世界を渡り歩いた少年は心からサッカーを楽しむ? 作:レイ1020
「ちょっと眠れない時に一人でボール蹴るって言うのもまた格別だよね〜」
みんなが寝静まった深夜、僕は一人河川敷でボールを蹴っていた。予期せぬ相手、イプシロンが現れたと言うこともあって僕自身舞い上がっていたことが原因であって、目が冴えてしまっていたみたいなんだ。だからこうして軽くボールを蹴って気を紛らせていたところだ。
「よっと!・・・・・・それっ!」
頭でリフティングをしていたボールを足元に落とした後、豪快にボレーシュートをゴールネットに叩き込むと、どこかスカッとした気分になって気持ちが良かった。
「・・・・・・へぇ?いいシュート撃つね?」
「・・・・・・ん?あれ?キミは?」
僕以外誰もいないと思われた河川敷に別の声が聞こえたこともあって少し驚いた僕は、声のした方へ向いてみた。するとそこにいたのは真っ白い肌をして、赤い髪をした僕と同じくらいの少年がいた。・・・・・・どこか不思議そうな子だな〜?
「あぁ・・・・・・ごめん。急に現れてびっくりさせたよね?俺は基山ヒロト。キミは?」
「僕は空田海って言うんだ。よろしく!」
ヒロトと名乗った少年は、どこか僕のことをじっと観察しているように見えた。・・・・・・ほんとにこの子、何しにきたんだろ?
「キミ達、雷門中がエイリア学園と戦っているところを見させてもらったよ。・・・・・・かなりキミ達やるね?なかなかに面白い」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。でも僕たちはまだまだ強くなるからね?この前の時よりももっと強くなって宇宙人なんかやっつけるんだから!」
「・・・・・・そっか。頑張って!応援してるからさ?」
どこか言い澱んだように見えたヒロトだったけど、すぐに元の表情に戻って微笑を浮かべながらそう言った。
「うん!ありがと!そうだ!せっかくだし少しサッカーやって行かない?ヒロト多分だけどサッカーやってるでしょ?」
「・・・・・・?どうしてそう思うのかな?」
「なんでって・・・・・・なんとなく?」
「ふっ・・・・・・キミって面白いね?いいよ。少しだけなら付き合ってあげる」
「やった!」
最初はどこか訝しげな表情を見せて僕を疑いぶるような目つきになったけど、僕の考えがわかると同時に納得したかのような顔になり、快く受け入れてくれた。僕のさっき言ったことはほんとだからね?本当になんとなくだけど、ヒロトがサッカーやってそうに見えたんだ。
それからはパスをしたりお互いにリフティングをして対決をしたりして楽しんでいた。やっぱり僕の思った通り、ヒロトはサッカーをやっていたみたいで、それもかなりの実力者だと見えた。それを見ると、どうしても僕はヒロトに対して勝負を仕掛けてみたくなってしまうんだ。だから・・・・・・。
「ヒロト!1対1やろうよ!勝負しよう!」
「えっ?・・・・・・・・・・・・うんいいかもね。やろう」
ヒロトは少し考え込みながらも、了承してくれた。それから僕たちは互いに距離をあけ、立ち合った。
「空田くん。これからキミには少しだけ力の差を見せつけるけど・・・・・・いいかな?」
「力の差?ヒロトって僕よりもずっとうまいってこと?」
「・・・・・・多分そうなるかな?もう一度聞くよ?・・・・・・いい?」
「うん!ヒロトの力がどんだけのものか知りたいし!全力で来てよ!」
「・・・・・・わかった」
ヒロトは最後にそう呟くと、目を閉じ、一つ息を吐いた・・・・・・。すると、途端にヒロトのまとう空気が変わり、その空気の流れはまさに強者のそれだった。
「(久々に熱い戦いができそうだね!楽しみ!)」
「・・・・・・行くよ。空田くん・・・・・・」
ヒロトが、僕に向かってドリブルを開始した・・・・・・。
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「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
「・・・・・・どうしたの?もう終わり?」
月明かりがグラウンドを照らす中、ヒロトは膝をついて息を荒げながら僕を見上げていた。
「俺の力が全く通用しないなんてね・・・・・・。キミは一体・・・・・・?」
「どこにでもいるサッカー好きだけど?・・・・・・でも、ヒロトもなかなかやるね?僕、結構楽しかったよ!」
「・・・・・・そう」
俯いていて表情がわかんなかったけど、ヒロトは静かにそう返してくれた。このヒロトの反応でわかると思うけど、結果として勝負は僕の勝ちで終わった。ヒロトのドリブルやボールコントロールなどはとても速くて正確で、少なくともと言うか、かなり雷門中のみんなよりもうまいと思えた。だけど、それでも僕からしたら止められない程ではなく、ヒロトの動きや癖を分析して、先を読む動きをしてボールを取ったり、躱したりしてヒロトを圧倒していったんだ。
「それじゃあ・・・・・・俺はそろそろ帰るね」
「え?もうやめるの?僕としてはもう少しやりたかったんだけどなぁ?」
「俺にも用事があるんだ。残念だけど今日はここまで。・・・・・・また会ったらやろうね」
「ふ〜ん?それなら仕方ないね。わかったよ」
少し物足りないけど、用事があるんだったら仕方ない。それを悟った僕は、ヒロトの言う通り勝負はそこまでにすることにした。
「うん。じゃあね、空田くん・・・・・・」
「じゃあね!」
別れの挨拶をし、ヒロトは静かにグラウンドを後にして行った。僕はその後ろ姿を見えなくなるまで、ただじっと見つめていたのだった。
「(ヒロト・・・・・・か。日本にはまだまだ面白そうな奴がたくさんいるんだなぁ!これからもっと楽しくなりそう!)」
「ふぅ・・・・・・