」

 

「……ギャリーだな?」

 

「ひゃう!?そ、そんなこと言ってないもん!お兄さんのバカ!」

 

 

どうやら図星のようだ。元々嘘のつけない性格に加えて困るとすぐ顔に出てしまう癖のせいでとても分かりやすく、むしろ教えてくれているのではないかと思えるほど表情がコロコロと変わる。

尤も、それを伝えたことですぐに何とかなる訳では無いしそれでは少しつまらないのでそのままの君で育ってくれ。

 

 

「しかしギャリーか好きか。じゃあ贈り物にはマカロンなんてどうだ?」

 

「マカロン?どうして?」

 

「ほれ。ギャリーってマカロン好きだろ?それにマカロンって確かバレンタインに送ると意味を持った気がする。忘れたけど。」

 

「へ〜……。マカロンかぁ……。でもそれだけじゃなぁ……。」

 

「と言うか贈り物なんて最後は心だから感謝の気持ちとか友愛の気持ちとかが篭ってればなんでもいいと思うぞ。」

 

「心……気持ち……。うん。そうだよね!贈るもの、決めた!当日はお兄さんも楽しみにしててね!」

 

「ん?おう。……ん?俺も?」

 

 

頭にハテナマークが浮かんでいる俺を後目にイヴは帰路に着く。……しかしあんなので良かったのだろうか?よく分からないがきっと本人的にはなにか収穫があったんだろう。いい方向へと転がってくれればいいのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バレンタインデー当日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は日曜日。例年からチョコを貰えていない俺にとっては全く関係のない日が来てしまったようだ。学校が休み……と言うかもうすぐ大学進学や就職の為学校側が準備した準備期間に入ってるお陰で2月に入ってからずっと休み期間だ。あとは卒業式を残すだけなんだが、そういう事もあり今年は例年よりも忙しくない。……チョコ?知るか!

 

 

「あ゛ぁー……。暇だ……。何か面白い事は無いもんかねぇ……。」

 

「大利〜!お客さんよ〜!」

 

「はーい!今行くー!……客?誰だろ。」

 

 

クラスのよく遊ぶ連中か、はたまた昔からの幼馴染(男)か。どちらにせよ俺の事を茶化しに来たヤツらだろう。そう腹を括りながら玄関へと向かう。

 

 

「はいはーい。誰ですかー。」

 

「ハーイ!ヒロトシ!元気かしら!」

 

 

どうやら俺の当ては外れたらしい。俺の目の前にはイケメン高身長オネェが意気揚々とこちらに挨拶を投げかけてくる。……しかしイケメンは何をやっても映える。ただの挨拶なのにイケメンオーラが溢れ返って眩しさすら感じるほどだ。

 

 

「おーギャリー。家に来るなんて珍しいじゃん。何かあったか?」

 

「んもー!今日は何の日だったか忘れたなんて言わせないわよ!」

 

「バレンタインだろ?今まで俺とは縁もゆかりもなかったから忘れ気味だわ。」

 

「そう!St. Valentine's day(聖バレンタインデー)!平たく言えばお世話になった人に花束渡したり外でご飯を食べたりする日ね!」

 

「へー。で?そんな日に俺に会いに来てなにするのさ。」

 

「察し悪いわねぇ……。そんなんだからモテないのよ。」

 

「余計なお世話だよ。」

 

 

今日のギャリーはなんだかいつも以上にテンションが高い気がする。しかし今日来た理由は本当になんなのだろうか。なにか約束をしていたわけでもなければ俺が呼んだ訳でもない。

そうこうしているうちにギャリーは俺の手を取って外へと連れていこうとする。

 

 

「ほら!ヒロトシ!行くわよ!」

 

「ちょっ待って!せめて着替えさせてくれ。すぐ済ませる。」

 

「ん〜……まぁ仕方ないわね。アタシもアポ無しで来ちゃったわけだし。でも早くしてよ?もう二人共待ってるんだから。」

 

「あー。イヴとメアリーも共犯なのね。……了解。なるはやで着替えてくる。」

 

 

ギャリーは俺の言った《なるはや》の意味がわからなかったらしく頭を捻らせている。……なるべく早くの略だよ。ちょっぱやの方が良かったか?

