フェザーズ動物園 土曜日 二十六日目
悠人「………どうして俺はこんなところに来てるんだ…………?」
悠人はここ最近よく出るためいきを吐く。
会長「ハッハッハァ~!
どうだね悠人君~!
フェザーズ動物園は~?
普段こんな場所は一人じゃ中々来ないだろう?
ワクワクしてこないかい?」
悠人「(子供かよ。)それほどでも…。」
入園して早々会長は気分が最高潮に高まっているようで子供のようにはしゃいでは悠人を含む他のUMA研究会の会員四人に話し掛けている。
会長「今まで僕達はこういった施設には来たことがなかったからね!
ここでなら僕達がまだ見ぬUMAに会えると思って今日はここに来たんだよ!」
悠人「UMAって未知の生物のことですよね………?
ここにいる動物達って誰もが知ってるような有名どころしかいないと思うんですけど………。」
会長の思考は未だに謎だらけだ。何故わざわざ人が捕獲して見せ物にしている動物園などにUMAがいるという発想に至るのだろうか。
会長「三毛猫の雄の話は知っているかい悠人君~?
三毛猫の雄は遺伝子学上では非常に希少な種のようだぞ~?
三毛猫はどこにでもいる猫だがその多くは雌なんだそうだよ。」
悠人「まぁよく聞く有名な話ですよね。
………つまり会長はこのフェザーズ動物園の中にもそういった普通の種に見えて実は珍しい種が混じってるかもしれないから探してみようってそういうことですか?」
会長「その通りだよ悠人君~!
今日はそのためにここに来たんだ~!
張り切って探してみようか~!!」
悠人「………だるっ………。」
早朝に集合させられて何をするかと思えば会長からUMA研究会の活動をすると説明された。そして来たのはこのフェザーズ動物園でこの広大な園の中から希少種を発見しようとのこと。
悠人「(普通に考えりゃそんなもん園の職員達が調べ尽くしてるだろうに何考えてんだこの人。)」
美咲「けどそういうのって専門知識が無いと分かりませんよね?
素人の俺達が見ただけじゃその動物が珍しいのかどうか分からないんじゃ………。」
会長「そこは安心してくれたまえ!
事前に僕が今日のためにこの園にいる動物達の種類の一般的な特徴を纏めた資料を作成してきたんだ!
これを見てこの資料の特徴とは違った特徴を持つ動物を発見したら僕に報告してくれたまえ~!」
会長はからっていたリュックから分厚い紙の束を取り出した。それを悠人達に配っていく。
悠人「………よくもまぁここまで準備しましたね。」
山本「私としては普通に見て回って楽しむだけかと思ってたけど秀徳がそんな常人みたいなこと考える訳がなかったね。
まぁせっかく来たんだ。
秀徳のアホな発言はほっといてみんな普通に楽しもうか。」
突拍子もなく下らないことを思い付く会長と長くつき合ってるだけあって山本は意に介した様子もなく資料を受けとるがまともに会長の考えに乗る気は無さそうだった。
高橋「…思い違いでなければいいんですけどこれを渡されたってことは私達今日ここで皆別行動しなくちゃいけないんですか?」
美咲「え”………流石にそこは皆纏まって観て回るでしょう………。
………ですよね?」
自身なく美咲が会長にそう質問する。周りを見ても他の客達は最低でも二人以上で園の中を回っている。それぞれが写真を撮ったり感想を言い合っている中で一人で回らなければならないとなったら居心地が最悪だ。
会長「そうだなぁ~。
僕としては一人の方が効率がいいと思うんだが山本君はどう思う?」
山本「別に一人でも二人ででもいいんじゃないの?
こういうところって一人だと共感してくれる相手がいないと楽しくないでしょ。
かといって全員で回るとなると見辛い人とか出てくるんじゃないの?
来てるのは私達だけじゃないんだよ?
他の御客さん達とかもいるんだから五人が一ヶ所に陣取ってたら迷惑になるでしょ。
ここは
山本は五人を二人と三人の組みに分けるべきだと提案する。確かにそれならぞろぞろと固まって移動するよりかはゆったりと出来るが………、
美咲「二人と三人の班ですか?
だったらどう別れます?
二人と三人なら丁度男女別々に出来ますけど。」
山本「保斗橋君、
もしそれで分けたとしたらアンタ達はのんびりと回れるだろうけど私達は多分それどころじゃなくなるよ?
こんなところで年頃の麗しい美女二人が歩いてれば声がかからない筈がないでしょ。
よく見てごらんよ。
来てるのは家族やカップルだけじゃないんだよ。
男だけで来てるとことか結構いるじゃんよ。」
山本が視線を向けた先には男性だけで来ている客達がいた。山本と高橋二人だけでいればああした男性客達からちょっかいをかけられるかもしれないだろう。
会長「なるほど~!
女子だけの班に分けると山本君達が大変なことになりそうだね~!」
山本「そういうこと。
ここは男女混合での二人、三人の班に別れるのが得策だね。」
美咲「!」
この瞬間美咲が山本の発言に素早く反応したのを悠人は気付けなかった。悠人は男女混合と聞いて自然に上級生二人と下級生の三人で班を分けるように言おうとすると、
悠人「だったら俺は美咲と高橋の三人で回りますんで会長と山本先輩の「俺は会長と山本先輩の御二人と回りますよ!」なっ!?」
高橋「え!?」
一瞬美咲が何と言ったのかが分からなかった。普段は常に傍らにいる美咲が自分と同じ意見を出したのかと思ったがそうではなかった。
美咲「すまんなぁ悠人。
今回は俺会長達と回ることにするわ。」
会長「おお?
保斗橋君が僕達と一緒に来るのかね?」
山本「なら鈴木君と高橋ちゃんがペアだね。
それじゃあ行こっか秀徳、保斗橋君。」
悠人と高橋の意見も聞かずに三人はその場から離れようとする。それを見て悠人は引き留めようとするのだが、
悠人「まっ、
待ってくださいよ!?
そんないきなり決定しなくてもいいじゃないですか!?」
山本「なぁに?
まさか鈴木君高橋ちゃんと一緒じゃ不服なわけ?」
高橋「!」
山本がそういうと高橋がショックを受けたような顔をする。流石に本人の目の前で二人きりになるのは嫌だとは言えず悠人は何も言えなくなる。
悠人「あ………べっ、別にそんなことは言ってませんけど………。」
美咲「おいおい悠人。
まさかお前そんなこと言ったりしねぇよなぁ?
お前が女子に向かってそんな酷いこと言ったりしねぇって信じてるぜ俺は。」
悠人「ぐぅ………!?
テメェ………!!」
もとはといえば美咲のせいで高橋とは若干気まずい空気だというのに美咲はどこ吹く風のように悠人を煽る。この数日で高橋も悠人から月曜日の時のような逃げ出したりするようなことはなくなったが已然として二人きりでいると空気が重く感じる。
山本「………さて、
文句が無いようなら私達は先に行くよ。
鈴木君。
そこまで言って山本達は本当に歩き出した。後に残されたのは悠人と高橋の二人だけだった………。