では、どうぞ。
〜無邪気故の恐ろしさ〜
無数に並んだ瞳が不規則に床からこちらを見つめてきている。なんだかとても気味が悪く不気味な光景で少し足がすくんでしまったのだが、俺よりもビビっている人がいてくれたお陰でそこまで驚く事はなかった……と思う。
「うぉっ……!なんだこれ!」
「きゃー!なにこれ気持ち悪い!」
「目がいっぱいだ〜!これすご〜い!」
「なんで床に目があるのよ……!あとなんでイヴはそんなに楽しそうなのよ!」
ギャリーがそう喚いている中、ふとイヴちゃんは手前の瞳の前にしゃがみこむとなんの躊躇いもなく瞳に対して人差し指を突きつけてその大きく開かれた瞳を突かんばかりに決して遅くないスピードで指を近づけていく。
俺とギャリーはその姿にぎょっとしながら慌ててイヴちゃんの凶行を止めるとそのまま立たせて目線を合わせる。
「イヴちゃん。何でこんな事したの?」
「だってあの目が本物なのか気になったんだもん。」
「そっか。じゃあもし本物だったらどうしたの?」
「……あやまる。」
「でも許してくれないかもよ?イヴちゃんがどんな理由であれもし目を触られたら許せないでしょ?それに、ほら。あの目だって怖かったんだよ?」
俺がそう言ってイヴちゃんの触ろうとしていた瞳を目線を向けると触られていなかったはずだがその瞳は潤んでおり、泣きそうになっているのが見て取れる。
その姿を見たイヴちゃんは今更ながらに後悔をしたのか、こちらも少し泣きそうになってきている。
「あの、その……ごめんなさい。」
「謝るのは俺じゃないでしょ?ほら、ちゃんとごめんなさいして。」
「うぅ……、お目目さん、ごめんなさい。」
イヴちゃんがそう言うと瞳は少し考えるように瞼を閉じるが、少しした後にその大きな瞳を弓なりにしならせて『許した』と言わんばかりに微笑んでいるような目を見せる。
「良かったね、許してくれるってさ。でも許してもらえるのが当たり前って思っちゃダメだからね。」
「そうよぉ。いくら謝っても許してくれない人なんてたっくさん居るんだから!」
「うん!わかった!」
何とか瞳の無事もイヴちゃんの元気も守る事が出来た事に何とか安堵しつつ、先へと進んでいく。
――――――
〜ハングドマンに驚きすぎた〜
「あっこの絵美術館でも見たよ!でもなんでここにこの絵があるんだろうね?女の人の絵ばっかりのこの部屋に飾る意味ってあるのかな?」
「そりゃなんかのヒントなんじゃない?それかこの絵実は脅かし要員だったりしてね。まぁしっかり見て見ますか。」
「そうねぇ……ん?この絵からなんか視線感じないかしら?ん〜……うわっ!」
「ギャリーどうしたの?そんなに驚くところあった?」
「コイツ目が光ったわ!こんなの驚かない訳ないじゃない!」
そう言って喚いているギャリーは大の大人とは思えないほどの狼狽えっぷりでなんだか見ているこっちが恥ずかしくなってきそうになってくる。
「こんなのが続くなんてアタシ耐えられそうにもないわ……!一足先に家に帰らせてもらうわ!」
「いやここからどうやって出て帰るんだよ。いくら何でもテンパリすぎ。」
「ギャリー帰っちゃうの……?」
「えぇ!イヴも一緒に帰りましょ?早く帰ってマカロンの美味しいお店に連れてってあげる!」
「ほんと!?やった〜!」
イヴちゃんとギャリーはそう言って部屋の入口の方へと戻って行った。そのテンションと流れについていけなかった俺は1人ハングドマンの絵画の前でポツンと呆れてしまった。
「……ダメだこりゃ。」
――――――
〜もしもR指定の書物をイヴが読んでいたら〜
まず本棚を調べるにあたって俺が右側から、イヴちゃんとギャリーが左側から調べる事になった。取り敢えず1番右側の本棚から順々に調べていこうと本の背表紙をゆっくりと観察していると、視界の端でイヴちゃんの読んでいた本をギャリーが奪って閉じている姿が見える。
「ギャリーどうした?何かヤバいもんでも書いてあったか?」
「こんなの有害図書よ!なんでこんなものが誰でも見られるように置かれているのよ!」
「ギャリー、なんて書いてあるか教えてよ〜。」
「……こういうのは大人になってから読みなさいね。アンタにはまだ早いわ。」
「ふーん……。G指定はある?」
「いいえ、無いわ。アンタも読みたいと思ってもイヴの前でだけは読まないでよ!?」
「流石にそこらへんの分別はついてるさ。」
俺はギャリーから件の本を手渡されながら直ぐにそれを読もうとはせずにそのまま会話に勤しむ。それも一区切り着いた所で手渡された本を適当にパラパラと読み進めていくと、確かにこれはイヴちゃんにはまだ早いものだ。
「こりゃイヴちゃんには早いわな。なんなら俺にも早いかもしれん。」
「え?……あぁ年齢的にはそうよね。でもアンタくらいの子ならこういうの見てるもんじゃない?」
「まぁそうかも。多分俺の知り合いにもこういうのが好きな人もいるでしょ。」
「お兄さんはそういうのは好きじゃないの?」
「うーん……何とも言えないかなぁ。嫌いではない……かも?としか。」
「イヴ、あんまりそういう事は聞かない方がいいわよ。はっきりと返せる人はそう多くないと思うわ。」
「うーん……わかったぁ。」
あまり納得していないような様子を見せながらも渋々頷いてくれたイヴちゃんの頭を軽く撫でてから再びなにかヒントが無いか本棚の調査に戻る。
前話でも言いましたが次の火曜日にワクチンを打つ予定なので余裕がありましたら投稿させていただきます。
なので次の更新は金曜日になるかと思われます。多分ですけど。