世界を渡り歩いた少年は心からサッカーを楽しむ?   作:レイ1020

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なかなか更新ができませんでした。


信じるべき仲間

 

試合が再開され、相手ボールからスタートした。僕的にはパスを繋いで行きながらこっちに攻めてくるのかなって思ってたんだけど、それはハズレだった。

 

 

 

「へっ!少しはマシな奴がいるじゃねーか!」

 

 

 

「お手並み拝見といこうか!」

 

 

 

なんと、前のFW二人が猛然と僕たちの陣営、正確には僕に向かって突っ込んできたんだ。みんなは意表を突かれたのか、全く反応できずに突破を許してしまう。

 

 

 

「うん。なかなかいい連携だね。でも、ちょっと遅いかな?・・・・・・貰うよ!」

 

 

 

「「なっ!?」」

 

 

 

僕は二人のパスワークを読み、ボールから足が離れたところを狙ってインターセプトした。

 

 

 

「鬼道くん!」

 

 

 

「ナイスだ空田!みんな上がるんだ!」

 

 

 

「「「おうっ!!」」」

 

 

 

鬼道くんの号令でみんな前線へと駆け上がっていく。

 

 

 

「よしっ・・・・・・・・・・・・行くぜっ!!」

 

 

 

「吹雪!!」

 

 

 

鬼道くんから相手のマークを外した士郎へとボールが繋がる。その途端、士郎に猛烈なプレスが掛けられるが、士郎はそれを巧みなステップとフェイントでかわし、そのままシュートモーションに入った。

 

 

 

「【エターナルブリザード】!!」

 

 

 

「・・・・・・ほう?奴の他にも楽しめそうな奴がいる様だ。面白い!!【ワームホール】!!」

 

 

 

士郎のシュートは、デザームの【ワームホール】により、簡単に止められてしまう。なんとも面白い技で、デザームの前に大きな黒い穴が出てきたと思ったら、シュートはその穴に吸い込まれ、次にそのシュートはデザームのすぐ横に瞬間移動したかの様に現れるという技だった。

 

 

 

「ちっ・・・・・・次は決めてやる!」

 

 

 

「ふん!さて・・・・・・次は貴様だ!」

 

 

 

「え?・・・・・・僕?」

 

 

 

そこからカウンターでも仕掛けて来るのかなって思ってたけど、デザームはボールを敵である僕に向かって投げてきた。・・・・・・この意思表示・・・・・・もしかして?

 

 

 

「もう一度シュートを打って来るがいい!今度こそ止めて見せよう!」

 

 

 

「へ〜?いいね!わかった!・・・・・・・・・・・・そ〜れっ!!」

 

 

 

デザームからの挑戦を僕は真っ向から受け、先ほどと同じ様にシュートを放った。

 

 

 

「【ワームホール】!!」

 

 

 

「「「あっ!!」」」

 

 

 

「・・・・・・やるじゃん」

 

 

 

僕のシュートが、デザームの”真横に”落ちていく様子にみんなは盛大に驚き、僕は笑った。

 

 

 

「ふ・・・・・・ふふふふ・・・・・・いいぞ?いいぞいいぞ!!もっと私を楽しませてみよ!」

 

 

 

「笑ってやがる・・・・・・海のシュートを止めておきながら・・・・・・」

 

 

 

「やはり・・・・・・あのデザームという男・・・・・・かなりやる」

 

 

 

みんなどこか浮かない顔をしながらデザームを凝視している。・・・・・・何でそんな顔してるんだろ?むしろ僕は楽しんだけどな?

 

 

 

「みんなどうした!!相手が強いなんて当たり前のことだろ!それにこんな状況、今までに何度あった!?数え切れないくらいあった!でも、俺たちはそんな状況でも覆して見せたろ!だから、弱気になるな!!」

 

 

 

「円堂・・・・・・」

 

 

 

「円堂くん・・・・・・」

 

 

 

円堂くんの豪快な鼓舞がみんなのやる気を引き出す。やっぱり円堂くんはこのチームの要だね。彼がいなかったらもしかしたらこの試合中でみんなの心はへし折られていたかもしれない。・・・・・・だが。

 

 

 

「お遊びはここまでだ!諸君!残り一分弱、こちらも全力を出して当たらせてもらおう!!」

 

 

 

