テイルズオブフィナーレ2   作:モニカルビリッジ

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第46話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠人「………高橋は俺を追い掛けて東京工業大学に来たのか?

 俺が佐藤からお前を助けたから………。」

 

 

 

 

 

 

高橋「はい………。」

 

 

悠人「………」

 

 

 悠人に高橋を佐藤から助けたという自覚はなかった。あの当時は高校のの敷地内で人気のない場所を探し歩いていたら偶々佐藤が女子生徒を脅している場面に遭遇してしまっただけだった。それが恐らく高橋だったのだろう。佐藤はあの頃から既に荒れており悠人が近くを通っただけで掴みかかってきた。それから佐藤とは顔を合わせる度に殴りかかられる日々が続いた。悠人も佐藤に無抵抗を装って叔父から習っていた体練術を駆使して密かに反撃していた。おかげで佐藤はいつも身体中を怪我して帰っていく。同学年のそれも同じクラスだったことも災いして常に佐藤とは喧嘩をする仲になってしまった。

 

 

 結果的にそれがそれまで佐藤から被害を受けていた者達を救うことになったのだろう。高橋もその一人だったというわけだ。

 

 

高橋「悠人先輩があの時通りがかってなかったら今の私はありません。

 あのまま学校にも行かなくなって辞めてたと思います。

 

 

 

 

 

 あの頃は本当に有り難うございました。

 ………そして身代わりにしてしまってすみませんでした。」

 

 

 高橋は悠人に頭を下げて謝ってくる。頭を下げる直前高橋の目尻には涙が溢れていた。

 

 

悠人「よっ、よせって。

 別にあの時はそんなつもりだったんじゃねぇよ。

 俺があそこを通り掛かったのは偶然で高橋を助けようと思って助けた訳じゃないんだ。

 ただの偶然だったんだよ。」

 

 

高橋「それでも私が助かったことに変わりはないです………。

 悠人先輩のおかげで私は………。」

 

 

 顔を上げた高橋は涙で既に酷いことになっていた。休日の園内は人目が多く通り過ぎる他の客達がしきりに悠人達の方へと視線を向けてくるのを感じた。

 

 

悠人「もういいって高橋。

 もう泣くな。

 佐藤だって逮捕されたんだし俺が佐藤に絡まれることはねぇよ。

 もう大丈夫なんだって。」

 

 

高橋「でも先輩は高校二年の時からこの間までずっとあの人に………!

 そのせいで美咲先輩以外の人達も悠人先輩を避けて………!」

 

 

悠人「俺は別に一人でも良かったんだよ。

 佐藤に絡まれる前から俺割りと一人の方が多かったしな。

 むしろ一人の時の方が楽だって今もそう思ってるくらいだぞ。」

 

 

高橋「………そうなんですか………?」

 

 

悠人「ああ、

 俺も訳あって一人になりたかったしな。

 佐藤とのことはどっちかというと好都合だったんだ。」

 

 

高橋「………?」

 

 

 悠人は高校の時から既に保泉市のある島に潜入する計画を立てていた。そのための情報を集めるためにも交友関係は少ない方が良かった。学校にいる時間と家で叔父の目のある間はそれを調べることが出来ず休み時間が来る度に人気の無い場所を探しては保泉市の情報を探っていた。佐藤との関係が始まったのは悠人にとってはチャンスでもあった。

 

 

悠人「もういなくなった奴のことは忘れようぜ。

 お前だって佐藤とのことは悩まなくていい。

 俺が気にしてないんだからお前も気にするな。」

 

 

高橋「でも私はまだ何も悠人先輩に御返ししてません!

 悠人先輩のおかげで私は学校を辞めずに済んだのに悠人先輩に何の恩返しも出来てません!

 悠人先輩が良くても私はその事がどうしても………!」

 

 

 悠人は気にする必要は無いと言うが高橋はそれを頑なに拒む。何か悠人のためになることをしないとこの場は納得してくれそうになかった。

 

 

悠人「…つってもなぁ………。

 俺別に恩返しなんてされるようなことしてる気なかったしなぁ………。

 どうすりゃいいんだ?」

 

 

高橋「………悠人先輩が望むなら私どんなことでも出来ます………。

 悠人先輩なら私どんなことでも受け入れられますから………。

 先輩は私を自由にしてくれても構いません。

 先輩にその気があれば私は………。」

 

 

 高橋は震えながら自分の体を抱き締める。そして上目使いで悠人を見上げる。………その行動が指す意図は悠人にも分かった。

 

 

高橋「別に彼女にはしてくれなくてもいいです。

 私は私がそうしたいからしてあげたいだけですから。

 ………こんな貧相な体で先輩が満足出来るかは分かりませんけど私先輩のために精一杯頑張りますから………だから………。」

 

 

悠人「待て待て!?

 お前自分が何言ってるのか分かってるのか!?

 早まるなよ!?」

 

 

 悠人もそうした欲求が無い訳ではないが急にそんな話を持ち出されても心の準備が出来てなかった。

 

 

高橋「先輩は何も気にやんだりしなくていいですよ。

 私が好きでそうしたいだけなんです。

 もし先輩が良ければ今日の夜にでも私は………。」

 

 

悠人「落ち着くんだ高橋。

 そういうことはだな?

 ちゃんと御互いの気持ちを確かめた恋人同士とかがするもんだ。

 そう自分を安売りするな。

 恩返しなんて他にいくらでもやりようがあるだろ。

 好きでもない男とそんなことするなんて「好きですよ。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高橋「私………悠人先輩のことがずっと前から好きでした。

 あの時助けてもらってからずっと悠人先輩ことをお慕いしてました。

 ………私悠人先輩以外の人にこんなこと言えません。

 悠人先輩………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どつか………私にあの時の恩返しをさせてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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