東京工業大学 月曜日 二十一日目
美咲「おっす悠人。」
悠人「おう美咲。」
大学に着き悠人は美咲に会って軽い挨拶をかわす。
美咲「悠人、
朝のニュース見たか?
なんか昨日池袋の駅の方で爆弾事件があったらしいぞ。」
悠人「そっ、
そうなのか?
へっ、へぇ………。
朝はちょっとドタバタしててテレビ見てなかったなぁ………。」
実際は朝から当事者である自分達のことをニュースに取り上げられているのでないかと冷や冷やしてテレビをつけた。そしたらやはり昨日のことがニュースでやっていて悠人はがっくりと項垂れて登校してきた。
美咲「なんか男女二人組の連中らしくてな。
女の方が爆弾持ってて駅のホームで爆発させようとしたらしいぞ。
不発だったみたいだけどな。」
悠人「そっ、
そんな事件があったのかぁ~。
知らなかったなぁ。」
美咲がそこまでのことしか分からないのであればどのニュースでも事件に関与した二人組の顔までは報道されていないようだ。駅ということもあり監視カメラに顔が映っていたらと心配したが初動の早さもあって報道でも男と女の二人組み以上の情報は何も開示されていなかった。
美咲「俺昨日は品川の方に用があったからなぁ。
誰か昨日のこと詳しい奴いないかなぁ。
そういや高橋が池袋付近に住んでたな。
ちょっと何か知ってるか訊きに行こっかなぁ。」
悠人「!?
まっ、
待て!
別にそんな直ぐ訊きに行かなくてもいいだろ!?
高橋だって講義とかで忙しいだろうし!」
昨日の感じでは恐らく高橋は駅でのことは何も知らない筈だ。だが高橋は昨日悠人がレイナを連れて池袋にいたことは知っている。高橋の口からレイナの存在が明るみに出れば美咲や会長達から面倒な質問責めに会うのは確実だ。今まで女の匂い一つさせなかった悠人に女性の影が見え隠れすれば駅のこととは別に余計な弄りが発生する。なんとかこの場は美咲に思い止まらせて先に高橋の元へ向かい彼女に口裏を合わせてレイナのことは秘密にしてもらう必要がある。そう思い悠人は美咲と別れて高橋を探しに行こうとするが………、
高橋「悠人先輩~!
美咲先輩~!
おはようございます~!」
運悪く美咲と一緒にいる時に高橋がやって来た。
悠人「たっ、高橋………!?」
美咲「よう高橋。
朝のニュースお前も見たか?
お前の家って確か池袋にあったよな?
何か事件について知ってるんじゃないか?」
高橋「へ?
事件ですか………?
………あぁそういえば何か駅で警察の人達が騒がしくしてましたね。
あれって何かあったんですか?」
美咲「その様子だと知らないんだな。
昨日池袋駅で駅を爆破しようとした二人組がいたんだよ。」
高橋「え!?
本当ですか!?」
美咲「二人が持ってたのが本当に爆弾だったのかはまだ分かってないらしいがな。
でも多分まだ捜査してるってことは聞き込みか他に駅の中に爆発物でも隠されてないか調べてるんじゃないか?」
高橋「えぇ~!
だったらもしかすると私帰りは電車使えなくなるかもしれないんですかぁ~?」
美咲「駅全体を隈無く調べないといけないからな。
その二人組が何か仕掛けてるのが見つかりでもしたら暫く運行を停止するしかないだろ。」
高橋「そうですよねぇ―。
あ~あ、
世の中まだまだ何考えてるのか分からない人が多いですよねぇ。
駅に爆弾なんか仕掛けて何するつもりだったんでしょう?」
美咲「やっぱ金だろうな。
その内大金を要求する電話でも駅に掛けてくるんじゃないか?」
高橋「お金のために犯罪を侵すなんて考えられませんよ。
人の迷惑も考えてほしいです。」
分かりやすくジェスチャーで怒ったような様子を見せる高橋。美咲が最初から駅の話をしてきたのでまだ彼女の口からはレイナの名前は一言も出てはいない。タイミングを見て高橋に釘を刺そうとする悠人だが………、
高橋「あ、
そうだ悠人先輩。
昨日は本当にすみませんでした。」
美咲「ん?
昨日?
昨日は休日だったろ?
悠人と何かあったのか?」
高橋「えぇまぁ………、
悠人先輩昨日は池袋に来てたんですよ。
それでお店の中で私暴走しちゃいまして………。」
美咲「悠人が池袋に?
珍しいこともあるもんだな。
悠人が休日にそんなところに行くなんて。
悠人って人混みが苦手だからあそこみたいな人の多いところは絶対に行かないと思ってたのに。」
高橋「私もまさか悠人先輩が池袋に来てるとは思いませんでしたよ。
なんでもレイナさ「高橋!!」」
ガバッ!!
悠人は突然高橋の肩を抱いて美咲に背を向ける形で距離を取った。急なことに高橋も驚き美咲もそんな悠人の行動にポカンとしていた。
高橋「せっ、先輩!?
いきなり何するんですか!?
ここ大学の中ですよ!?」
悠人「高橋………。
レイナのことについてだが美咲には秘密………ってか誰にも話をしないでくれないか?」
高橋「え………?
レイナさんのことをですか………?」
悠人「あぁ………。
あんまりあいつとのことを外の誰かに訊かれたくないんだよ。
妙な噂されても困るしな。
ただでさえ俺何故かこの大学の中じゃBLで通ってるみたいだしこれ以上変な目で見られるのは嫌なんだよ。」
高橋「わっ、分かりました………。」
悠人「助かる。
じゃあそういうことで頼むな。」
高橋「はっ、はい………。
………それで先輩………。」
悠人「何だ?」
高橋「あの………そろそろ………。」
美咲「ひゅ~♪
お熱いねぇお二人さん。
そんな肩なんか抱いちゃって~♪」
美咲の声が後ろから聞こえてきてそこで悠人がまだ高橋の肩を抱いていることに気付く。
悠人「!?
わっ、悪い!」
高橋「いっ、いえ!」
美咲「はぇ~!
知らなかったなぁ~!
いつの間にか二人がそこまで親密になってたとはなぁ♪」
悠人「そっ、
そんなんじゃねぇよ美咲!
からかうな!」
美咲「ハハハ。
照れるなって。」
それからその日は終始美咲に高橋とのことで弄られ続けた。悠人はその度に美咲を怒るのだが高橋に会うと彼女は顔を赤面させて逃げていくために暫くは美咲にこのネタで弄ばれることとなった………。