Ib〜ハッピーエンドへ行き着くためには〜   作:月舘

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どうも、私です。今回は漸く今作2人目との邂逅です。皆さんおわかりでしょうが、ここでは敢えて名前を出しません。ここまで長かった……。









では、どうぞ。


第三章 さんにん
顔合わせ


イヴちゃんに遅れて部屋に入ると、どうやらまだ例の人物は目を覚ましていないようだ。初め見た時に比べても唸り声を上げていなければ身を悶えさせていない為、やはりあの薔薇はこの人のものだったのだろう。

 

しかし今の状態が先程より改善されているのならばこのまま寝かせておく方が危ないのかもしれない。今まで扉を越えてくる追跡者()がほぼ居なかったとはいえこれから、今から全く出ないという保証はどこにもない。と言うわけで今すぐにでも起きてもらう事にしようか。

 

 

「イヴちゃん、その人起こしてあげて。ここで寝てても脱出は出来ないからね。」

 

「うんわかった!」

 

 

イヴちゃんが元気よくそう言うと、倒れている人の傍に膝をつき肩をゆさゆさと揺らす。すると元々眠っていたわけではなかったのかすぐに反応が。

 

 

「………うーん……。……あら?苦しくなくなった……ん?」

 

「倒れてたけど大丈夫?」

 

「うわっ!な……今度はなによ!もう何も持ってないわよ!!」

 

 

イヴちゃんが心配しているのを気にも止めず倒れていた人物は勢いよく後退して強い拒絶を見せる。

 

きっと先程まであの『青い服の女』に追われていたから仕方ない事なのだろうけれども、それでも傍から見ていてあまり気持ちのいい光景ではなかった為自分にされた訳でもないのにムッとしてしまうのを抑えられないでいた。

 

 

「ちょっと待ってください。俺達は貴方に何かしようとは考えてないですよ。」

 

 

顰めた表情を崩さずに両手を上げて無抵抗の意志を見せる。するとおそらく男であろうその人物は今まで見えていなかった俺の存在を漸く認識し、立ち上がったイヴちゃんと俺に何度も視線をぶつけてくる。

 

 

「あ……あれ?アンタ達もしかして……美術館にいた……人!?」

 

「うん!」

 

「多分そうですね。」

 

「あぁ良かった!アタシの他にも人がいた!」

 

 

そういうと彼は凄く安心した表情でこちらに近づいてくる。それにしても俺の聞き間違いだろうか。一人称が私のように聞こえたのだが。

確かにすごく礼儀正しく規律を守るのが好きそうな人が私というのは分かるが目の前にいる彼はどう見ても気さくでいざと言う時は規律なんか破ってしまいそうな人相をしている気がする。

 

まぁこの人がどんな趣味を持っていてどんな口調で喋ろうが俺に指摘する資格などないだろう。よほどやばいことを口走らない限りは我関せずの心構えで行こう。

 

そう考えているとその間に2人で話が進めていたらしく、情報共有が既に終わっていた。こりゃやらかしたなぁ……。

 

 

「そっか…じゃあアンタもなんでこんな事になってるのかは分からない訳ね……。」

 

「そうなの。だから2人でここから出ようってここまで頑張ってきたんだ!」

 

「へー!アンタやるじゃない!男の子してるわね!」

 

「あー……ありがとうございます?というかお互いの名前も知りませんしここら辺で自己紹介でもしませんか?」

 

 

先程情報共有している時に自己紹介していたかもしれないが俺は聞いていない為、恥を忍んで1つ提案をしてみる。するとどうやらここまでの道程を話すのに夢中になっていたらしくイヴちゃんもまだ彼の名前を知らないようだ。

 

彼もその事に気づいたらしく「あら」と一言小さく漏らすとこちらに向き直り自己紹介を始める。

 

 

「アタシはギャリーっていうの。そういうアンタ達は?」

 

「わたしはイヴ!そしてお兄さんは……お兄さんなんて名前だっけ?」

 

「イヴちゃん……。ンンッ。則内大利(すのうちひろとし)って言います。ヒロトシで構いません。」

 

「ヒロトシにイヴって言うのね。子供だけじゃ危ないからね…アタシも一緒に付いてってあげるわ!行くわよイヴ!ヒロトシ!」

 

 

そう意気揚々と俺たちを連れ立って先へ進もうとするギャリーさんのやる気に相対して、ちょっと前の部屋にもあった舌を左右にずっと動かしている絵画が先に進ませまいと唾のようなものを勢いよく吐いてくる。

 

1度その行為を見ていた俺達にとってはやっぱりという気持ちしかなかったが、初めて見たギャリーさんはそうでは無かったらしなく「ぎゃーっ!」と後ろにのけ反り、倒れながら叫び声をあげていた。

唾のようものを履かれただけですごくいいリアクションをするなぁと思っているとイヴちゃんがこちらを見ながらにやにやして「お兄さんみたい」って言っているのが聞こえてしまって怖いものがあまり得意ではない自分に嫌気がさす。

 

 

「い…今のはちょっと驚いただけよ!本当よ!」

 

「そんなに言い訳しなくても大丈夫ですよ。気持ちは分かりますから。」

 

 

そんなフォローにもならないようなフォローを入れながらイヴちゃんから驚いている時の俺がどう見られているのかを再確認する。

しかし傍から他人のビビり倒している姿を見ていると、これはまぁなんとも情けなくて目を逸らしたくなる。

 

そんな自己嫌悪に思考を投じていると、ギャリーさんがなんだか驚いた表情でこちらを見つめている。……俺は何か変なことを言っていただろうか?

 

 

「あの……どうかしました?そんなに見つめられても何も出来ないんですが……。」

 

「いや……アンタって意外と優しいのね。さっきはしかめっ面だったから勘違いしてたわ。」

 

「あー……それは申し訳ないです。少し考えることがあったもので。」

 

「アンタも大変ねぇ。無理だけはしちゃダメよ?」

 

「……ありがとうございます。」

 

 

ギャリーさんのおかげで考えることが増えたんだけどなぁなんて考えつつも、そんな事は口に出す事でも無いので適当に当たり障りのない返事を返しておく。

 

 

 

3人に増えたこの珍道中。これから一体何が起こるのか。それらは全て神のみぞ知る……なんてね。




次の更新は本編ではなくif、もっと言えばお遊び回になる予定です。程々にお楽しみに。
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