 

 

 

 

 

5分くらい経っただろうか。着替えを済ませ荷物も持って俺は玄関へと歩を進める。流石にどこに行くか分からない状態だった為カジュアル系の服に着替えてきた。これで先程までの灰色のスウェットよりはマシになっただろう。

 

 

「ごめん待たせた。一応親にも出かけてくるとは言ったから大丈夫……だと思う。」

 

「これくらい大丈夫よ。さっ!直ぐに向かいましょ!」

 

「あいよ。……ところで今日はどこに行く予定。一切聞いてなかったけど。」

 

「ふふっ!ヒ・ミ・ツ!」

 

 

そんな話をしながら俺達はギャリーの乗ってきた車へと乗り込む。車を運転してここまで来たってことは今日向かうところで飲酒はしないつもりなのだろう。それかお酒の提供をしていない所へ行くのか。そんな一抹の不安を胸に秘めながら行き先の分からぬままにそれでも車は走っていく。

 

 

「着いたわ!ここよ!」

 

「ここって……イヴん家?どうしてここに?」

 

「あら?何も聞いてないの?この間イヴがヒロトシに会いに行くからその時に今日は空けといてって伝えるって言ってたのに……。ちょっとアンタ。イヴになんかした?」

 

「いや……。ちょっとイヴをからかって遊んでたらすぐ帰った……。」

 

「ちょっとやりすぎたんじゃないの?……まったくもぅ!手のかかる子たちなんだから。」

 

 

はい、すみません。心の中で謝罪の言葉を伝えながら俺はギャリーから目を背ける。そんな俺が何かおかしい所があったのか、俺の後ろでギャリーがクスクスと笑っている。そんなことをしていたら中からメアリーが顔を出してきた。

 

 

「ちょっと〜!早く来てよ〜!じゃないと始められないじゃん!」

 

「あら。ごめんなさい。ヒロトシったらいい反応をするんだもの。つい弄っちゃったわ。」

 

「ついで弄られるこっちの身にもなってくれよ……。」

 

「そんな事よりも早く家の中に入りましょ?これ以上メアリーを待たせたら暴れだしちゃうわ。」

 

「へいへい。それじゃあ行きますか。何するかまだよくわかってないけど。」

 

 

そんな愚痴とも取れる一言をギャリーは華麗にスルーを決めてイヴの家の中へと進んでいく。出来ればご家族の方には会いたくないなぁ……変な方に勘違いされたら嫌だなぁ……なんてことを思いつつ俺もギャリーの後を追いつつのっそのっそと家の入口へと向かう。

 

 

「ハーイ!ヒロトシを連れてきたわよ〜!」

 

「おっそーい!トシを迎えに行くだけでどんだけかかってるの!もう待ちくたびれたよ!」

 

「まぁまぁ。お兄さんも色々あるんだよ。」

 

「ごめん。今日集まる事とか何するとか全く知らずに来たんだけどこれはなんの集まり?」

 

 

「「……。えっ?」」

 

「ごっめーん☆アタシの独断でまだヒロトシには言ってないの!」

 

 

そうおちゃらけた表情でギャリーはなんでもない事かのように言い放つ。と言うか俺が何も知らないのってギャリーの独断だったんだ。なんという奴。

そんなことを知らなかった2人はキョトンとするが何かおかしいことに気づいたのか、メアリーがギャリーの事を少し睨んでいるかのような目付きになる。

 

 

「もーギャリー!なんでトシには言わないでおくのさ!」

 

「そっちの方が面白いし〜、それとニホンって女性が男性にチョコレートをあげる日なんでしょ?じゃあヒロトシは何も準備してないだろうからこれから準備しろって言ったってロクなの準備できないわよ。」

 

「あー、なるほど。確かにトシはプレゼントのセンス無さそう。」

 

「おい。ギャリーは兎も角メアリー、それは聞き捨てならないぞ。俺はセンスが無いんじゃなくてセンスの違いだから。いわばロマン派と印象派のようなものだから。俺とメアリーのセンスの違いからおこる勘違いだから。」

 

「いやトシ。必死すぎて口調変わってるよ……。それにその例えはロマン派と印象派の画家さんに失礼だよ。トシそんなに絵は上手くないじゃん。」

 

 

……何故メアリーが俺の絵の上手さを知っている?そう思ったが美術館の中で普通にワンポイント的に書いていたのを思い出す。しかしそうなると俺とメアリーは壊滅的にセンスが合わないもの同士となる。……イヴには可愛いって褒められたんだけどなぁ……。

 

 

「ほらほら!そんなに言い争ってないで本題に入りましょ?ヒロトシにはさっき言ったけど、今日はバレンタインデー!となればやることは1つ!愛を育むこと!でもみんな特定の人はいないみたいだし今年は“友愛”を育てましょ!」

 

「ゆうあい?ギャリーそれって何?イヴは何かわかる?」

 

