テイルズオブフィナーレ2   作:モニカルビリッジ

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第20話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 佐藤に連れてこられたのは街から離れた場所にある廃墟と化したデパートだった。

 

 

悠人「こんなところに連れてきて何するつもりだ?」

 

 

佐藤「いいから黙ってついてこいよ。

 お前に見せたいもんがあるんだ。」

 

 

悠人「………」

 

 

 この様な人気の無い場所に連れ込んで一体何をするというのだろうか。連れてこられたのが女性であったならここで人目も憚れるような如何わしいことを無理矢理されてしまうのだろうが悠人は男性だ。佐藤にそういった性癖でも無ければ悠人が心配するようなことは起こり得ないだろう。

 

 

 

 

 

 

ザワザワ………、

 

 

 デパートの中を進むにつれて奥の方から段々と人の気配がしてくる。どうやらここに佐藤の仲間達がいるようだ。

 

 

佐藤「ヘヘ、

 もうすぐだ。

 ここまで来て逃げたりすんなよ?」

 

 

悠人「ここまでついてきて今更俺が逃げると思ってんのか?

 どうせ逃げても後でもっと酷い目にあうんだろ。

 だったら素直についていくさ。」

 

 

佐藤「強がり言ってられるのも今だけだぜ。

 お前はこれから俺達の遊びに付き合ってもらうからな。

 ククク…。」

 

 

 佐藤のようなチンピラが考え付くような遊びなどどうせろくなことじゃないだろう。悠人は内心溜め息をつく。

 

 

悠人「(ハァ………、

 面倒くさいな。

 さっさと終わらせて帰るとするか。)」

 

 

 

 

 

 

佐藤「………ついたぜ。

 ここだ。

 

 

 

 

 

 

 

 今日はここでお前に俺達と()()をしてもらう。」

 

 

 

 

 

 

 佐藤が足を止めたのはとある一角の広い部屋だった。部屋の中には佐藤の取り巻き達五、六人と中央にどこから持ってきたのか格闘技の試合で使われるリングが一つあった。

 

 

 

 

 

 

「おう佐藤!

 遅かったじゃねぇか!」

 

 

「待ちくたびれたぜ。

 やっとカモを見付けてきたんだな。」

 

 

「そいつが今日のスパー相手か?」

 

 

「今日は何ラウンド持つかなぁ!」

 

 

 

 

 

 

佐藤「ヘヘヘヘヘ!

 悪ィ悪ィ。

 探しだして連れてくるまでに時間がかかってよぉ。

 早速始めようぜ。」

 

 

「ヒューッ!!」

 

 

「待ってましたぁ!!」

 

 

()()()さんよぉ!

 せめて十分は持ちこたえてくれよぉ?

 さっさと終わったりしてもつまらねぇからな!」

 

 

 佐藤と取り巻き達の発言からどうやらこれから悠人は佐藤達とリングで試合をさせられるようだ。部屋の片隅にボクシンググローブがあることから試合形式はボクシングだと推測できるが………、

 

 

 

 

 

 

悠人「…一応訊いておく。

 これは俺とお前でボクシングをやろうってことでいいのか?」

 

 

佐藤「そんなもん見りゃ分かるだろ。」

 

 

悠人「お前ボクシングのルール知ってるのか?」

 

 

佐藤「たりめぇだろ。

 試合に使っていいのはグローブを嵌めた拳だけだ。

 それ以外を使って相手を攻撃したら反則。

 一ラウンド三分で今回やるのは六ラウンドだ。」

 

 

悠人「六ラウンド?」

 

 

佐藤「そうだ。

 お前時間が無いって言ってたよな?

 そんなお前には優しい優しい俺が()()()()()()()()()()()()()

 ………お前には………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 六人全員渡り終わったらお前は帰してやる。

 時間が無いっていうお前に配慮した良いルールだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠人「(………そんなことだろうと思ったよ。)」

 

 

 佐藤がいう特別ルールというのは要するに集団リンチを一人ずつ行うというものだった。ボクシングのルールは世界のどこを探しても途中で選手の交代などあり得ない。最初のラウンドから最後のラウンドまで二人の選手だけがリング上で互いに拳をぶつけ合うのが通常のルールだ。それが片方は最後までリングに立ち続けるがもう片方は三分ごとに全快の選手と入れ替わり続ける。どんなプロボクサーでも余程力の差が無い限りは最後までリングに立ち続けることは不可能だ。

 

 

佐藤「あと追加でもう一つだ。

 この試合でお前がラウンド終了前にダウンして十カウントでKOなんかしやがったら試合できてなかった他の奴等が可哀想だろ?

 だからそん時は次の番の奴からまた一ラウンドから数え直すことにしようぜ。」

 

 

「おっいいねぇ!」

 

 

「じゃあ俺の番の時にKOさせてやるよ!

 そんときゃもう一回出来んだろ?」

 

 

「ハハハハハ!」

 

 

 

 

 

 

悠人「(ハッ………ヘドが出るな。

 ここまで腐ってやがったか佐藤………。

 ………お前の()()()()()には同情するがな。

 これは少しやり過ぎだと思うぜ。)」

 

 

 こうして不良同士でつるんでいる佐藤だが美咲が高校時にクラスメイトから聞いた話によると佐藤は中学までは普通に学生生活を送っていたようだ。それが高校受験で国立を受験して失敗し、以降このように性格が歪んでしまったとのこと。なんでも佐藤には他に三人の兄達がいてその兄達は国立を受けて合格しそれに続くことが出来なかったことから家族間で冷遇され孤立したらしい。国立を受験した理由はフェザード社勤務の父親からの命令で父親が将来的に息子達全員をフェザード社に入社させたかったらしく佐藤はその期待に応えられなかった。その関係で佐藤は父親から実家のある関西から関東の寮のある高校に入れられ大学もそのまま関東の悠人達のいる東京工業大学を受けさせられ今に至る。

 

 

 

 

 

 

悠人「(中学の頃は生徒会長だのボランティア活動だのかなりの努力家だったらしいが国立受験でそれまでのこと全てが否定されて自分の方向性を見失った結果がこれか。

 こりゃいつかテレビで傷害事件でも流れたりしそうだな。

 

 

 “人は一人では何も出来ない。”

 ………だからといってクズがクズを集めてもな佐藤。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出来ることなんてたかが知れてんだよ。

 ()()()()()()()()()()()()だろうがそんなんじゃお前の親父は意に間介さないだろうな。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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