もっとごちゃごちゃさせても良かったのですがそれだと今以上に進みが遅くなる為これで断念。まぁ文字増やして読みづらくなるなんて本末転倒ですもんね。
では、どうぞ。
元々逆さに吊るされていた人形には18又は81の文字が縫われていた。吊るされていた状況で読むべきなのか、それとも普通に頭が上にある状態で読むべきなのか分からないままなのでとりあえず両方のパターンの計算をしようとなったのはいいのだが、電卓が使えないとなるとなかなか面倒だ。しかし何事も成さねば成らぬのだから兎に角こんな簡単な計算なんてちゃっちゃと終わらせて次に進まなければ。
81×9……729か。それに4を足せばいいんだから733。そんなに難しくない計算で大助かりだ。まぁこれくらいの四則演算はこなさないと同級生のヤツらに笑われてしまうだろうしそれよりも高校生としては当たり前の結果だろう。
「イヴちゃん。そっちはどう?計算終わった?」
「え!?お兄さんもう計算し終わったの!?早すぎだよー!」
「まぁこれが大人だよ。イヴちゃんもきっとこれくらい計算が早くなるから大丈夫。」
「う〜ん……わかった。私が計算終わるまでもう少しだけ待ってね。」
「はいはいー。ゆっくりで大丈夫だからね。先に俺のやつ入力するからさ。」
「うー。じゃあお兄さんの入力が終わるまで待ってる。」
そう言うと少しムスッとした表情をしたイヴちゃんがこちらを見てくる。まぁ確かにこの入力で終わってしまえば計算をする必要はなくなるわけだからそりゃ待つか。そんな事よりも早く入力をしなければ。正直正解ではない気がするがそれでも可能性が有るのならば出来うる限り試していかないと後悔をすることになるかもしれないから。
「733…。ダメだ。入力しても反応がない。これじゃないみたいだ。」
「そっかぁー……。わたしじゃ時間がすごくかかるからお兄さんが代わりに計算して?」
「わかった。少し待っててね。」
正直イヴちゃんは自分でやると言うと思っていたので頼まれたことに少し驚きはあったが、まぁ頼まれたからにはしっかりと仕事をこなすことにしよう。
まず18×9は90+72にして162。それに4を足すから166になる訳か。
とりあえず今導き出した答えを扉に入力をする。もしこれでもダメならもう一度両方とも計算し直して間違いがないか確認しなければならない。面倒すぎるので勘弁願いたいところだが、まぁそれもこれも入力結果次第だろう。
「……あっ。開いた。」
「もう開いたの?お兄さん頭良いね!さすが大人!」
「まぁ現役の高校生だからね。これくらいの計算はできないと先生に怒られちゃうから。」
「ふーん。高校生も大変なんだね。わたしも高校生になる時にはお兄さん見たいに頭良くなってるかなぁ?」
「イヴちゃんならきっとなってるよ。……よし、それじゃあ扉の先に行こうか。イヴちゃんは行ける?」
「いつでも行けるよ!」
イヴちゃんもこう言っているので早速この扉の先へと進む為に扉に手をかける。おそらくこの先にはあの唇に与える何かが置いてあると思うのだがそれが一体何なのか。それを確かめるべく俺はゆっくりと扉を開けた。
「これは……木か?それも小さいな。」
「ねぇお兄さん。目の前の木にだけリンゴがなってるよ。」
「そうだね。もしかしたらあれを唇に与えるのかな……。イヴちゃんあれ取れそう?」
俺はそう言ってリンゴを指さす。あの木は十中八九オブジェだろう。まぁこんな屋内に、ましてや土すらないような場所に本物の木が生えているなんて事は有り得ないのだから。となるとあの木になってるリンゴも本物では無いのだろう。こんな偽物で何とかなるのか分からないが試してみるしか方法はないか。
そう考えていると、どうやらイヴちゃんがリンゴを取ることが出来たようだ。何かを持って此方に戻ってきた。木に付いていた赤い果実がなくなっていることからその手の中にあるのはリンゴだろう。この部屋は以上だろうか?一応一周回って何もないか確認だけしておこう。今まで触れてこなかったが目の前に大きな絵画もある事だ。少しくらい見ていっても大丈夫だろう。
「この部屋にほかは何も無いのか確認の為に一周しよっか。確認不足で戻ってくるのも嫌だし。」
「そーだね。……お兄さん、さっきみたいにぼーっとしないでちゃんと見てね?」
「あー……善処します。はい。」
「む〜。なんか信じられないなぁ。」
イヴちゃんに信じられないと言われて少しだけショックを受けたが、今までの己の行動を鑑みるとまぁ妥当な判断だろうと思える節もあるのが辛いところ。しかし今思い出してみると美術館に、正確には“こうなる前の普通の美術館”に着いたあたりから俺はなんだかいつもよりおかしかったし、さらにその前の家にチケットが届いた日から“何かがすっぽりと抜け落ちた感覚”が拭えないのだ。その虚無感がなんなのか分からない限りどんな事でも深く考えてしまうと思う。
「まぁ多分大丈夫だと思うよ。根拠は無いけどね。」
「理由もないのに言い切っちゃうのってすごいね……。」
「いや、断言してるつもりないんだけど……まぁいいや。この部屋をササッと見て唇の所に行ってみよ。」
兎にも角にもこの部屋に何もないかどうか確認を早く終わらせて次の部屋へと進もう。そう思った俺は会話も程々にゆっくりと歩みを進める。
入ってきた扉からも見えていた木になっているリンゴの描かれた大きな絵画があり、タイトル欄には『木に生ったリンゴ』と書かれている。なんて安直な名前なんだろうとか少し思いもしたが、特段気にすることもないと思い再び歩き始める。
部屋を1周歩いてみたが、木のリンゴを取ってしまった今絵画と木のオブジェ以外何も無い事が分かったので扉の前まで戻ってきたその足でこの部屋から出ることに。これで今行ける所が唇の所以外全て踏破してしまったので取り敢えず来た道を戻ることにする。
猛々しいらしい唇もこれでこれからの指針となるようなものを俺達に指し示してくれればいいのだが……。
前回のまえがきで今回から次の間に行きますよっと言いましたね?
あ れ は 嘘 だ !
はい、すみません。全くもってこちらの落ち度です。本当はちゃんとそこまで進めようと思っていたのですが、ちょっと私の作品にしては長いかななんて思ってしまったのでこんな中途半端なところで切らせていただきました。
次こそ、次の話こそは赤の間へ移って行きたいと思います。
あ、27日に9周年記念if投稿します。多分。間に合えば。