では、どうぞ。
あの後手前側の本棚を軒並み確認したのだが特に気になるような本は見当たらず、入ってきた所とは別の扉も念の為開くかどうか試すももちろん閉められている。
閉められている扉の壁沿いにもう2ブロック本棚がある事からおそらくここの扉を開けるヒントくらいは何処かに残っているだろう。そう思ってまた右側の本棚から見始める。
「……ん?」
「お兄さんどうしたの?」
「ん?いや、隣の本棚に『世界の美術館』っていう本があるからもしかしたらお互いの拝観してた美術館が記載されてるかもなぁって思っただけだよ。」
俺はそう言って『世界の美術館』を手に取る。厚くはないがかと言って薄すぎる訳でもないその本は某旅行雑誌の様なごちゃごちゃとした表紙ではなく、とてもシンプルなおそらくいちばん有名な絵画のアップと雑誌のタイトル、それにちょっとした見出しのみとなっており非常にわかりやすい表紙となっている。が、表紙の見出しを見る限り美術館の紹介と言うよりは美術品の紹介が主な掲載記事のように感じる。
パラパラと雑誌をイヴちゃんに捲ってもらうと、前半はやはり作品の詳しい説明を載せている。名前までは知らなかったが俺でもテレビ等で1度くらい見た事はある作品の説明が載っていたが、今はどうでもいい。そのままページを捲ると有名な日本国内外の美術館がいくつかピックアップされていた。
「やっぱり美術館の紹介もあるんだね。最初は作品の説明しか無かったから不安になっちゃった。」
「『名は体を表す』っていう言葉もあるからね。一つや二つ位は紹介しないとダメなんじゃない?それにどの美術館にどの作品が普段展示されているのか知らないと見に行けないしね。」
「確かに!見たい作品があってもどこに飾ってるか知らないと見に行けないもんね!」
「そういう事。」
イヴちゃんは俺の言った事を復唱しただけだったが、何だか子供らしくて微笑ましく思えた。しかし俺が言った事が正しいかどうかは分からないから、間違っていない事を祈ろう。
幾つか紹介されている美術館を一つ一つ確認したが、どうやら俺がここに来るキッカケになった所は紹介されていないらしい。他の号には載っているかも知れないが、生憎とここにはこの一冊以外に『世界の美術館』と言う雑誌は見当たらない。
念の為に作品紹介のページも1つ2つ見てみると、今まで美術全般に触れてこなかった俺でも何処が凄いのかわかりやすく説明されている。さすがプロの仕事と言うべきか。思ったよりも面白く感じたから全部読みたい気持ちが少し湧き出てきたが、こういうものは元の世界に戻ればいくらでも見られると自分に喝を入れて雑誌を閉じて貰う。
「イヴちゃんページ捲ってくれてありがとね。元に戻して次の本棚を見ていこうか。」
「うん!次はどんな本があるかな?ワクワクするね!」
「そうだね。俺としてはそろそろ次の部屋に行きたいかな。鍵とか本の間に挟まってるとか分かりづらいのは勘弁して欲しいけど。」
「でもわたし達ならきっと見つけられるよ!だってここまで来れたんだもん!」
「……そうだね。色々あったけどここまで何も無く無事に来る事が出来てるんだ。その力を信じないと、ね。」
イヴちゃんの言葉はすごく力を貰う。これならどれだけ歩き回っても全然疲れなど感じなさそうである。そんな風に少し変なテンションに陥りつつも俺達はウキウキで次の本棚に向かうのだった。
今朝はなんだかすごく眠かったんで心配だったんですけど案の定寝坊してしまいました……。次回からは出来うる限りこのような事がないように頑張ります。ハイ。