今回は、前話「ミカルゲの実力」の続きとなっております。それでは、どうぞ。
アンバーは、基本的に昼間はポケモンをモンスターボールから出している。ボールの中はポケモンにとって快適になるよう作られているらしいが、それでも伸び伸びとさせてあげたいと言うのがアンバーの思いだった。
カイリキーやガバイトは荷物の運搬や接客のために店内で、ハガネールとミカルゲは庭で子供達と遊んでいる。ではメガヤンマはどうしているかと言うと……屋根の上でのんびりと過ごしている。
「…………」
ミカルゲの『おそろしいかお』でヤミカラスを追い払った翌日。その日はどんよりとした、それでいて雨は降らないと言う中途半端な天気だった。メガヤンマはいつもの通り屋根の上で過ごしていたのだが、好きな日光浴が出来ないため不機嫌だった。
「……メガ?」
ふと、遠くの空から何か黒い影が見えてきた。影が大きくなると、その正体が分かった。
「クワー! カー、ギャー!」
「カー! カー!」
「グワッガッガッガッ……」
突如、ヤミカラスの集団が襲ってきたのだ。
「子供達を中に!」
「はい! みんな、こっちよ!」
近所の子供達の悲鳴を聞いて、大急ぎで外へ出たアンバー。その群れの規模はかなり大きく、近所の大人達も驚いている。
「何でこんな昼間に!?」
「曇り空で日光が無いからか……? それにしてもこの規模の群れなら……!」
その時アンバーは見つけた。帽子のようなトサカに、マフラーを思わせる白い体毛。ヤミカラスよりも大きなそのポケモンを。
「ドンカラス! 手下がやられて仕返しに来たのか!」
よく見ると、何羽かのヤミカラスは少しボロボロだ。良いように追い返されてボスに泣きついた事を、ドンカラスがお仕置きしたのだろう。
その鳴き声に迷惑を感じた近所の人たちは、自身のポケモンを出しながらアンバーに依頼する。
「アンバーさん! ドンカラスを何とかしてくれ!」
「俺たちはヤミカラスを相手にするからよ!」
「私は子供達を守ります!」
「分かった!! 空中戦なら……メガヤンマ!」
「ヤンマ!」
屋根から飛んできたメガヤンマを、ドンカラスは睨み付ける。
「クァー……!」
「メェガ……!」
一方は群れを率いるボス、一方は太古から復活したポケモン。
互いのプライドがぶつかり合う戦いとなった。
クロガネシティの空中戦にて、最初に動いたのはドンカラスだった。
「カァー!」
「『つばさでうつ』攻撃か! 避けろメガヤンマ!」
「ヤンマ!」
翼を羽ばたかせ、その羽を弾丸のように飛ばしてくる。大きな体のメガヤンマだが、持ち前の素早さで簡単に避けていく。
だが、ドンカラスは避け終わって動きが一瞬だけ止まる所を狙った。
「クァ!」
「メガ!?」
「しまっ!? あれは『ドリルくちばし」か! 体勢を立て直して『むしのさざめき』だ!」
「ガァァァヤン!」
「グガァ!? カァー……!」
危うく地面に落ちそうになったメガヤンマだが、アンバーの指示にすぐ従い、その鳴き声をくらわせる。虫タイプ故に効果はいまひとつだが、虫に反撃されたと言う事実がドンカラスを怒らせた。
「カァァァァ!」
「『バインドボイス』に負けるな! 『むしのさざめき』をボリュームアップ! かき消せ!」
「ガァァァァァ!!」
大音量がぶつかり合い、その余波で小石が飛ぶ。
この時ドンカラスは気付いていなかったが、今2匹は低空を飛行している。それは、メガヤンマが最も技を発揮できる高さであり、アンバーがそこまで持ち込む事を狙っていたのだ。
「『げんしのちから』!」
「メェェェェガ……!」
「っ!? お前……!」
メガヤンマの目が赤く光ると、岩の塊がどこからともなく浮いてくる。だがそれだけではない。
「いっけぇ!」
「ヤァァァン!」
「グゲェェェェ!?」
飛行タイプに岩タイプの技は効果ばつぐん。大きな岩のダメージと小石による追加ダメージで、ドンカラスは戦闘不能になった。
その後、放っておくのも駄目だと思い、倒れたドンカラスにオボンの実を与えた。体力を取り戻したドンカラスはアンバー達を脅威と見たのか、そのまま飛び去ってしまった。もちろん、手下のヤミカラスたちもその後を追っていった。
「ナイスだったぞ、メガヤンマ。お前、凄い力を持ってるんだな」
「ヤンマ……」
メガヤンマは少し照れながら、定位置の屋根の上に戻っていった。
それから、アンバーの店にヤミカラス達が来ることは無くなったという。
アンバーのメガヤンマは、「げんしのちから」を使う時に、周りの石なども巻き込んで攻撃します。つまりその気になれば、ステルスロックなども浮かばせて攻撃できると言う設定です。
読んでいただき、ありがとうございます。次回もお待ちください。