では、どうぞ。
あの暗闇の通路も抜け、無事に扉の前まで戻ってきた俺たちはその足で次の部屋へと向かう事に。先程の事もあり、あまりいい空気とは言えないがそれでも進まない事にはなんの進展も起こり得ないと思った俺は色々と思う事はあれど、今はそれらを全部無視をして扉に手をかける。
扉を開けた先にはとても大きい青色の像がそびえ立っていた。……これは一体なんなんだ?見れば見る程なんだか分からない。おそらく人型……だと思われるのは確かなんだが、それならば腕で支えているあの膨らみはなんなのか。片手は頭を抑えているように見えるから少なくとも腕は組んでないことが分かる。
……もしかして、胸?え?大きすぎない?ゲルテナってもしかして巨乳が好み?そういえば無個性もスタイル自体は悪くなかった気がするし……。知らない方が良かった雑学ってこういう事を言うのかな……。
「なんか気が抜けるなぁ……。……【うん】ねぇ。口を噤んでるしなんかどっかのお寺の像見たいに阿吽でセットとか?そんな単純じゃないか。」
作品名から何となく思い浮かんだ阿吽の像はとても厳つい見た目だった筈だと記憶していた為、何の気なしにその考えを一蹴する。そして他にもなにかないかと辺りを見回すと何やら赤いオブジェが展示用の壁の奥にそびえ立っている。壁に何が飾ってあるのかも気になる所ではあるが、それよりもあの赤い物体がなんなのかという方が気になる。
「お兄さん、今言ってた“あうん”って何?」
「え、阿吽?えーっと……对を成すもの?いやでも阿吽の呼吸って言うしな……。あれって確か言葉が無くとも分かり合う的な意味だった気がするし支え合うの方が正しいか?まぁ多分そんな感じの意味だと思うよ。」
「……よく分かんないよ。もっと分かりやすく説明して?」
先程の俺の対応に意趣返しをして来ているのだろうか。今までよりも幾分か冷たい態度でイヴちゃんは俺に聞き返してくる。……正直あまり意味が分かってなく何となくで使っている単語を今まで聞いた事もなかった人に説明をするのは至難の業……。
「うーん……俺もよく分からないからこの話は終わり。他の作品も見に行こうか。」
「やだ!聞くまでここを動かないもん!」
「あ、そう?じゃあ俺は周りの絵画とか見てこようかな。イヴちゃんはここで待っててね。説明できるようになったら戻ってくるからさ。」
「えっ……。やだ一緒に行く!置いてかないで!」
……いくら自分が困っていたからと言って小学生の恐怖を煽って言うことを聞かせるのは大分良心の呵責に苛まれるがこれも仕方ない事なのだと自分自身に言って聞かせる。
気を取り直してあの赤い像の方へと歩いていく。近づけば近づくほどあの“うん”に似ている形ということが目に付く。そしてその口は大きく開かれている。
「“うん”の横に“あ”が来るのね……。確か東大寺かどこかに
「トウダイジ?それは
「寺かな。思いっきり大仏……仏様を祀ってるからね。これが神社なら神様を祀ってる場所だからね。それで確かお寺の阿吽の像は金剛力士像って種類だったはず。今で言うSPとかその類……なのかな?そこはよくわかんないけど。」
「ふーん。なんかすごいね。わたしの身近にはキリスト教しか無いからなんか新鮮。」
「やっぱり西洋の方ではキリスト教が主流だよね。」
なんだか宗教の話になってしまったが、この部屋に入る前のあの重い雰囲気は無くなったので少し気が楽になった。しかし、こんな大きい展示物を本当にゲルテナが手懸けたのか……。それよりもあの現実世界の展示物よりも多すぎではなかろうか。そんな事が頭を過る。
「あっ!あそこの絵画、美術館に飾ってあった!確か【赤い服の女】って作品名だったよ!」
「えっ?……っ!?あの絵画なんか生きてる感じしないか?他のものよりも生気が溢れているように感じる……!」
そこには赤い服に身を包んだとても端麗な女性がバストアップのみ描かれていた。その目は俺の気の所為か、じっと此方を……と言うよりはイヴちゃんの手元にある2輪の薔薇を見つめていた──。
次回は赤い服の女との追いかけっこです。(多分)
あまり辺りを調べてないのに彼女と接触を図るのかは未来の私の気分次第です。
それと今週日曜日は……以前予告した通り現在ifも執筆中ですので日曜日中にあげたいところです。
阿吽
〜前略〜
日本語では2人の人物が呼吸まで合わせるように共に行動しているさまを阿吽の呼吸、阿吽の仲などと呼ぶ。
類似の言葉に以心伝心(Ishin-denshin) があるがこれは日本語の慣用句であり 、暗黙の相互理解による対人コミュニケーションの一形態である。この4 文字の複合語(四字熟語)は、文字通り「心が考えるもの、心が伝えるもの」と解釈されている。英語に翻訳の場合「テレパシー」や「 シンパシー 」、一般的には「ハート -to-ハートのコミュニケーション」や「 暗黙の了解 」を意味する 。
Wikipediaより抜粋