Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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どうも、私です。今回は間に合いました。次回も間に合うように頑張ります。







では、どうぞ。


人影

イヴちゃんの興奮も冷めやらぬままに俺は入口前では確認できなかった所を確認する。が、通路のようになっている両端には扉しか見当たらない。いくら見渡しても絵画や彫刻なども確認できず、この部屋にはノートと花瓶、それに『永遠の恵み』という絵画しかない事が確認できた。

 

さて、ならば次は“どちらの扉に入るか”を決めなければ。どうせ今までの経験上両方行かなければ先には進めないだろう事が憶測とはいえ分かっているからあまり気負いはしていないがそれでも二度手間は御免だ。どっちが最初に入るべき部屋なのか見極めなければ。

 

 

「……よし。こっちの部屋から向かってみようか。イヴちゃん、そろそろ行くよ。」

 

 

俺はそう言って絵画を正面にして右側の部屋の方へと体を向ける。何故だかよく分からないが、俺の思考が“こちらへ行くべきだ”と告げていた……気がする。こんな時に信じてやらないでいつ信じるんだと自分自身を奮い立たせイヴちゃんへと声をかける。

 

俺に声をかけられたからなのか漸く正気に戻ったイヴちゃんは俺の事をすごく心配そうな表情で見つめてくる。

 

 

「えっと……お兄さん体はもう大丈夫なの?さっき花びらを取ってたけど痛くなかったの?」

 

「え?あー……痛かったよ。でも我慢できないほどじゃなかったし回復もさせたからね。今はもう大丈夫だよ。」

 

 

俺がそう言うとイヴちゃんは少し安心した顔を見せる。しかし直ぐにしかめっ面になり俺の事を睨んでくる。……しかしイヴちゃんがどんだけ怖い顔をした所ですごくかわいいとしか思えないのはやはり可笑しいのだろうか?

 

そんなのほほんと緩んだ気持ちをキュッと締め直し2本の薔薇をイヴちゃんの手に持たせると、改めて俺は今から向かう方向へと視線を送る。するとそれまで怒ってたイヴちゃんも俺の視線を追うようにそちらを見始める。

 

 

「それじゃあっちに行ってみようか。扉が開くといいけど……。」

 

「そろそろ元の世界に帰るヒントとか欲しいね。」

 

「確かに。」

 

 

そこまで言うと俺達は顔を見合わせて笑い合う。なんだかんだここまで色々あったけど結果的に仲良くここまで来る事ができているのは喜ばしい事だ。泣いて笑って喧嘩して、それでも仲良く前へと進める俺達は傍から見ると兄妹に見えるか、それとも仲間に見えるのか。そんなくだらない事を考えながら扉へと俺達は歩き始めた。

 

 

───────

 

 

扉はどうやら開くようで蝶番がキィキィと小さく鳴きながら奥の部屋へと迎え入れる。すると部屋……というよりは廊下の様な空間に入ってすぐの所に背丈の大きな何かが倒れているのが確認出来た。あれはこの世界の美術品だろうか。それにしては羽織っている上着に年季が感じられる。今まで見てきた美術品は何回も着ていないまるで新品の様な服装の出で立ちだったが、この人……?に関してはその限りではないみたいだ。

 

俺がそんなことを思っているうちにイヴちゃんは目の前の倒れている人影に向かってトテトテと歩いている。大丈夫なのだろうか……。あ、つんつんし始めた。めっちゃやられてる人辛そうだな。一応止めようか。

 

 

「イヴちゃん、その人苦しそうだから辞めてあげて。他に気になる所は無いかな?」

 

 

俺がそう聞くとイヴちゃんは倒れてる人影の周りを観察しながらぐるぐると回る。すると彼女は何かを見つけてくれたようだ。何かを手の辺りから拾ってこちらへと戻ってきた。

 

 

「おかえり。何かいいものは見つかった?」

 

「うん!鍵があったよ!お兄さんに預けとくね!」

 

 

そう言うとイヴちゃんは俺に小さな鍵を渡してきた。今まで拾ってきた鍵よりも一回りほど小さい鍵だ。なぜ俺に渡そうと思ったのか理由は定かではないが取り敢えず預かっておく事に。するとイヴちゃんは何やらソワソワと落ち着かない様子でこちらを見てくる。何事かと俺もイヴちゃんを見つめて少し首を傾げると我慢出来なくなったのかなんとも可愛らしい笑顔で口を開いた。

 

 

「向こうのドアの先を見てくるから待っててね!」

 

「あっ!行ってもいいけど絶対無理しちゃダメだからね!危険を感じたらすぐ戻ってくるんだよ!」

 

「は〜い!」

 

 

俺がそう言うも、イヴちゃんは気にも止めずに向こうの扉まで走っていく。しかし少し開けて奥の部屋を少し見た所でいそいそとこちらへと戻ってきた。

 

 

「イヴちゃんなにか見つかった?」

 

「なんにも無かった……。なんか最初に追ってきたマネキンみたいなのが立ってるだけだったよ。」

 

 

そういう彼女は思っていた物がなかった為か少し不貞腐れていた。あまり余計なものがないのであればそれは喜ばしい事なのであるが、イヴちゃんとしてはあまり面白くなかったのだろう。少しずつ会ってすぐの雰囲気が戻ってきているのはいい事だけど少し怖い考え方かも知れない。

 

 

「じゃあもう1つの扉を開けに戻ろうか。この人のバラもあるかもしれないし急ごう?」

 

「そうだねっ!早く行こ〜!」

 

 

そう言って俺達は入ってきた扉を戻っていく。タイムリミットは近い事を薄々感じていながらものんびりとした足取りで進んで行った。




最近シフトをよく入れられてしまって執筆時間が取れないのが悩みです……。

でも必ず完結まで描きますよ!絶対に!
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