佐江渡「本日は貴重な休日に御時間を割いていただき有り難うございました。」
悠人「いえ、
特に予定とかは無かったので。」
一通り佐藤のことについて話をした後に佐江渡と卓は別の佐藤の被害者の家に向かうと言ってきたので玄関外で見送りをする。
佐江渡「もしまた佐藤衛のことで何かありましたら御連絡下さい。
此方が私の携帯に繋がりますので。」
卓「私の携帯の番号もお渡ししておきます。
衛は既に成人した身でありますし訴訟を起こされるのであれば私の家も御協力致しますよ。」
悠人「………」
仮にも身内だというのに卓は佐藤………衛をとことん突き放すような対応をすると申し出てくる。ここまで実の弟に非情になりきれる辺り本当に衛は家では酷い扱いだったようだ。衛が家の期待に応えられなかっただけで彼は家からも見離されている。少し彼には同情する悠人。
卓「………そういえば鈴木さんは御一人でこのお宅に御住まいなのでしょうか?
御両親は今日はお見えになられませんでしたがどちらに?」
悠人「両親はいません………、
………小さい頃に叔父に引き取られて先月までは叔父とここで暮らしていたんですけど病気で亡くなって今は一人で住んでます。」
卓「………そうだったのですね………。
それでは鈴木さんは………何方か他に御親戚の方とかはおられないのですか?」
悠人「皆自分の家庭がありますので。
それに俺………ももう二十歳ですから一人で何か困るようなこととかもありませんし。」
卓「そうなのですか?
ですが御一人でそれも衛と同じ大学に通われているのであれば何かと不便を感じてらっしゃるのではありませんか?
学費や生活費とかも収入が得られるようになるまでは節約とかしなければならないのでは………?」
悠人「お気遣い有り難うございます。
でも御心配なく。
叔父が残してくれた遺産だけで大学の卒業までは生活できますから。」
卓「………お差し支えなければ私の家の方で支援致しましょうか?
衛の非礼の償いとして私の方から鈴木さんの御卒業までの学費を受け持つことも可能ですが………。」
悠人「流石にそこまでしてもらうのは結構です。
うちとしてはもう衛君を俺に近付けさせないことを約束してもらえれば。」
卓「しかし………。」
嫌に悠人の世話を焼こうとする卓。いくらフェザード社で給与が高くとも悠人の残り二年の学費を払おうとするのは過鑑賞過ぎるのではないかと思う悠人。佐藤に暴行を受けた者は数多くいるがまさかそな全員にそんな待遇を用意するつもりなのだろうか。
卓「!」
突然卓は悠人の家の二階の窓に目を向ける。その部屋はカーテンが閉められ中の様子は一回からじゃ見えない筈だが………、
悠人「どっ、どうしました?」
卓「………鈴木さんはこのお宅に今御一人で住まわれておられるのですよね?
………今
悠人「(レイナ………!?何やってるんだよ!?)
きっ、気のせいでは………?
この家には俺しか住んでませんよ?」
卓「ですが今確かに窓を締め切っているにもかかわらずカーテンが揺れ動いていましたが………。」
佐江渡「!
もしや空き巣が鈴木さんのお宅の中にいるのではありませんか?
私達が一階でお話を伺っている最中に鈴木さんのお宅に侵入したんじゃ………。」
卓「もしそうなら早急に取り抑える必要がありますね。
鈴木さんが御一人でこのまま戻られたら空き巣犯と鉢合わせする危険があります。
鈴木さんだけでは空き巣犯から何をされるか分かりません。
最悪刺されたりでもしたら………。」
佐江渡「まだ空き巣がいるとは決まっていませんがもう一度お宅の中を確認しても宜しいですか?
私が先ず二階を確認してきますので鈴木さんはここに。」
卓「佐江渡さん、
応援を呼ばれた方がいいのではありませんか?
それか一緒に私も上がってみましょうか?
これでも私は柔道三段の段位がありますから人一人押さえ込むぐらいなら私も出来ますよ。」
佐江渡「それは心強い。
鈴木さんは運がいいですね。
空き巣犯が現れたところに丁度私達が居合わせたのですから。
これから直ぐに空き巣犯を捕まえにいきますので「ねっ猫です!」」
悠人「最近猫を飼い始めてあの部屋には猫がいるんです!
だから空き巣とかじゃありませんから大丈夫です!」
悠人は卓と佐江渡に二階に猫がいると嘘をつき二人がまた家の中に入っていこうとするのを阻止する。
卓「猫………?」
悠人「そうなんです!
まだ躾とか出来てなくて引っ掻いたりするからあの部屋に閉じ込めてたんです!
決して空き巣とかじゃありませんから心配しないで下さい!」
卓「………」
佐江渡「いえですが念のために一応中を「分かりました。」」
卓「どうやら私の勘違いだったようですね。
一瞬人影のようにも見えましたが見間違いだったみたいです。
本日はどうも有り難うございました。
私共はこれにて失礼します。」
卓はそう言うと悠人に背を向けて去っていく。卓が歩き出すと佐江渡もそれについていく。
佐江渡「まっ、
待ってくださいよ佐藤さん!」
悠人「………………、
………どうにかレイナの存在はうまく誤魔化せたな。
…あのアホめが後でたっぷりと説教かましたる。」
…………………………………………………………
佐江渡「………良かったんですか?
佐藤
佐藤「ん?
何がだ?」
佐江渡「さっきのことですよ。
犯人を確保しなくて良いんですか?」
佐藤「あぁ、
別にいいだろ。
家主が猫だって言い張ってるんだからあれ以上俺達が深入りは「その事じゃありません。」」
佐江渡「先輩フェザード社の上の人達から密命を受けてたんじゃないんですか?
三週間前に
卓「………あぁそっちか。
それもいいんじゃないか?」
佐江渡「え?
いいんですか?」
卓「今回の俺の目的は
そのために警視庁に就職したお前を呼んだんだ。
衛の件は鈴木悠人に会うためのいい口実だったけど俺だけだとどうにも会話が繋げられずに家の中に入るのは難しかった。
それでお前と一緒なら奴も家の中に入れてくれるだろうと思ったんだ。
家の前で警官と話なんかしてたら近所から変な目で見られるだろ?
奴もそういう面倒事になるのは避けたいだろうし何より………。」
佐江渡「何より?」
卓「鈴木悠人の家に今誰か
もし鈴木悠人に仲間が複数人いるのであればそいつらを纏めて捕まえるってのがフェザード社の意向なんだ。
だからまだ今は鈴木悠人には泳いでいてもらうんだ。
奴を捕らえるのは奴の仲間達を徹底的に調べあげてからでも遅くないんだよ。
そう………………