狼男「ワオオオオオオオオオオアアァァァァァァァッッッ!!!!!」
悠人「ハハ………参ったなこりゃ………どうすりゃいいんだ………。」
突如悠人の前に現れた巨大狼。寸前までは怪物達の相手をしていたレイナは後方で倒れたまま。次に怪物が狙ってくるのは間違いなく悠人である。そんな悠人は今謎の発熱によって体を蝕まれていた。万事休すのこの状況に悠人は渇いた声しか出せなかった。
狼男「グルルルルル………!」
狼男は喉を鳴らして悠人を見据える。今にも飛び掛かってきそうなその狼男の迫力に気圧され悠人は無意識にその場から一歩後退する。
パキッ!
狼男「グルルオオオアアアアアア!!!!」
悠人「…!?」
悠人の足元にあった小枝から高い音が鳴り狼男が悠人に突撃してきた。
狼男「ブオアッ!!」
狼男が腕を突き出してその腕の先にある鋭い爪で悠人を串刺しにしようとしてきた。
悠人「(早く逃げない………と!)」
熱のせいで意識が朦朧としてはいたが狼男が攻撃してきたことだけは点滅する視界でボンヤリと見えていたため悠人は狼男の腕を躱そうと後ろに飛んだ。
ダンッ!!ズッ!!ゴゴオオオオオオッ!!!
悠人「!?」
悠人は狼男の腕の攻撃を回避するのに成功した。悠人がいた場所は狼男の強烈な爪によって深く地面に穴が空けられていた。
それよりも悠人は
悠人「(今………俺はあいつの腕の攻撃を食らってここまで後ろに下がったのか………?
それともあいつの攻撃の風圧でこんなに………?)」
悠人は年齢二十歳の大学生で悠人ぐらいの大学生の立ち幅跳びの平均の記録はおおよそニメートル二十センチ。オリンピック選手ともなればそれを遥かに上回る三メートル七十センチと人を二人並べてもそれを跨いでしまうほどの記録が残されている。
悠人はたった一度の後ろへの跳躍でそれらの記録を更に上回る
悠人「(………よく分からんが火事場の馬鹿力ってやつか………?
頭はフラフラするが体は動く。
それなら俺はこいつをレイナの元から引き離さないと……!)」
今のこの時点で怪物を一人だけで撃退することは悠人には無理である。レイナの方はというと狼男の一撃を食らって重傷を負ってはいるが胸が上下していることから生存はしているようだ。悠人に出来るのはレイナが復活するまでなるべく時間を稼いでレイナにこの怪物を撃退してもらうことである。
狼男「グオアアッ!!!」
狼男は悠人に攻撃を避けられたのが気に入らなかったのか悠人に直進してきた。
悠人「(そうだよな。やっぱ倒れてる奴よりも逃げる奴の方を追うよな。)………よし来い化け物!!
俺が相手をしてやるよ……!!」
タタッ!
悠人はレイナが倒れている場所と反対の方向へと走る。悠人が走ると狼男もそれを追ってくる。意外にも悠人と狼男の足の早さは拮抗しており悠人が直ぐに追い付かれるということはなかった。
悠人「(一か八か………。
これでレイナが立ち上がってこなかったら俺ただ間抜けなだけだよな………。
そんであいつに追い付かれて………。
………………そんな嫌なことを考えてる場合じゃないな………。
頼むぞレイナ………。)」
悠人はまだ出会って数時間しか経ってないレイナに希望を託してひたすら怪物との追いかけっこに専念するのだった。
レイナ「………………」
ムクッ………、
……………………………………………………………………
悠人「ハァ……!ハァ………!!」
狼男「ガアゥッ!!」
狼男とのチェイスが始まって数分。距離は最初と同じ距離を保ててはいたがそろそろ悠人の体力の限界が近付いてきた。
悠人「ハァ………!ハァ………!(狼なだけあって流石に四足歩行を巻くのはキツいな………。そろそろ息切れがヤバい。レイナの奴はまだ起き上がってこねぇのか………?
………それとも………あいつ一人だけで逃げたんじゃ………。)」
中々レイナが駆け付けてこないことから悠人は自分の見当が的外れであったことを疑い始めた。
悠人「(………よく考えればあいつと俺は別にそこまで一緒にいなきゃいけない理由なんて無い………。
あいつからしたら俺なんか放って一人でこの島を脱出することだって出来るだろう。
俺を囮にして一人で逃げればわざわざこんな危ない奴の相手なんかしに戻ってくる意味はあいつには………。)」
ガッ!!
悠人「(しまっ………!!?)」
悠人は足をもつれさせて転倒してしまう。考え事をしていたのと体力の低下、それと普段とは違う自分の足の速度に後方から迫る狼男へ注意を払っていたことで前方への足元確認が疎かになってしまっていた。
狼男「バアアアゥッ!!!」
悠人のそんな隙を見逃す筈もなく狼男は悠人に急接近しその鋭い爪を悠人に抉り込ませようとして………、
悠人「(クソッ………!
俺はここで………こんなところで終わっちまうのか………!
まだこの島のこともあの子がどうなったのかも分かってないのに俺は………!!)」
「鉄砲雨。」
ズガンッ!!
狼男「ギャウッ!|」
悠人「!?」
数秒後には体を刺し貫かれていたであろう衝撃が来ることはなく代わりに狼男の体からどす黒い血が噴き出す。
レイナ「待たせたわね悠人。
あとは私に任せなさい。」