日本─某所
「がっ…はっ…」
向かってくる敵をひたすら斬る…斬る…
何人斬ったのだろうか
腕を…足を…そして…首を
○○様が敗れてから毎日戦っている
向かってくる敵は元同僚や部下達だ
組織はいくつかの派閥があり○○様が纏めていたが敗れてからは下克上を狙った輩に毎日屋敷を襲撃されている
何故貴様らは○○様を襲う…!
○○様に助けられた者も襲っていている
仲間はもういない
全て奴らに殺されたからだ
○○様を護るのは私だけだ
だが…私ももう限界がきている
体は血が流れていないところはなく内蔵は大部分が機能していない
拳は潰れ左手は動かない
だが…そんなことは関係ない…自分が壊れるまで…否、壊れても戦い続けるだけだ
「ま…だ……終わらない…貴様らを…滅ぼすまでは…!」
右から銃弾が飛んでくる
それを動かない左手を盾にして防ぐ
正面からは刀を持った者が斬りかかってくる
それを右手に持つ小太刀でいなして
その者を盾に他の敵へ接近…首を斬る
心は冷たく…ただ敵を狩る機械のように…
「っ…!」
体に刀を突き立てられる…抜く時間は無い
そのまま刀を突き立てた敵を切り裂き
次へ飛びかかる…斬る…斬る…
確実に命を狩る…一人でも通すことは無い…
ババババババッ
正面から射撃される
…避けられない…だが死ぬ訳にはいかない…!
私は銃弾を受けながらも前へ前へ進む
数分間撃たれ続ける
カチッ…
弾切れ…!
それを確認すると走り射撃する敵を殺し…
「ぁ…」
息が漏れるような声を出し
体が前へとゆっくりと倒れていく
まだ…敵がいる…終わってない…まだ…まだ…!
心は動いているのに体はもう動けない
お願い…動いて…まだ…終われない…!
必死に手を伸ばし…その思いも虚しく…私は倒れた…
薄れゆく意識の中見えたのは…倒れた私に迫る敵達と…
「朧…後は任せなさい…貴女はゆっくりと眠れ」
そう言う○○様の声…
あぁ…○○様…駄目…
そして…私、『崩月 朧』は死んだ…
…思えば…長い人生だった
崩月家本家に生まれた私は異能を持っていたせいで宗家の者が戦場で戦死させようと送り込んだり
物心ついてからはずっと戦場で自分の名前と異能のみを持った状態で戦い…生き残った
初めは人を殺すことに対して本能的に恐怖していたのだろうが殺してからは恐怖は無くなり…心は凍ったかのように動かなくなった
その後、○○様と戦場で相対し…負け、○○様に引き取られることになった
○○様は、こんな得体の知れない私に優しさを愛を注いでくれ、少しではあるが感情を知ることが出来た
私が13歳の頃、○○様の伝手で神代エンタープライズの新しい事業であるEDENのテストサーバーにベータテスターとして参加し、神代悠吾、その妹の神代悠子、白峰ノキア、真田アラタ、相羽アミと出会った
私以外の5人は記憶を失ってしまったが私は記憶処理を拒否し、自分たちの罪と向き合い続けた
その8年後、再びこの5人と再会するとは思わなかった
それにしてもまさか世界の存亡を掛けた戦いを行うとは思わなかった
この件が解決してからは○○様の元へ戻り組織の仕事をし、○○様が怪我で倒れてからの襲撃に私は命を散らせた
…まぁ…この人生はとても充実し長く楽しむことができた…