ここまで何話かかってるんですか?……え?ここで5話目?
はぁ……そんなだから貴方はポンなのですよ。
では、どうぞ。
2階をざっと見ても誰もいない。1階なら、受付ならと下ってみると受付にすら誰もいない。みんな一瞬のうちにどこかえ消えてしまった。
俺も外に出ようと思い来た時は開いていたそこそこ大きい扉の前に立つと何故か閉まっている。どうにか開かないかと力いっぱい扉を動かすが、どういう訳かビクともしない。この感じは鍵をかけたと言うよりは溶接してある感じ。1枚の鉄板の真ん中を開けようとしている感じだ。ノブのガチャガチャという音だけが辺りに反響する。これでは何をしたところで焼け石に水だろう。
「もう一度あの絵のところに戻ってみるか……。」
己の不安を消し去るために俺は足を動かした。このままじっとしていたらきっと俺は壊れてしまう。
誰もいないことをいいことに美術館の中を走って移動した俺は直ぐに【絵空事の世界】の前に着いた。
すると、額縁の下に絵の具の滴っているような後がある。何かと思いそれに近づいて見てみると、後ろからトントントンとリズム良く音が聞こえてきた。振り返った見てみると
おいでよ
「うわぁぁぁああああ!!!」
俺はその場で腰を抜かしてしまった。なんで俺の名前を知っている。なんで俺を誘おうとしている。なんで、なんで、なんで……。一種の錯乱状態に陥った俺は辺りを見回す。誰かいないのか。なんで居ないのか。俺はどうしてここにいるのか。思考がまとまらない。
そんな時、先程まで青い絵の具の滴っていたところに文字が書いてあるのが見える。
“下においでよ
君の役割を思い出させてあげる”
その文字列を見た瞬間、俺の中の恐怖は全て消え去った。しかし、なんて書いてあるのか頭で理解はできるが1文字1文字単独では読めそうにもない。
しかし何はともあれするべきことは決まった。しかしその前に荷物の確認を行う。何をするにも冷静沈着を心掛けるための第1歩だ。
ナップサックの中身
・財布……所持金5000円とちょっと、あと学生証
・携帯……今日はまだあまりいじってないから電池は満タンに近い
・モバイルバッテリー……電池は満タン
・飲み物……スポドリ、お茶、オレンジジュースが1本ずつ
・カロリーメイト……味はプレーン。大きいサイズで4本入っている
「確認完了……。飲み物3本持っておいてよかった……。」
不幸中の幸いだろうか。こういう時にいちばん困るのは飲み物というイメージがある。しかしこれで行く準備は揃った。この状況を脱出する手がかりはひとつ。下においでよと言う壁に書かれたメモのみ。それを鵜呑みにするのもいかがかと思うが、今の状況下でそれに従う他なんの余地も残されていない。自分にそう言い聞かせつつ、俺は1階へとゆっくりと、しかし力強い足取りで歩いていく。
1階へ下り、ふと入口近くの窓を見る。なにか見えるだろうか。そんなことを思い、近づいて覗いてみると上から赤い血のようなものが大量に垂れてきて窓の半分以上を紅く染める。
「うぉあ!?」
俺は即座に飛び下がり、様子を伺う。まるで獣にでもなった気分だった。
その後少しの間ずっと件の窓を見つめ続けていたが特になにも起きなかった。ほっと一息置いたら、また気を引き締めて探索を続ける。
展示スペースの方へ足を運ぶと、【深海の世】の周りの柵が1部外されており、そこから作品の中に行けるようだった。しかし、ただ床の上に書いてあるだけの絵の筈なのにその水の質感は本物の海の中のように見えた。
「この中に入って来いってことかよ……。こいつは付喪神か何かか?」
心を込めて作ったもの、使ったものには魂が宿るという。そんな何かを感じさせる作品になっている。さっき見た時はプレッシャーしか感じなかったのに。やっぱりこの世界……
「普通じゃないな……。」
そんな分かりきったことをつい口から零れてしまう。しかし言わずに溜め込むといずれ爆発し、壊れるだろう。そんな最悪な事態を
少しの葛藤の末、俺は【深海の世】の中へ足を入れる。どうやら深海と言いつつも足場はあるようだった。その事に少しほっとしつつも、改めて下へと足を伸ばす。
どうやら足場は階段上になっているようだ。絵の中も、入る瞬間水の音がしたが中身は水ではないらしく、靴や服に水は一切ついていない。これは安心して先に進める。
この先に一体何が待っているのだろうか。俺の役割とは一体何なのだろうか。不安な気持ちを押し殺しながら1歩1歩着実に足を前へと進める。
本当はおいでよのところは原作通りにしていたんですがプレビューで見てみると全て左寄りに……
結構自信あったんだけどなぁ(´・ω・`)