「ううん。わかんない。お兄さんはわかる?」

 

「あー……簡単に言えば友達としてもっと仲良くなろうよってことだと思う。“友”への“愛”情で友愛。」

 

 

そこまで言うとそれぞれ三者三様の反応をする。ギャリーは頷き、イヴは納得している。この中で一番友愛の心が足りないと思われる肝心のメアリーはと言うととても怪訝な目でこちらを見ている。いや俺が言い始めた事では無いからこちらを見られても困るのだが。

そんなことを露ほども知らないギャリーは言葉を続ける。

 

 

「それじゃあ事情の知らなかったヒロトシは貰う係に専念してイヴとメアリーはプレゼントの準備をしましょ!」

 

「うん。ちょっと待っててね。」

 

「トシ〜。私のセンスの良さに驚かないでよ〜。」

 

「ハイハイ。そんなこと言ってないでさっさと準備しな。何持ってきてもケチつけてやるよ。」

 

「む〜!そんなこと言ってるとあげないから!イヴからのも私が貰うから!」

 

「ちょっそれは反則。イヴのくれるものとメアリーがくれるものは関係ないだろ。」

 

「ふーん!そんなの知らないもーん!」

 

 

そう言ってメアリーは自分の準備に行った。反応がなかったイヴとギャリーだが、既にここを離れて準備に行っていたようだ。まぁいつも通りのやり取りではあるので仕方ないとは思うがなんというか寂しい気もする。そんなことを思ってたらこちらに近づいてくる足音がする。誰か戻ってきたようだ。メアリーはさっき言ったばかりだからイヴかギャリーかのどちらかだろう。

 

 

「おまたせ。待ったかしら?」

 

「いや、メアリーが結構ギリギリまでここにいたからそんなに待ってないぞ。」

 

「それは良かった!じゃあ早速渡しちゃうわね。ワタシからはこれよ。」

 

「これは……万年筆?」

 

「えぇ!これなら普段も使えるでしょうし、丁寧に使えば本当にすごく長持ちするもの!嵩張らないし、ヒロトシには万年筆を使いこなせる素敵な大人になって欲しいって願いも込めてこれにしたわ!」

 

「おぉ……。もしかしたら万年筆を見るの生まれて初めてかもしれない……。ありがとうギャリー。大切に使うよ。」

 

「えぇ!そうして頂戴!ヒロトシならそれを使いこなせるくらいかっこいい大人になれると信じてるわ!」

 

 

そんな会話をしていると、再びこちらに向かう足音が聞こえる。しかしその音はどたどたと慌ただしくイヴでは無い事は明確だ。……メアリーは落ち着くことが出来ないのだろうか。これからが不安になる。

 

 

「トシ!待たせたかもしれないけど私は謝らない!」

 

「いやそこは素直に謝れよ。」

 

「そんな事よりも!これ!私からのプレゼント!」

 

「これは……キャラメル?」

 

「うん!調べたらそんなに難しくないっぽかったからコレにしよって!ちゃんとバレンタインに送る意味も調べたんだから!」

 

 

まさかメアリーがお菓子を作るとは思ってなかった俺は驚きを隠すことは出来なかった。しかもキャラメルと来たものだ。本人は難しくなかったと言っているが俺からするとすごい大変な作業だっただろう。

 

 

「ふふっ。メアリーったらすごく張り切って作ってたもの。しっかりと味見もしているし、ちゃんと美味しいものが出来上がってるわよ。」

 

「へー……。なぁメアリー。」

 

「な、何?これでもケチつけるの?」

 

「ありがとう。味わって食べるわ。」

 

 

俺がそう言って頭を撫でると少し不安そうだったメアリーの顔が一瞬で破顔し喜びを顕にしている。正直今日送る意味の方は知らないが、それを抜きにしてもいいものを貰えた気がする。なんて思いながらメアリーの笑顔を見ていると向こうも気づいたのか、頭を撫でていた手を振り払っていつもの自信満々の顔に戻る。

 

 

「そんなの当たり前でしょ!私がお菓子を作るなんてそうそう無いんだから!……ありがと。」

 

「……ん?何か言ったか?よく聞こえなかった。」

 

「何でもない!バーカ!」

 

 

本当は聞こえていたがここで“どういたしまして”と返すのがなんか照れくさく感じてしまった俺はあえて聞こえないふりをする。俺もメアリーもお互いにお互いを助け合った仲だからこそ、弱いところを見せて心配させたくないのだ。だから何時も素直に“ありがとう”を言えずに巫山戯てしまうが、こういう日くらいは素直になっても良いだろう。

