世界を渡り歩いた少年は心からサッカーを楽しむ?   作:レイ1020

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最初だけ少し回想が入ります。


対決!ジェミニストーム!

 

 

エイリア学園との試合が始まる前、準備をしていた僕に話しかけて来た人がいた。それは・・・・・・。

 

 

 

「ちょっといいか海?」

 

 

 

「ん?一哉?どうかした?」

 

 

 

同じチームの・・・・・・そしてアメリカで一緒にサッカーをやった経験のある一ノ瀬一哉だった。初めて日本で会話したのは雷門中との試合が終わった後までに遡る・・・・・・。

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

「なぁ!お前もしかして・・・・・・海か?」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

試合を終え、クールダウンをしていた時に後ろから聞いたことのある声をかけられた為、僕はゆっくりと振り返った。後ろにいたのは声をかけたと思われる一人の男の子と、もう一人背の高い男の子、そして髪をピンで留めた女の子だった。僕はこの3人に見覚えがあった。

 

 

 

 

「あれ?もしかして・・・・・・一哉と飛鳥?それと秋かな?」

 

 

 

「覚えていてくれたんだね。久しぶり海くん」

 

 

 

「まさかお前とこんなとこで会えるなんてな・・・・・・人生何があるかわかったもんじゃないな・・・・・・」

 

 

 

やっぱり・・・・・・と僕は懐かしい3人に会ったと心を躍らせた。この3人は僕がアメリカにいた頃に一緒にサッカーをやっていた仲間だったんだ。と言っても始めは僕が一人でボールを蹴っていた時に一哉が誘ってくれたから仲間になれたんだけどね。仲間になってからは僕はひたすらに3人とのサッカーを楽しんでいた。試合とかをやっていたわけじゃなかったけどそれでも一也や飛鳥はうまかったから関係なかった。

 

 

 

「君のプレイは相変わらずだね・・・・・・。あの頃とまるで変わってない・・・・・・いや、むしろもっと鋭くなってる気がする」

 

 

 

「そりゃアメリカを出た後もずっとサッカーしてきたからね!上達だってするよ!」

 

 

 

「上達って・・・・・・お前あの時の時点で既にヤバかったってのに・・・・・・」

 

 

 

飛鳥が何か言ってるけど・・・・・・よく聞こえなかったからスルーした。

 

 

 

「でも・・・・・・もし海くんが私達の仲間になってくれたら!」

 

 

 

「「絶対に勝てるな!」」

 

 

 

秋の言うことに二人が同時に答えた。そんな堂々と言うなんて・・・・・・僕のこと過大評価しすぎなんじゃないかな?

 

 

 

「海!君の卓越したプレイ、見させてもらうからね!」

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

 

とまあそんな感じで一哉達とは会えたわけなんだけど、試合前に何の用だろう?

 

 

 

「正直俺たちが海のプレイについて行けるかわからないけど・・・・・・出来る限り海がプレイしやすいようにするから、君は普通にプレイしてくれ」

 

 

 

俺の目を見て真剣な面持ちでそう言ってくる一哉。

 

 

 

「うんわかった。僕もみんなの力を引き出せるように頑張るよ!」

 

 

 

そう一哉に言い聞かせたところで瞳子監督からのスタメン発表がされた。だけど、次に監督から言われた一言は僕を含めたみんなが驚くことだった。

 

 

 

「吹雪くんは前半はDFで出場よ。それと空田くん。・・・・・・貴方は()()()よ」

 

 

 

 

 

「「「「「はっ・・・・・・?」」」」」

 

 

 

みんな開いた口が塞がらなくなっていた。僕もこの采配にはさすがに困惑した。士郎をFWに上げて得点をさせるのが手っ取り早いと思ったんだけどな?

 

 

 

「おかしいだろうが!吹雪のスピードと突破力で得点を重ねる作戦だったじゃねーか!」

 

 

 

「そうですよ!それに何で海をベンチに置くんですか!海なしでは攻撃も守りも格段に落ちてしまいます!」

 

 

 

「あなた達の意見は聞いていないわ。それ以外はいつも通りよ。さぁ、早く行きなさい」

 

 

 

染岡くんと一哉が必死に抗議してるけど、瞳子監督はそれだけ言うとベンチに腰を下ろしてしまった。不本意だけど監督の指示だし従わないとね・・・・・・。

 

 

 

「円堂!お前からも何とか言えよ!」

 

 

 

「・・・・・・俺は監督を信じるさ!監督は絶対に何にも考えないでこんな指示はしないさ!信じられないならとにかくやってみよーぜ!何かわかるかもしれないだろ!」

 

 

 

「はぁ・・・・・・ったく」

 

 

 

染岡くんは渋々納得してくれたみたいだね。一哉も・・・・・・どこか負に落ちなさそうな顔してるけど問題はないね。

 

 

 

 

さて・・・・・・いよいよ試合の始まりだ!

