悠人「それでそのお前の親父を殺した連中の組織は一体何をしでかそうとしてんだ?」
いくつか気になった点の疑問も解消され悠人はレイナに本題を訊く。百三十八億年前のアインスという星にいたというウルゴスの王族が何を目的に精霊とヴェノムを使って生き長らえてきたのか漸く知る覚悟ができた。
レイナ「
悠人「は?
ビッグバンを起こす?」
レイナ「そう。
組織はある精霊の力を使って再びこの宇宙でビッグバンを起こして全てを消し去ろうとしている。
そうして何もかも無くなった宇宙でその精霊の力を使って百三十八億年前に存在していた彼等の星アインスを甦らせようとしているの。」
悠人「なっ、何でそのアインスとかいう星を甦らせるのに宇宙の全てを消す過程が必要なんだよ………?
別にアインスだけ復活させりゃいいだけなんじゃねぇのか?」
レイナ「組織が復活させたいのは
アインスがまだこの宇宙にあった頃は宇宙にはアインスの星と太陽が一つずつしかなかった。
今アインスを宇宙に作ったとしても彼等の思うようなアインスは誕生しない。
きっと今宇宙にある
だから環境を整えるために一度ビッグバンで全てをリセットしようとしている。」
悠人「そんなことを………。
でも星なんてそんな簡単に人が作れるもんなのか………?
今こうして俺達の地球があるように星ってのは長い時間をかけて自然に誕生するもんだろ?
いくら人の手があったって星なんてそう簡単には………。」
レイナ「そのために組織は私の持つウンディーネ達よりももっと上の力を持つ精霊………“
悠人「星砕きの大精霊………マクスウェル………?」
だんだん話が悠人でもついていくのがきつくなってきた。百三十八億年前にあったアインスだの精霊だのと一般人である悠人がここまで深入りしてもいい話なのか迷うところだったがとりあえずは最後まで聞くことにする悠人。
レイナ「星砕きという名前は組織の連中がその大精霊がアインスをビッグバンで砕いたことからその名で呼んでいるみたい。
マクスウェルという名前は元々はウルゴスの王だったお祖父様の名前でいづれその星砕きが新たに作られるアインスの王に捧げられることからマクスウェルの名も与えたの。
本当はその大精霊自体には名前なんて無いわ。
名前があるのはその星砕きに名前を授けられた
その六体が大精霊に仕える六体の眷属とされているわ。」
悠人「ウンディーネにシルフ、イフリート、ノーム、セルシウス、ヴォルト………。
………なんかよく漫画とかのネタで聞く名前だな。」
レイナ「組織の連中はアインスがまだあった時にその六体との接触することには成功したみたいだけど星砕きだけはアインスが破壊されてからその存在を知ったから捕まえることは出来なかった。
後で調べて分かったことだけどアインスは元々星砕きが創った星だった。
アインスを創った星砕きがアインスを粉々にしたことから組織の連中は星砕きの力ならもう一度アインスを創り出すことが出来ると確信して………。」
悠人「星を創るか………。
まるで人が想像で作り出した
けど早々神なんて捕まえることなんて出来ないだろ?
百三十八億年前にアインスって星をぶっ壊されてそれで今日まで探しるってんならこの先もまだもう少し「いいえ。」」
レイナ「星砕きは既に
先日あの研究所で研究員達が話してるのを聞いた。
星砕きは
レイナは星砕きが組織の手に渡ってしまったことを悠人に告げる。それが指し示すのは組織の目的が既に今この時点で達成されてしまっているということ。そうなると………、
悠人「………それって非常にまずい事態なんじゃないか?
その星砕きって精霊の力を使えば第二のビッグバンが起こせるわけだろ?
それならいつビッグバンが来てこの太陽系が滅ぶかっていうところなんじゃ………。」
レイナ「安心して。
星砕きを奴等が手に入れたのはついこの間だそうよ。
奴等がビッグバンを発動させるのは星砕きの力を完全にコントロールしてからだからまだ当分はビッグバンは起こらないわ。」
悠人「コントロールって?」
レイナ「今の私のようにウンディーネが定着するのに時間がかかるってこと。
私のウンディーネでさえ十年経ってもまだ定着しきらないんだからその上位の精霊星砕きともなるともっとかかるでしょうね。」
悠人「だいたいどのぐらいかかるんだ?
その精霊が定着するのって。」
レイナ「私の予想では星砕きが定着するのに………、
百年程度かかるでしょうね………。」
悠人「………百年………?」
レイナ「えぇ、
これから百年後に奴等はこの宇宙でビッグバンを「なぁんだ。」」
悠人「だったら
悠人はレイナの予測を聞き安堵する。レイナの言う組織とやらが星砕きを手に入れビッグバンを起こし宇宙の全てを吹き飛ばすのが百年後であるなら悠人はその頃には既に寿命を迎えている頃だろう。
レイナ「…関係無くはないでしょ?
貴方だって………貴方の子供か孫がまだ生きてるだろうしもっと先の子達も………。」
悠人「悪いがまだ存在してない俺の子供のことなんて考えられねぇよ。
もしかしたらこれから先俺に子供が出来るかどうかも分からないしな。
それに百年後とかだったらとっくに俺はビッグバンよりも早くに死んでるだろうよ。」
レイナ「貴方は………この地球がどうなってもいいの………?
貴方が………貴方達が住むこの星が奴等の身勝手で滅ぼされてしまうのよ?
それでもいいの?」
悠人「………………、
………そんなの俺個人の意見でどうこう出来るような話じゃねぇだろ。」
悠人はレイナの話を冷たくあしらった。
レイナ「………」
悠人「正直お前の今までの話だってにわかには信じられないんだ。
地球が滅ぼされる?
ビッグバン?
どこのSF映画だよ。
スケールがでかすぎて想像出来ないんだよ。
しかも百年後にそのビッグバンが起こるってんならその時にこの世にいない俺がどう困るってんだ。
そんなにどうにかしたきゃ百年後の政府にでも頼めよ。
俺は知らねぇ。」
そう………レイナの話の通りであるなら地球が滅びるのは百年後。八十才前後の寿命しか持たない悠人にとっては宇宙の滅びよりも先に人としての寿命が尽きているあたりである。悠人がわざわざ動く必要は何一つ無い。
ガタッ!
レイナが突然席を立った。
悠人「どうした?」
レイナ「もう寝るわ。
ご飯も食べたしこれ以上貴方にこの話をしても無駄なようだしね。」
悠人「そうか。
お休み。」
レイナ「お休み。」
レイナは一人寝室に向かった。悠人は居間に残り気軽にテレビをつけて寝るまでの時間を過ごした。
悠人「(………そういやあいつ………ハーフエルフって言ってたな………。
………あいつにとっては百年後も無関係な話じゃねぇのか………。
あいつは百年後のビッグバンを直接………。)」
百年後にビッグバンご起こるのであればハーフエルフであるレイナはその瞬間に立ち会うことになるだろう。レイナが二十歳でハーフエルフの寿命が千年もあるのならレイナにとってはビッグバンとは間近に迫った
悠人「(………お前は俺に組織の野望を一緒に止めてほしいって思ってたのか?
悪いがレイナ………俺にはこの星を危険を冒してまで救いたいなんて気持ちがこれっぽっちもねぇんだよ。