世界を渡り歩いた少年は心からサッカーを楽しむ? 作:レイ1020
グラウンドに出た僕は早速練習を見学していた。軽いアップから始まりその後にパス練習、対人形式のドリブル練習、シュート練習、基本的なことばかりだったけどみんな楽しそうにサッカーをやっていたものだからあまり気にならなかった。僕はと言うと、見学だけは暇だって思ったから一人で軽いリフティングをしていた。
「よっと!」
「うわぁ〜リフティング上手いんだね海くんって」
「ん?あぁ、確か・・・・・・真都路さんだっけ?まぁね。海外でもよくサッカーやってたし合間にもリフティング練習してたしね」
いつの間にか休憩に来ていた真都路さんに少し驚いたけど、気にしないで自分のことを話した。・・・・・・どうでもいいけど、この子が被ってるロシア帽・・・・・・可愛いな。
「そろそろ練習に参加してみれば?ずっと動かないとでいると寒いでしょ?」
「・・・・・・ん、確かにちょっとずつ冷えて来たかも。悪いけど、そろそろ参加するよ」
「わかった!吹雪くんに言ってくるね!」
たったっと士郎のところに走って行った真都路さんを尻目に僕は軽くストレッチとアップを施した。それから数分後、休憩時間になったところを見計らい、士郎が僕のところまで来た。
「次の練習から参加ってことだけど、アップは済んでいるかい?」
「うん。体はあったまってるよ!」
「じゃあ、参加してもらうことにするよ。次はフルコートを使って【8 VS 8】のミニゲームをやるんだけど、君はBのチームに入ってくれ」
「わかった。・・・・・・久しぶりの試合、ワクワクするな〜!」
試合前だって言うのに僕のテンションは既にマックスに近くなってた。だって本当に久しぶりだったから・・・・・・しょうがないよ。最後にやったのは・・・・・・一ヶ月くらい前かな?ロココと試合やって以来だね。あの時は僕が勝ったけど、またいつか試合してみたいな!
「さて、始めようか!」
ピィィィーーーー!!
向こうのチームのキックオフで試合が始まった。士郎はと言うと・・・・・・DFだね。おかしいな?彼って結構いい筋力していてさっきのシュートもいいシュートだったのに・・・・・・。まぁいいか!あ、ちなみに僕はMFね?
「みんなボールを奪おう!」
僕のチームの五稜くんの掛け声でみんなボールを取るべくプレスに行った。相手はそれをきれいなパスワークで難なくかわして行きながら僕たちのゴールへ迫って行った。そして、ボールがゴール前のFWに渡った。
「行くぞ!フリーズショッーーー」
「よっと!」
「なっ!?」
そのFW・・・・・・確か氷上くんだっけ?その子がシュートを打つ前に僕が横から足を出してカットした。実は僕、元々気づかれない様に静かにマークしてたんだよね。それでボールが来たと同時にカットする。こうすれば相手は何もすることができないんだ。
「よし!行こうみんな!」
僕の声と同時に味方のみんなが前線へ上がって行った。本当はみんなに正確なパスをあげたいとこなんだけど、まだみんなの動きとか癖がわかんないからとりあえず僕は自分でハーフェーラインのとこまで持って行った。・・・・・・とりあえず挨拶がわりに一発。
「いっけぇ!」
「「「「「はぁっ!?」」」」」
僕のこの行動が予想外だったのか全員驚きの表情を見せていた。そんな驚く様なことかな?ただここから挨拶がわりにシュートを打っただけなのに・・・・・・。僕がそんなことを考えている間にボールは向こうのゴールに到達しそうになっていた。士郎もこれは想定してなかったのか、ただただボールの行方を見守っていた。そして・・・・・・。
ズシャァーー!!!
僕のシュートは見事にネットに突き刺さった。キーパーの函田くんは何があったのかわかってないみたいでネットに吸い込まれたボールを見て唖然としていた。それは士郎を含めた他のみんなも同じだったみたい。・・・・・・意外だったな。牽制のつもりで半分くらいの力で打ったんだけど・・・・・・でも一点は一点だからいいか!
「よし!」
「す、すげー!なんだよ今のシュート!?なんであんな離れたとこから決まるんだよ!?」
「海くんって・・・・・・実はすごい選手だったり?」
僕が喜んでいるのを尻目に何やら遠目でみんなが何か言ってる気がしたけど・・・・・・いいか!次行こう次!
「まさかこれほどとはね・・・・・・流石に驚いたよ・・・・・・」
『士郎・・・・・・次ボールが渡ったら俺に変われ。俺が点を取ってやる!』
「うん。お願いするね?」
–––––––––––––––––––––––––––––––––––––
ボールが戻され改めて向こうのキックオフでスタートした。そこで向こうのチームに変化が起こった。さっきまでDFの位置にいた士郎がFWの位置まで上がっていたんだ。・・・・・・やっと本領発揮ってとこかな?楽しみ!
「行くよ・・・・・・・・・・・・へへっ」
ボールが士郎に渡るとなぜか士郎の雰囲気が変わった様に見えた。よく見てみると、垂れ下がっていた白髪が炎の様に立ち上がっていて、目の色も黒色ではなく黄色に近い色に変貌を遂げていた。
「行くぜ〜〜!!おらぁ!!」
「「うわぁ!!」」
その士郎が早速一人で攻め入って来て、湿原くんと地平くんを強引に吹き飛ばした。僕はと言うとあえて士郎には当たりにいかず、行方を見守っていた。なんでかって?士郎の実力を知りたかったからかな?士郎はあっという間にゴール前まで到達した。そしてシュート体勢に入ると、周りが冷気を帯び、吹雪が舞った・・・・・・。
「吹き荒れろ・・・・・・【エターナルブリザード】!!」
士郎から放たれたその強烈なシュートは炭谷くんの守りをいとも簡単に突破して・・・・・・ゴールに突き刺さった。
「へっ!お前ら!一点取ったからって調子に乗ってんじゃねーぞ!こっちが本気出せば後10点は取れんだからな!そこんとこよーく覚えておけ!」
士郎は僕たちに向かってそう言い放つと自分のコートに戻って行った。吹雪士郎か・・・・・・。面白いね。これなら僕も楽しめそうだ!周りのみんなが改めて士郎の恐ろしさを噛みしめてる中、僕はすっと口角をあげた・・・・・・。