悠人宅 水曜日 十六日目
レイナ「ねぇ悠人。」
悠人「ん?」
レイナ「大学って楽しいの?」
悠人「は?」
朝食を終えて大学へ向かう準備をしているとレイナが大学のことを訊いてきた。
レイナ「貴方いつも大学から疲れた様子で帰ってくるじゃない。
昨日なんかは特に疲れてたみたいだけどそんなに疲れるところに貴方は毎日通ってるでしょ?
大学って絶対に行かなければいけないところなの?」
悠人「…そりゃこの御時世学歴社会だからな。
いい企業に就職するには最低限大学くらいは出とかないといけないんだよ。
就職するにしても就職先の人間とは初対面になる訳だろ?
高卒でも就職は出来るけどそうなると入れるところってそんなに多くはないんだよ。
やっぱり人ってのはその人が何をしてきたかとかで判断するからな。
大学を出たともなれば能力も見られるし色々と行ける会社に幅が利くようになる。
楽しいかどうかって訊かれると別に楽しくはないがそれでも大学には行っとかなくちゃな。」
レイナ「ふぅん………。」
悠人「お前は………そういやお前ずっとこの家に引きこもってるもんな。
ずっとフェザード社のテレビばかり見てるのか?
退屈ならネット使えるパソコンがあるから暇ならそれで時間潰しといてもいいぞ?」
レイナ「パソコン………?」
悠人「ほらそこにあるやつだよ。」
悠人は指を指してパソコンの所在を教える。
悠人「パソコンで調べものとかも出来るからこれ使ってフェザード社のこととか見ててもいいぞ?
つっても特に怪しい内容のこととかは載ってないだろうけどな。」
レイナ「文字とかはどうやって打つの?」
悠人「これマウスっていうんだけどこれを動かすとこの画面の中に矢印を操作出来るんだよ。
カーソルって言うんだけどカーソルを合わせて右クリックを打ちたいところにクリックするんだ。
クリックしてあとは文字をこのキーボードってので打ち込んでいくんだ。」
レイナ「えと………文字………。」
悠人「ローマ字入力分からんよな………。
ゆっくり教えてやりたいけど俺もそろそろ大学に行かないといけない時間だし………続きは帰ってから教えるでいいか?」
レイナ「………このキーボードっていうのを打てばいいのよね?」
悠人「ん?
そうだな。
ここに文字を打てばそれに関連したページに飛んでくれるんだよ。
試しに“フェザード社”………って打ってここのエンターキーを押せば………ほら。」
パソコンの画面にはフェザード社の検索数一億七千二百六十七万三千三百二十八件の項目が表示される。
悠人「そしてこの画面の左上に“進む”と“戻る”ってあるだろ?
ここをクリックすれば前後のページに戻れるから。
今教えられるのはこれくらいかな。
それじゃ俺は大学に行ってくるから。」
悠人は最低限の使い方をレイナに教えて家を出た。取り残されたレイナはじっとパソコンの画面を凝視して………、
レイナ「………」
……………………………………………………………………
東京工業大学
悠人「レイナのやつ大丈夫かな………。」
大学についてから悠人はレイナの心配をしていた。家にいる間テレビの放送ばかり見ていても退屈だろうとパソコンのことを教えたが文字打ちが出来ないのでは使いこなすことは難しいだろう。
悠人「(…あいつあぁいう電子機器系使うの得意そうじゃなかったもんなぁ………。
………あいつ確かこの前の時に十年前にフェザード社に捕まったって言ってたな。
十年前っていうと俺と同い年だから十歳の時か。
十歳だとまだろくにパソコンとかも詳しくないよなぁ………。
ってかあいつ国籍とか義務教育とかその辺りどうなってたんだ?
あいつ自身この地球生まれのハーフエルフって言ってたがどこで生まれ育ったんだ?
エルフって種がいたこと自体未だに驚きだが母親はこの星の人間だって言ってたな。
母親がいるなら母親がレイナを産んだ時点で出生届を………………出せるのか?
髪の色は水色だし耳があんな尖った子供が生まれたら産婦人科側もびっくりするだろ。
………国籍は持ってなさそうだな。
そうなると学歴の方も小学校ですら通ったりはしてないよな?
………………まさかあいつ漢字とかも読めないんじゃないか………?
もしそうならあいつ………。)」
佐藤「おい。」
悠人「!」
佐藤「陰キャ野郎。
何一人でボケっとしてんだよ?」
悠人「別に………。」
一人で構内を歩いていると佐藤に出くわしてしまう。
佐藤「お前暇そうだな?
ってか暇だよな?
ちょうどいい。
だったら少し付き合えよ。」
悠人「何にだよ?」
佐藤「ついてくりゃ分かるぜ。
こっちだ。
来い。」
悠人「何で俺がお前に付き合わないといけないんだ?」
佐藤「ああ?」
ガッ!
佐藤が悠人の襟首に掴みかかってくる。
佐藤「テメェは素直に俺の言うことを聞けばいいんだよ。
この俺にビビっていつも何も出来ずに痛い目見てるのはどこのどいつだ?」
悠人「………」
佐藤「………何か言えよ?
それとも俺が怖くて腰が抜けたの「離せよ。」」
パシッ!
悠人「手短に済ませろ。
俺もお前にいつまでも付き合ってやれるほどの時間はない。
俺に用事があるんならさっさと連れていけ。」
佐藤「…生意気だな。
でもついて来るってんなら今の俺の手を叩き落としたことはなかったことにしてやるよ。
どうせ直ぐに
悠人「………」
悠人は佐藤に連れられどこか大学とは違う別の場所へ向かった。道中佐藤は薄気味悪い笑みを浮かべていたが悠人は特に気にすることなく佐藤の後ろをついていくことにした………。