悠人「レイナ……!?」
悠人の危機にレイナが駆け付けてくれた。悠人はレイナが本当に来てくれるとは思ってなかった。
レイナ「手間をかけさせたわね。
あとは私が片づけておくから貴方は下がってなさい。」
悠人「下がってろってお前………!
何で戻って来たんだ!?」
レイナ「あら?
私が戻ってきてはいけなかったのかしら?」
悠人「お前一人で逃げればよかったじゃないか!!
俺のことなんか放っておいてお前一人でここを……!?
………グッ………!」
悠人は胸を押さえてその場に膝をつく。レイナが来たことで緊張が緩み自分が調子の悪い状態であったことを思い出す。
レイナ「………そんな状態の貴方を置いて私一人で逃げるなんて後々寝覚めが悪いわ。
それに貴方にはここを出たら外の世界を案内するって約束だったでしょ?
貴方今更その約束を反故にして死ぬ気なの?
そんな勝手は許さないわよ。」
レイナはさも悠人を助けに来るのは当然のことのように言う。悠人は少しばかりレイナに対する印象を改める。
悠人「(…女なのに男の前で素っ裸でも気にした様子が無いしハーフエルフだのウルゴスだの頭のおかしなことばかり言う奴で水を弾丸みたいに撃つ恐ろしい女だとは思っていたが案外心は普通の奴と変わらないのかもな………。
耳とか髪の毛とか普通じゃないところもあるがそれでも俺の窮地に駆け付けてくるとはそこら辺の奴等よりも大分頼りになる女だな。)」
レイナ「それにね?
先に言っておくことがあるんだけど
悠人「………は?
そりゃどういう「グルルオオッ!!」!?レイナ!!」
ガズゥゥゥゥンッ!!!
狼男「ガゥッ?」
狼男が突撃しそれをレイナは躱した。
レイナ「流石に
私の鉄砲雨を受けて土手っ腹に風穴が空いてるのにまだ生きてるなんて。
曲がりなりにも精霊ってところなのかしら?」
悠人「精……霊………?
こいつが………?」
レイナは狼男のことを精霊と言った。悠人の知識では精霊は神話などで出てくる神秘的な存在だった筈である。それがこの様ないかにもパニック映画などに出てきそうな獣をそう呼ぶのであれば悠人は精霊を今一度どの様な存在であったかを東京へと帰りつくことが出来たら調べ直そうかと思った。
狼男「グオオアアアッ!!」
バッ!!
狼男がレイナへと勢いよく飛びかかる。それをレイナは横に飛んで躱す。だがその動きを狼男は読んでいたようで………、
ガスッ!!
悠人「レイナッ!」
レイナは狼男の爪の攻撃を掠めて腕から血を流した。狼男は真っ直ぐ突っ込んでくると見せ掛けて腕だけを左右に振ってレイナに追い討ちをかけたのだ。
レイナ「…二度目ともなると私がどう動くか見切られてくるわね。
雑魚にしては中々やるじゃない。」
腕から血を流していてもレイナは焦りもせずに狼男に感心したように微笑む。
悠人「おい……!
大丈夫ッ………なの……か………!?
………ぅ………ふぅ………お前………怪我を………!」
レイナ「私のことより自分の方がどうなのよ?
どこからどう見ても私より貴方の方が重体じゃない。
………このくらい大丈夫だから楽にして黙って見てなさいよ。」
そう言って悠人に落ち着かせる言葉を言い聞かせたあとにレイナは自分の傷付いた腕の血を拭う。
悠人「(………?
あれ………そういやこいつ………最初に吹っ飛ばされた時の傷はどうしたんだ………?
あんなに強く殴り飛ばされたんだから腕の他にももっと傷が多く出来てる筈なのに………。)」
レイナと狼男を引き離す際レイナが気を失っているのだと思いよく確認はしていなかったが彼女は地面に体を強く擦り付けていた筈である。それなのにレイナの体には今狼男によって負った傷以外の負傷が見当たらない。着ている白衣の損傷具合から見ても相当の深傷を負っていたのは確かだ。
レイナ「さっき貴方に使った一発で手が乾いててね。
パアアア!!!
レイナの血のついた手が光を放ち始める。
悠人「…!?
何だ………!?」
狼男「グアゥッ…!?」
悠人と狼男はあまりの眩しさに手で目を覆い隠す。
パキィィンッ!!
ガラスが割れるような音がしたと同時に光が収まっていく。光が晴れるとそこには光が発せられる前には無かったものが現れた。
ジャキンッ!!
レイナ「誇りなさい。
貴方は私のこの“水霊剣ジュワ・ユーズ”で殺してあげる。
私に二度も手傷を負わせたんだもの。
それなりの覚悟があって私に挑んできたのよね?」
レイナの手には西洋の剣を象った藍色の剣が握られていた。日本に住む悠人にとっては西洋の剣というのはあまり馴染み深いものではないが時折西洋の歴史を伝える番組などで目にする機会があった。日本刀とは違い刃は刀身の左右どちらからでも斬ることができ刀身自体が太く簡単には折れることは無いだろう。
スパアァァンッ………!
レイナの宣戦布告でこれからレイナと狼男の一騎討ちが始まるのかと悠人は思った。
ヌチャ………、
悠人「………なっ!?」
しかしそれは違ったようで………、
レイナ「どう?
痛みを
私を相手に健闘した御褒美に痛みを感じないよう一瞬で勝負をつけてあげたつもりなんだけど………。」
狼男「グルルルル………、
………ルル………ゥゥ………スゥ―…、」
ドチャァッ!!
一騎討ちが
何故ならレイナと狼男の決闘は既に勝敗が決していたのだ。
レイナのその目にも捉えられない程の剣速が狼男を一刀両断にしたことによって………。