 

 

「ちょっとおふたりさん?いい雰囲気のところ悪いけどイヴの準備が終わったっぽいわよ。もうすぐ来るわ。」

 

「い、良いふいんきってなによ!私とトシがそんなふいんきになるわけないじゃん!」

 

「まぁいいわ。素直なヒロトシなんて珍しいものも見られた事だし……イヴ!入って来ていいわよ!」

 

「むぅ……。お兄さんとメアリーがいい感じだった。そういうのはわたしのいる前でやって。もっとしっかり見たいから。」

 

「イヴは入ってきて早々何を言ってるんだ……。」

 

 

俺とメアリーの間で普段はあまりこういうことが無いからかイヴは部屋に戻ってくるなりもう一度今のやり取りを見たいと言ってきた。しかしそんなことするのは恥ずかしすぎてまぁ無理だろう。

それにやってと言われてハイソウデスカと簡単に出来るものでもない。こういうのはタイミングがシビアなのだ。なのでイヴには諦めてもらうしかない。

 

 

「そんなようわからんどうでもいい事よりもイヴのプレゼントってなんだ?」

「……今度絶対にわたしの目の前でやって貰うんだから。」

 

「その夢は諦めなさい。」

 

「いや。あきらめない。」

 

 

まぁなんとも頑固な性格だ事。まぁ忘れるまで待てば大丈夫か。適当に約束をしておこう。メアリーも乗ってくることは無いだろう。……ないと信じたい。

 

 

「あーわかったわかった。今度な。メアリーが褒められる事をした時にまたやってやる。」

 

「ホント!?楽しみにしてる!」

 

「はぁ……。あのやり取りの何がいいのやら……。」

 

「あ、お兄さん。これが私からのプレゼント。それとメアリーにも。」

 

「おー?こりゃマカロンか。やっぱりこれにしたんだな。」

 

「わ〜!綺麗な色〜!ね!ね!ギャリーこれ食べていい?」

 

「う〜ん……。お夕飯が待ってるんだから少しだけよ?ご飯が入りませんなんて言ったら許さないわよ?」

 

「ハーイ!……トシは今食べるの?」

 

「いや、家帰ってからゆっくり食べるよ。」

 

「ふーん、そっか。」

 

 

その含みのある返事はなんなのだろうか。俺がいつどこで食べても良いじゃないか。

それよりもイヴはなぜ俺とギャリーにしか渡してない?もしかしてギャリーだけは違うものなのか?……気になる。こっそり聞いてみよう。

 

 

「……なぁイヴ。もしかしてギャリーだけプレゼント違う?」

 

「う、うん。」

 

「ほーん?何にしたのさ。ほらほら言ってみって。」

 

「……キャンディにした。ほら話したでしょ!この話終わり!」

 

「キャンディねぇ……。なんか意味があるって事だ。まぁ応援はする。あんまり気張りすぎずに頑張れ。」

 

「……うん。」

 

「ほれ。じゃあササッと渡してきな。あんまり考え過ぎると時間が無くなって渡せなくなるぞ?」

 

「……行ってくる。そこで見守っててね?」

 

「おう、任せとけ。」

 

 

そう言うとイヴはギャリーの元へ小走りで駆けていく。その一部始終を見ていたメアリーが俺の元へ来る。どうせくだらないことを聞きに来るのだろう。

 

 

「ねぇトシ。イヴってギャリーの事が好きなの?」

 

「さぁ?俺にはわかんないな。ただギャリーだけ渡す物が違ったから感謝の度合いが違うか、それともベクトルが違うか。どちらかだと思うぞ。」

 

「ふーん……。まぁいいか。イヴもギャリーも良いやつだもん。きっとどう転んでも大丈夫ね。」

 

「あぁ、あの2人ならきっと大丈夫。……ところで俺は良いやつの中に入ってんの?」

 

「入ってる訳ないじゃん。それは“じいしきかじょー”だよ。」

 

「このやろっ。そんなこと言うやつはこうだ。」

 

「あー!ちょっと〜!髪の毛がぐしゃぐしゃになる〜!」

 

「ふはは、辞めて欲しかったらごめんなさいと言え。」

 

「だが私は謝らない!」

 

 

結局俺達はいつもみたいにワチャワチャしてこの話は終わった。しかしこの雰囲気がとてつもなく心地よい。あの美術館に迷い込む前はどんな友達と遊んでいてもこんな感覚は感じなかったのに何故だろうか。そんなことを思いながら俺はメアリーの髪の毛をワシワシと乱暴に撫で渡す。

