3人でのだべりも程々に隠し扉の奥を覗くと、どうやら細長い部屋のようだ。しかしよく観察してみてもそれ以外の情報が無く、本当に何も無い空き部屋のようになっている。俺の視力は悪くない筈なのだが見当たらないという事はここにもなにか隠し扉のようなものがあるのか、それとも小さい物が落ちているのか。それくらいしか俺には思い浮かばなかった。
「俺には何も無い部屋にしか見えないんだけど2人はなにか見える?」
「アタシも特にこれといって見えるものは無いわねぇ……。やっぱり入ってみないと分からないのかしら?」
「わたしもなんにも見えないや。でも何かありそうな予感はするよ!」
「じゃあここにいても何も分からないし中に入ってみようか。一応罠がある可能性も頭の片隅に置いておいてね。」
「それは勿論よ!アタシ達はこんな所でくたばってたまるものですか!絶対に脱出してみせるんだから!ね!」
「うん!みんなで脱出してみんなで遊びに行くんだから!」
“え?それは初耳なんですけど?しかも2人とは住んでる国が多分違うから簡単には会えないと思いますけど?”なんて思ったが、それを口に出す事によってイヴちゃんのモチベーションが下がるのはあまり宜しくないと思い直し、
そんな俺のことはお構い無しにお出かけの内容を2人はどんどんと決めていく。今からそんな事を決めた所でここでの記憶が残るのかすらも怪しいのになんて自分でも感じる位にひねくれた思考回路に自己嫌悪を抱きつつも俺は二人の会話に軽く相槌を入れていく。
「……おふたりさん。そろそろ部屋の中の探索に移らない?イベントごとの計画段階が1番楽しいのはわかったからさ。」
「____あら。ちょっと盛り上がりすぎちゃったわね。ヒロトシの言う通り早くこんな所出て3人でお茶にでも行きましょ?」
「さんせ〜!わたしもママのご飯が食べたくなってきちゃった!」
「イヴちゃんお腹空いた?カロリーメイトで良ければ後であげるから今は頑張って。」
「Calorie Mate?聞いた事ないけどそれってなぁに?」
「キャ……?なんで俺のわかるような単語だけネイティブな発音に聞こえるんだ……?……えっと、クッキーみたいな?栄養食だった筈……。」
「Cookie!私食べてみたい!ちょうだいちょうだい!」
「あはは……また後でね。今はこの部屋を調べないとだからさ。」
俺はそう言って部屋の中へと視線を戻す。いくら見た所で確認出来るものは変わらないことは重々承知しているのだが、それでも見るのを辞められないのは何でなのだろうか。
それでもうだうだ部屋の外から眺めていても何も始まらないので、2人がじっと部屋を睨みつけている中俺は部屋の中へと足を踏み入れる。後ろで2人が何か言っているのを無視してズンズンと進んでいくと、部屋の真ん中辺りの床で何やら赤いものがきらりと光るのを確認すると一直線にそれに向かっていく。
「これは……ガラス玉?綺麗には綺麗なんだけどこれが使うところなんてあったか……?」
「ちょっとヒロトシー!そんなとこでしゃがみこんでどうしたのよー!もしかして気分でも悪くなった!?早く戻ってきなさい!」
「きっとそんなんじゃなくてなにか見つかっただけだと思うよ?ギャリーは心配しすぎだって。」
「そんな事言われたって心配なものは心配なの!あー!あの子が行く前に私が行って来ればよかったわ!」
「ギャリー声でかいなぁ……。ここからそこそこ離れてるのに普通に聞こえてくるって興奮しすぎだろ。」
心配性なのはいい事なのだが、高々しゃがんだだけでここまで言われてしまうとさすがに度を越している気しかしなくて流石に対応が面倒になってくる。
これ以上面倒臭い対応を押し付けられても困るのでササッとガラス玉を回収して足早に2人の所へと戻っていく。
「こんなの見つけたけどどこで使うか分かりそう?」
「あら、随分と綺麗なガラス玉ね。……もしかしてこれを拾うためにしゃがんでたの?そうと言ってくれればあそこまで心配しなくて済んだのに……。もう!しっかりしなさいよね。」
「あーはいはい次からは気をつけるよ。そんな事よりもイヴちゃんは何かこれの使い方思い浮かびそう?」
俺の心無い対応にギャリーがギャーギャー騒いでいるがその一切を無視してイヴちゃんにガラス玉を見せる。イヴちゃんは流石に無視できなかったのかギャリーとおれを交互に見ながらオロオロとしていたが、なにか思い浮かんだのかそのものを口にする。
「これ、蛇の目じゃない?」
ここ越したらまた予習をしなければってことを考えると少しだけ面倒ですね。
勿論やりますけど。