ボールから出てきて一鳴きするガバイト。そして、ギラリとダイノーズを睨んだ。向こうも同じように睨んでくる。
「ダイノーズ、『トライアタック』!」
「ガバイト、『かげぶんしん』だ!」
ダイノーズが得意の技で攻撃してくるが、ガバイトは持ち前の素早さを活かして分身してきた。トライアタックによるレーザー攻撃は、分身を撃ち消すだけで終わってしまう。しかし、消されてしまった分身も再び出現した。
「ダ、ノォッ!?」
あっという間に分身に囲まれ、ダイノーズは自由にユニットを展開出来なくなってしまった。だがそれでもツツジは、持ち前の頭脳で打開策を作り出す。
「回転しながら『ラスターカノン』!」
「ダァァイノォォォ!!」
「やばっ!?」
コマのように回転しながら360度にラスターカノンが発射される。次々と分身は消えていき、とうとう本体に命中した。
「ガブァッ!」
「ガバイト、大丈夫か!」
「ガァブッ!」
「……だよな! よーしガバイト、
「ガブッ! ガブガブ~♪」
「ダンス……タイム……?」
ガバイトが目を輝かせて喜んだのも一瞬のこと。すぐに顔つきがバトルのものになり、ダイノーズへ接近してきた。
「『ドラゴンクロー』!」
「『てっぺき』!」
鋭い爪の一撃だが、硬くなったダイノーズに傷はつかない。
「もう一回『ラスターカノン』!」
「回避だ!」
光線が放たれるが、ガバイトはこれを回避。
「ガブガブ」
「ダッ!? ダイノォォ……!」
「『ちょうはつ』!? 駄目よダイノーズ、落ち着いて!」
『どうした? 来いよ』と言わんばかりに爪をクイクイと動かして挑発する。ダイノーズを怒らせるためだと察したツツジは落ち着くように呼び掛けるが、ダイノーズは完全に頭に血が昇ってしまった。すっかりガバイトを倒す思考になり、むやみやたらに『トライアタック』のレーザーを撃ちまくる。
「ダァァイノォォ!!」
「ガァブ! ガブガブ~、ガブ!」
まるでおちょくる様に攻撃を避けるガバイト。ツツジはそこに違和感を感じた。
(攻撃をしてこない……? 疲れさせるのが目的かしら……?)
先ほどから避けるばかりで、全く攻撃を仕掛けてくる気配が無いのだ。疲れさせるのが目的かと思ったが、岩や地面、鋼タイプのポケモンは中々タフである。疲れさせると言うのは非効率のように感じた。
「ダイノーズ、落ち着いて! 何か嫌な予感がするわ!」
「へっ、もう遅い! 『ドラゴンクロー』だ!」
「ガァァ……ブッ!!」
「ノォッ!?」
「何ですって!?」
避ける姿勢から一転、一気に距離を詰めて相手を切りつけるガバイト。ところが、先ほどよりも明らかに移動速度と『ドラゴンクロー』の威力が上がっていた。予想以上のダメージにダイノーズも思わず声を上げてしまう。
「素早さと攻撃力が上がって……ま、まさか! ダンスタイムとは『りゅうのまい』の事だったのですか!?」
「正解。ガバイト、『あなをほる』攻撃だ!」
一瞬で地面に潜るガバイト。穴を掘るのが得意ではないポケモンがやると、地面が盛り上がってどこを移動しているか分かってしまう技だ。
だが、宝石を好むガバイト……特にアンバーの発掘作業を手伝うために穴を掘り続けてきたガバイトにとって、穴を掘り進めることなど造作もないことだった。
「くっ、何処から出てくるの……!」
すると、ダイノーズの真後ろから一気に飛び出てきた。
「溜めたエネルギーを解放しろ! 『ドラゴンブレス』!」
「只で終わるものですか! 『しねんのずつき』!!」
元々覚えている『りゅうのいぶき』が、『りゅうのまい』によってエネルギーが蓄積され、より強い威力になった。それをアンバーは『ドラゴンブレス』と名付けている。そのブレスがダイノーズを襲う。
しかしダイノーズの動きも早かった。頭にエネルギーを溜め、今までおちょくられた分の恨みも込めて勢い良くガバイトに頭突きをした。
「あっ、ちょっ!?」
その瞬間、凄まじい爆発が起こった。
「ガブゥ~……」
「ダイノ~……」
「え、えー、両者戦闘不能!」
「えーと、ダイノーズの頭突きがガバイトに命中して……」
「口に溜めていたブレスのエネルギーがその衝撃で暴発した、と言うことですね……」
まさかの引き分けに、アンバーとツツジはおろか、審判役のヒョウタも、マナを初めとする観客達も唖然としていた。
オリジナル技『ドラゴンブレス』
タイプ:ドラゴン 特殊技
竜のエネルギーを溜め込んでブレスとして放つ、『りゅうのいぶき』の強化版。その威力は、強い衝撃を与えると暴発して自身もダメージを追うほど。
エネルギーを溜めないといけないので、初手から放とうとすると、最悪の場合『りゅうのいぶき』よりも弱くなる。使いどころが試される技。