悠人宅 夜
レイナ「今日会ったあの慧子って子中々面白い子だったわね。」
帰宅するなりレイナが慧子への感想を悠人に言って来た。
悠人「そうかぁ………?
俺はあいつに会う度にゲイだのホモだの言われるからあいつ苦手なんだよなぁ………。」
レイナ「一応訊いておくけどそのゲイとかホモってのは男が好きな男のことを言うのよね?
貴方男が好きだったの?」
悠人「そんな訳あるか!?
俺は普通にノーマルだ!」
レイナ「………と言うと?」
悠人「………男よりかは普通に女の人の方が好きです………。」
自分が異常性癖者でないことを説明するためとはいえ女性に向かって女性が好きと豪語するのは気恥ずかしいものがあった。レイナは気にはしていないようだったが悠人はその場から逃げ出したくなるような気持ちになった。
レイナ「貴方がどんな人達と大学で生活してるのか分かったような気がするわ。
貴方大学のこと全然話してくれないんだもの。」
悠人「大学は勉強が第一だからな。
個人の友人の話なんてそんな話したところで実際に会ってみないとよく分からないだろ。」
レイナ「会ってみた結果があの慧子だったと………。
ああいう子がいるのならもっと他の人達のことも聞いてみたいわね。
他にどんな面白い人達がいるのかしら?」
悠人「あんなのがそう多くいてたまるか。
他にあれに匹敵するようなのは………。」
レイナ「匹敵するようなのは?」
自分の周りにいる人物達が慧子だけが例外と言おうとしたが思い返してみて改めて自分の周りには変人しかいないことに気付きそこから先を言い出せない悠人。そんな悠人にレイナは、
レイナ「………その様子だとまだ慧子以外にも楽しそうな子がいるようね。
教えなさいよ他にどんな奇人がいるのかしら?」
悠人「奇人も変人もいねぇよ。
普通だ普通。
何も話しても面白いことなんてない奴ばかりだ。」
一瞬会長達のことが頭に過るがこの話題をこれ以上広げる気はなかった。なので悠人はそれ以上他に人物の名前を出すのは避けた。
レイナ「それでもいいから言いなさい。
貴方の周りには慧子以外にどんなおかしな人がいるの?」
悠人「おかしい前提で話を進めるなよ。
高橋みたいな強烈なのなんてそう滅多には『次のニュースを御伝えします。』」
その時流れたニュースが在り来たりなよくある類いのニュースであったら悠人もレイナも会話を中断してテレビを見いることはなかっただろう。だがそのニュースは二人にとってはとても無視することが出来ない重要な話をし始めた。
『先日南アジアで長らく続いていたダムス国の紛争が
平和の象徴アイオーンが紛争地帯に投入されるのはこれで十七度目でいずれも民間人への被害を考慮した大統領がアイオーンの出動要請をフェザード社に依頼したことで二十年に渡る戦いに終わりを迎えることとなりました。
今後は大統領と会談を重ねてフェザード社に地域の改革を推し進めていく方針で………。』
悠人「………またフェザード社か………。
フェザード社がどんどん世界を染め上げていくな………。」
レイナ「アイオーン………。
フェザード社の
………悠人はアイオーンのこと知ってるの?」
悠人「知ってるも何も知らない奴がこの地球上にいるのかってくらい有名な軍隊だ。
戦えば負け知らず。
噂通りならアメリカ軍や中国、ロシア軍なんかともやりあったとしても勝ちを納めると言われる程強い部隊って話だ。
フェザード社が組織する軍隊でこれまで十七回色んな紛争地帯に送られて
今までは絶対にそんな話はデタラメだと思ってたがあの島でのことがあったらそれも分かる話だな。」
レイナ「えぇ………、
そのアイオーンって部隊………、
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ダムス国 某所 同時刻
ダムス国とある場所で怪しげな集団が怪しい集会を開いていた。
男「諸君!!
我等は時代の流れに飲み込まれてはならない!!
我等は我等が培ってきた伝統を後世に残していかなければならぬのだ!!
私は現政府を断固認めることは出来ない!!
彼等は我等が神と讃える
神の名を汚した憎き悪魔の手に落ちた異端共だ!!
我等はそんな悪の軍勢に真っ向から対立し勝たねばならない!!
イブリス様の名に誓って!!」
「「「「「「「「「「おおおおおおぉぉッ!!!」」」」」」」」」」
男が発した言葉に感応するように男の前にずらりと並ぶ武装した兵士達が歓声を上げる。ここにいるのは全員ダムス国政府に反旗を翻す反政府組織のメンバー達だ。彼等はイブリスという神の存在を信じる宗教信者達だが現政府と思想を違え武力を持ってこれを討ち滅ぼそうとしていた。
男「現政府の者共は我等が神を冒涜しただけに留まらずフェザードなどという国外の異教徒の力を借りてきたようだ!!
異教徒の力は中々に強大でこれまで他の異教徒達がこの力に破れ去っている!!
だが同志達!!
案ずることはない!!
異教徒の軍勢は
男はそう言うと兵士達が所持している銃器とは明らかに形状が異なる銃器を掲げた。
男「これが敵の異教徒が使用していた銃だ!!
異教徒達はこの兵器で我が軍の兵士を薙ぐように滅していた!!
だが同志の一人が隙を見てこれを奪い逆に奴等の軍勢目掛けてこの兵器を撃ち放ち奴等に死の裁きを下した!!
勇敢なる同志は残念ながら相討ちとなり神の元へと還ったが同志は命を賭してこの敵の新型兵器を我等の元へと送り届けてくれた!!
これで我等は奴等異教徒と対等となったのだ!!
同志諸君!!
我等にはまだ希望は残されている!!
この同志の残してくれた希望で我等は新手の異教徒共にも完全なる勝利を納めるのだ!!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉッ!!!!」」」」」」」」」」
男達は更に荒ぶり咆哮を上げる。男の演説は妙にカリスマ性を帯びており彼に従う兵士達は自分達がフェザード社に勝つことを微塵も疑っていない様子だった。
男「………さて諸君。」
男は振り返り歩きだした。男が歩きだした先には滅多刺しにされた一人の兵士の死体が転がっていた。格好からして反政府組織の一員ではないようだが………、
男「ここに異教徒達を指揮していた者の骸がある。
この骸の首を刈り取り現政府に突き出すことで我等が信念が本物であることを現政府に示してやろうではないか。
我等が真に神の恩恵を授かりし選ばれし民であることを現政府の愚か者共に知らしめてやれば奴等も正気を取り戻して我等が正しかったのだと思い知ることに「お取り込み中すみません」!!!?」
「「「「「「「「「「!!!?」」」」」」」」」」
男が兵士達に語りかけている時に突如兵士の死体が起き上がり言葉を発する。それまで大歓声で埋め尽くされていた部屋の騒音が一瞬で静まり返る。
死体「貴方が反政府組織
弟君のハルデン閣下より勅命をお受けしました。
貴殿方をここで殲滅致します。」
数分後、ダムス国を二分に分けていた反政府組織INAは瞬く間に壊滅した。反政府組織リーダーのフィラルデンは最期に「神は決して我等を見捨てはしない…」と言い残してその生涯に幕を閉じた………。