皆さんの思うイヴちゃんと合えば良いんですけどね。
では、どうぞ。
俺は今すごく気まずい。先程ぶつかった少女は今にも泣きそうな顔でこちらを見つめてくる。そんな顔をされても、今の俺はどうしていいのか分からない。それに何故ここに俺以外の人がいるのか。ここに居るのであれば、なぜ美術館には誰もいなかったのか。
そのふたつの疑問が相まって、俺は思考停止をしてしまっていた。
いつまでも思考を停止させている訳にもいかず、何とかショート状態から持ち直すと俺は少女へと向き直る。
「えーっと……。言葉は通じる?」
少女は未だ潤んでいる目をこちらに向けながらこくんとひとつ頷く。正直外国のお人形さんのように可愛いお嬢様と言われてそうな容姿だったため、念の為の確認だ。
言葉が通じることもわかったところで聞きたいことは幾つもある。しかし年端も行かないようないたいけな少女にあれもこれもと質問するのは酷だろう。なので自分の中で質問を3つに絞った。答えてくれるといいのだが。
「それじゃあこれからお兄さんが幾つか質問をするから、分かるところだけ教えてくれるかな?ここから脱出するためと思ってくれ。」
少女は再び頷く。良かった。こちらに協力的な様子だ。これで少なくとも彼女は俺をここに閉じ込めた犯人かそれに近しい人物出ない可能性が高まった。
「じゃあまず1つ目。君のお名前は?」
「……イヴ。イヴっていいます。」
「そっか。イヴちゃんね。」
イヴ……。やはりどこかの国の令嬢かいいとこのハーフ、いやクォーターなのだろうか?少なくとも身近で聞くような日本人の名前ではない。とにかく次の質問へ移ろう。
「じゃあ2つ目。どうやってここに来たの?」
「えっとね。パパとママと一緒に美術館に行ったの。…………」
どうやら話を聞く限り、俺と同じような方法で来たらしい。要するにお仲間という訳だ。なんだか安心したような。守る労力が増えたことを嘆きたいような。なんとも言えない気分になった。しかしこの子はすごい。俺よりも度胸がある。俺がイヴちゃんくらいの歳の時は勉強もせずにゲームして親に怒られてばっかりだった。そんな過去の俺がこんな状況に放り込まれたら泣き喚いて野垂れ死にしていた事だろう。
「……それでこの部屋をでようとドアを開けたらお兄さんがいたの。」
「そっか。パパやママとはぐれて寂しいよね。パパとママに会いたい?」
「うん!」
「そっか……。わかった!お兄さんに任せて!必ずイヴちゃんを外まで連れて行ってあげる!」
「ほんと!?お兄さんありがとう!」
そう言ってイヴちゃんは顔を綻ばせる。この笑顔に今までの緊張や疲れが消え去る気がした。
しかし何はなくともまず俺の
「じゃあイヴちゃん。早速ここを離れよっか。」
「うん。……ねぇ。お兄さんはなんていうの?」
「え?あぁ、名前?
「スノウチヒロトシ……。変な名前だね!」
どうやらイヴちゃんにとって俺の名前は変な名前らしい。柄にもなくショックを受けてしまった。……この名前に励まされて生きてきたんだけどなぁ……。変な名前かぁ……。子供って容赦ないなぁ……。ははっ、笑えてくるぜ。
最後のイヴちゃんはイヴちゃんじゃない!とお思いのそこのあなた。あなたの思うイヴちゃんを皆さんにさらけ出していきましょう。
曝け出していただいた暁には、私が読んでニヤニヤしに行きます。
本当です。