 

 

「……メアリーもヒロトシもブレないわねぇ……。まるで構われすぎた猫と飼い主みたいだわ。」

 

「そう?わたしは面倒見のいいお兄ちゃんと素直になれない妹に見えるよ?」

 

「ふふっ!そっちの方がしっくりくるわね!……それでアタシには何をくれるのかしら?」

 

「……これ。ギャリーにあの時もらったからお返し。」

 

「……あら!キャンディじゃない!しかも手作りだわ!凄いわねイヴ!」

 

「ママに手伝ってもらったけど基本はわたしが全部作ったから……。受け取ってくれる?」

 

「勿論よ!こんな綺麗なキャンディ、食べちゃうのがもったいないわ!」

 

「そう?良かったぁ……。」

 

 

イヴは安堵のため息を漏らすと渡す時以上に緊張した面持ちでギャリーの方を見つめる。それに気づいたギャリーはまだ何かあるのかと少し身構えながらイヴの出方を伺っている。

 

 

「それ……!ちゃんと今日渡す意味分かってるから……!」

 

「……。」

 

「じ、じゃああっちでメアリーと遊んでくるね!お兄さん呼んでくる!」

 

 

イヴはそう言うと踵を返してギャリーの元から去っていく。一方ギャリーは笑みを顔に張りつけたまま動かないでいる。少しすると大利がギャリーの元へと来るが、その異常な光景に大利は頭を傾げる。

 

 

「おい、ギャリー?どうした?イヴに嫌いとでも言われたか?」

 

「……寧ろその逆よ。当回しだけど告白されたわ。」

 

「……マジ?」

 

「……マジも大マジよ。」

 

 

そこまで言うとギャリーは膝から力が抜け、崩れ落ちる。ギャリーのこんな姿なんてなかなか見ないのでビックリしたが、そうなるのもまぁわかる気がする。

 

9歳と20歳。

 

11歳も歳下の女の子から告白されたのだから。

 

 

「……で?返事はどうすんの?」

 

「こんなのどうすればいいのよ……。」

 

「言っとくけどちゃんと考えて言わないとキレるから。俺の妹分を軽い気持ちで泣かせたら殴るからな。」

 

「……あなたそんな熱い男だったのね。気が付かなかったわ。……でもそうよね。相手が幾つであれちゃんと返事を返してあげないと失礼よね……。」

 

「そういう事。まぁ急がずゆっくり答えを出せばいいさ。慌ててもいいことは無いしな。」

 

「……アンタほんとに歳下?アタシよりしっかりしてるんじゃない?」

 

「なんかあの美術館に行ってから周りからも性格が少し変わったって言われる。でもそれってギャリーとイヴ、メアリーと会ったからだろ?ならそれはきっといい変化に違いないから大丈夫。」

 

「……これじゃあ今までガールフレンドがいなかった理由が分からないわね。今のアンタ、男としてすごく魅力的よ。」

 

「男にそんなこと言われても嬉しくない。」

 

「ふふっ、そうよね。」

 

「それに……。」

 

それに今の俺はこの3人がみんな元気に仲良く過ごしてくれればそれで満足なんだ。それ以外の幸せは今の俺には背負いきれないから。零れ落ちてしまうから。だから彼女とかそういうのは要らない。

 

なんて、少しカッコつけすぎたかもしれない。

 

 

「それに……なによ?そこで止めたら気になるじゃない。」

 

「ん?……秘密。」

 

「あー!それさっきのアタシの真似!?その態度癇に障るわ!」

 

「狡いのは大人の特権だからな。……な?イヴ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん!」




如何だったでしょうか!ここ数日ずっとバレンタインのことばっかり考えてました!今まで市販のチョコで済ませていたのでこんなに考えたのは初めてかもしれません。

私何のバレンタイン。楽しんでいただけたでしょうか?メアリーとイヴちゃんの渡していたお菓子の意味はしっかりと調べながら書きましたのでおそらく間違いはないかと!まぁ女性が男性にチョコなどを渡すのは日本の文化なんで、イヴちゃんとメアリーは本当は貰う側なのは目を瞑っていただけると幸いです!


ギャリーがどう返したのか……。敢えて私は今後も書きませんので皆様の思うように解釈してください!


ではまた火曜日に!


P.S.私の中のイヴちゃんはギャリーには女の面を、メアリーには姉の面を出していて、主人公には妹の面を出しているイメージです。
なので主人公の前では甘えん坊になって精神年齢が下がってる感じです。
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