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

キックオフはこっちからだった。染岡くんが鬼道くんにパスを出すと同時に雷門前線ラインが上がっていき、ゴールへと迫った。

 

 

 

「こっちだ鬼道!」

 

 

 

「いけ染岡!」

 

 

 

鬼道くんから染岡くんへのロングパスが繋がった。だけど・・・・・・その後がつながらなかった。

 

 

 

「クック・・・・・・ぬるいな・・・・・・」

 

 

 

「あっ!ちっ・・・・・・」

 

 

 

トラップ側を狙われた染岡くんは最も簡単にボールを失ってしまった。おかしいな?みんな特訓でスピードや反射神経は鍛えられてるはずなのに・・・・・・。

 

 

 

今度は逆にこっちが攻められる番だった。DFラインから前線へとロングフィードが繋がり、一気のFWが加速した。

 

 

 

「うん。確かに早いね。・・・・・・だけど、それじゃ士郎は抜けないよ?」

 

 

 

僕の推測通り、士郎はいち早く回り込みボールを奪取した。

 

 

 

「【アイスグランド】!」

 

 

 

「っ・・・・・・」

 

 

 

士郎はそのボールは鬼道くんへと渡した。それからはしばらく膠着状態が続いた。エイリア学園のスピードにも徐々に慣れてきたのか、特訓での成果を遺憾なく発揮させボールを奪ったり突破してる雷門イレブンに向こうも少し焦りが出てきたのか攻めが単調になってきていた。多分だけど・・・・・・監督はこれを狙って?

 

 

 

「監督・・・・・・」

 

 

 

「空田くんも気づいたかしら?」

 

 

 

ちらりと僕をみた監督は唐突にそう言ってきた。・・・・・・なるほどね。やっぱり・・・・・・。

 

 

 

「はい。前半はエイリア学園のスピードに慣れさせるために敢えて士郎をDFに下げて得点を凌ぐんですよね?それでエイリア学園のスピードに慣れてきた後半で士郎を前線へ上げて一気に攻勢に出る・・・・・・ってことでいいですか?」

 

 

 

「・・・・・・やはりさすがね。その通りよ」

 

 

 

ふと笑みを浮かべた瞳子監督。・・・・・・この人のゲーム構成と戦術眼は凄いものだな〜。士郎の特徴とか使い道とかをしっかりと理解してるし監督としては一級品だね・・・・・・ん?待てよ?

 

 

 

「あの監督?じゃあ僕は何でベンチにいるんですかね?僕は未だにあのスピードを体験してないんですけど?もしかして今回僕に出番は・・・・・・」

 

 

 

「貴方には後半から出てもらうわ。・・・・・・何でベンチに・・・・・・ね?そうね。一言で言えばチームのためよ」

 

 

 

「チームのため?」

 

 

 

それはどう言うことなんだろ?僕は続きを促した。

 

 

 

「ええ。もし貴方を最初から出してしまえば、チームは勝てるかもしれないわ。・・・・・・だけど、それだとあの子達自身の成長が望めないのよ」

 

 

 

「成長・・・・・・?」

 

 

 

まだどこかピンときてない僕に瞳子監督はさらに続ける。

 

 

 

「空田くん。前に雷門の中で試合をやったのを覚えているでしょう?その時のスコアを言ってご覧なさい」

 

 

 

「あの時は確か・・・・・・5対0で僕たちのチームの勝ちだった気が・・・・・・」

 

 

 

「そうね。で、その得点を決めた染岡くんや吹雪くんのアシストをしたのは?」

 

 

 

「・・・・・・僕ですけど・・・・・・?」

 

 

 

「そうね。じゃあ、相手の一ノ瀬くんや鬼道くんのシュートやドリブル、パスを止めていたのは?」

 

 

 

「・・・・・・全部じゃないですけど、僕が多かったような・・・・・・・・・・・・っ!」

 

 

 

「・・・・・・ようやく気がついたようね」

 

 

 

そこまで行って僕はようやく気がついた。確かにそれならばさっきの監督の”成長が望めない”と言う言葉にも納得が行く。

 

 

 

「みんなが”無意識に僕を頼ること”を防ぐためだったんですね・・・・・・」

 

 

 

「ええ・・・・・・その通りよ。あの試合、途中からほとんどの選手が貴方にボールを集めるようになった。・・・・・・自分本来のプレイをしないでね?それによって自分自身のレベルアップが疎かになってしまってることが気にかかっていたのよ。だからこそ私は貴方を外した。チームの総合力の向上と意識を変えさせるために。・・・・・・まぁ、あの子達にそう思わせるようなプレイをして見せた貴方にも原因はあるのだけどね・・・・・・」

 

 

 

「あはは・・・・・・」

 

 

 

それには苦笑いを浮かべるしかない僕だった。

 

 

 

「でも後半からであれば十分にみんなもレベルアップも測れたことだろうし、貴方の出場も許可するわ。・・・・・・ただし、もしまた貴方にばかり頼るなんてことをしてきたなら注意しなさい。・・・・・・いいわね?」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

結局前半は、相手のレーゼという選手にシュートを決められてリードされてしまったけど、それ以外のプレイでは問題なく相手について行けるようになっていたため、みんな悲観的にはなっていなかった。

 

 

 

さて・・・・・・後半は僕の出番だ!

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