では、どうぞ。
「だいたいお兄さんは1人で頑張りすぎなの。確かにわたしは頼りないかもしれないけどもう少しわたし達を信じてくれてもいいんじゃないの?」
「いや、俺はそんなに頑張ってないんだけど……。いやはい。俺は頑張りすぎてました。だからそんなに睨まないで。」
大して怖いものではない……というかとても可愛らしい睨み顔をこちらに向けてプリプリと怒っている。しかしそんなイヴちゃんの不機嫌ですオーラは可愛らしいものではなくしっかりと居心地の悪いものとなっており、微笑ましいような申し訳ないようななんとも言えない気持ちになってくる。俺の良心もそれに伴ってなんとも言い難い気持ちを持ち始めてきて流石にのほほんとしていられない。
そんなこんなで俺が怒られている間でも勿論時間が流れている訳で。ギャリーが近付いている雰囲気が感じられ、俺は急いでイヴちゃんのお説教モードを終わらせる為に説得を開始する。
「イヴちゃん。足音とか引き摺る音が近付いてきてるからそろそろギャリーを助ける準備しないとだから1回落ち着いて?ね?」
「むぅ……今度からは1人で無茶しないって約束できる?」
「そりゃ勿論幾らでも約束するよ。これ以上怒られたくないし、それにイヴちゃんも頑張るんだもんね?」
「うん!」
とりあえずイヴちゃんの怒りを収めてもらったところでギャリーが角からひょこっと姿を現した。ゆっくりと、けれどしっかりとした足取りの後ろにはしっかりと赤い服の女がついてきていることから誘導の方は無事成功したと言って良いだろう。それに少し気になる事もある。
「ギャリー!そこからダッシュでここまで来てくれ!全力疾走でよろしく!」
「はぁ!?アンタさっきと言ってる事違うじゃない!走ったらコイツも早くなるんでしょ!?」
「この距離ならいくらトレーニングしてない奴でも最高速度のまま走り抜けられるだろ!知らんけど!」
「アンタねぇ!そういう事はもう少し確証を持ってから言ってちょうだい!……まぁいいわ!カウントをちょうだい!走ってやるわよ!」
「了解!スリーカウント行くぞ!……3!2!1!GO!」
その合図とともにギャリーは全力疾走を始める。隣にいたイヴちゃんは俺の事を何言ってんだこいつと言わんばかりの目でこちらを見つめてくるが俺が確認したかったのは正しく“これ”である。今回で追われるのは2回目だけど前回の部屋とこの部屋の赤い服の女の違いを確認したかった。だから本当は俺が囮をしたかったが、まぁ止められてしまったものは仕方がない。たとえ獲物が変わってもきっと追いかけ方は変えないだろうと俺は腹を括る。
しかしギャリーが全力疾走をしても赤い服の女は決してそれまでより早い速度で追いかけてくることはなく、今までギャリーを追いかけていたその速度のままこちらへと向かって来ていた。
「ほいお疲れ様。まぁ走る意味無かったっぽいけどな。」
「ハァ……ハァ……アンタねぇ……!それなら普段運動しなくなった社会人に走らせんじゃ無いわよ……!」
「まぁまぁ。これでここの奴ら……というかあいつはどれだけ早く走ってもあいつのスピードが早くなる訳じゃない事が分かったんだからギャリーが走ったのも無意味じゃないって。」
「そんなの結果論じゃないのよ……。全く調子がいいんだから。」
「まぁまぁギャリー。なんとかなったんだからお兄さんの事そんなに責めないであげて。わたしからもいっぱい言ったからさ。」
「仕方ないわねぇ。……まぁそんなに怒ってなかったけど。」
なんだか俺はギャリーからおもちゃだと思われていそうだなと感じながら、会話も程々に部屋の中をしっかりと見渡した。しかし見れば見るほど鏡しかなく、扉が閉まっていた所で何かが変わる訳でも無かった。しかし、この部屋で唯一壁に架かっている鏡からは何かよく分からないけど感じるものがある。それがいいものなのかそれとも悪いものなのか、そこまでは分からないけど一度鏡を覗いてみる価値はあるな。
最近寝ても寝ても寝足りないのでお休みが欲しいですね。
でも来週の予定が忙しくて今から憂鬱です。もしかしたら来週の投稿はいつも以上に遅れるかもしれませんがご了承ください。
もし投稿が無理そうだったら活動報告にて早めにお伝えしたいと思います。