そこからはほとんどイプシロンペースの試合流れになった。僕を避けながらコートを広く使い流動的に試合を展開していき、持ち前のスピードとパスワークで僕たちに襲いかかる。当然みんなもそれに対応しようと奮戦するものの、やはり地力では到底叶わない相手のため、徐々に相手にのまれて行った・・・・・・。

 

 

 

「ふぅ・・・・・・流石にきついね。僕のフォローも限界があるし、そろそろみんなの限界も近いかな・・・・・・」

 

 

 

既に試合のスコアは1ー2。僕たちが負け越している。あのシュート以来、僕はほとんどボールを触れていない。それはさっきも言った通り、僕がかなり離れた場所・・・・・・つまり、僕がフォローに回れない場所でボールを運んでいるからだ。僕も何でもできる万能では無いため、そこまでのことはできない。緻密に計算され、尚且つ有効的な戦略に僕たちは頭を悩まされていた。みんなの体力もほとんど無いに等しい。・・・・・・どうするか。

 

 

 

「ちっ・・・・・・やっぱり無理だったんだよ!宇宙人に勝つなんて!」

 

 

 

そんな中、木暮くんが声を荒げる。木暮くんはまだ体力が残っているのか、他のみんなよりも顔色が良かった。

 

 

 

「諦めたらそこで終わりじゃ無いかな?」

 

 

 

「は?・・・・・・もう無理だろ?他の奴らはもうバテて何も出来なくて、お前も何もさせて貰ってない。これじゃ勝てるなんて思えねーよ・・・・・・」

 

 

 

「みんなはこの程度じゃへこたれないよ。・・・・・・少しはみんなを”信じて”みたら?」

 

 

 

僕が木暮くんのそばまで来てそう囁くと、どこか苦い顔をした木暮くん。・・・・・・何か変なこと言ったかな?

 

 

 

「信じたところで、どうせ裏切られるんだ。オレはもう何も信じねーよ・・・・・・」

 

 

 

「ん?何かあったの?」

 

 

 

「お前には関係ないだろっ!」

 

 

 

プイっとそっぽを向いてしまう木暮くん。過去に何かあったねこれは。でも、この調子だと木暮くんは今後誰も信用できないまま孤独になってしまうことが目に見えていた。それだけは避けたいな・・・・・・よし!

 

 

 

「木暮くん、君が過去に何があったのかはわからないけどさ?少なくともここには君のことを裏切るような卑怯な人は誰一人としていない。もちろん僕だってそうさ。君のことは僕を含めて全員が信用している」

 

 

 

「な、なんでお前はそこまで他人のことを信じられるんだよっ!お前とオレは昨日今日会ったばっかの関係だろ!それなのになんでっ!」

 

 

 

「なんでって・・・・・・そんなの同じチームの仲間だからに決まってるでしょ?」

 

 

 

「はあっ!?」

 

 

 

「確かに君とは昨日今日会っただけの仲だよ?だけど、一度同じピッチに入っちゃえばそんなのもう関係ないんだ。同じピッチに立ち、同じ仲間として試合に参加する。僕としてはこれだけで仲間のことを信用に値する人だと認識するけど・・・・・・何か間違ってるかな?」

 

 

 

「い、いや・・・・・・お前、自分で何言ってるか分かって・・・・・・」

 

 

 

木暮くんはいまだに顔が暗く、まだ完全に心を開けていなさそうだった。あともう一歩ってとこかな?

 

 

 

「まだ僕たちのことを信用できないっていうんだったら仕方ないね。・・・・・・わかった。じゃあ、今から”十秒以内”にボールを奪って君にパスするよ。で、もしそれが出来たらとりあえず僕たちのことは少しは信じてもらいたいかな。で、それが出来なかったら僕が今言ったことは忘れていいよ?」

 

 

 

「じゅ、十秒!?あの化け物みたいな宇宙人たちから十秒でボール奪うっていうのかよ!?バカかよっ!!」

 

 

 

「バカだよ?サッカーバカだけどね?それで?どうする?」

 

 

 

「ふんっ!どうせ無理だろうけど・・・・・・いいぜ?やってみろよ!本当にパスくれたら信じてやるよ!」

 

 

 

「決まりだね!・・・・・・よし!じゃあ行くか!!」

 

 

 

僕は木暮くんにボールを渡すべく、イプシロンへと突進していった・・・・・・。


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