火山の鉱物を探しにハードマウンテンへ訪れたアンバーとマナ。しかし探索している途中で、本来ならば麓に下りてこない筈のポケモンや、何かから逃げ惑うポケモン達を目撃する。その異変を調べるためにハードマウンテンを上ると、何故か怒り狂い暴れているサイドンの姿があった。放っておけないアンバーとマナは、サイドンを落ち着かせるためにポケモンを繰り出したのだった。
「カイリキー、『きあいパンチ』!」
「ドータクン、『ジャイロボール』!」
カイリキーが得意のパンチでサイドンを吹っ飛ばすと、そこへドータクンがコマのように回転しながら追撃をかける。
しかし、それでもまだサイドンの怒りは解けない。
「グガァァ!」
「ド、タ……!」
「単純に暴れてるだけみたいね……! 一旦離れるのよ!」
「ドッタッ!」
腕を振り回して暴れるサイドンから距離を取る。するとサイドンは近くの大岩を持ち上げ、ドータクンとマナに向けて投げつけた。
「サァァァイ、ドォンッ!」
「っ! カイリキー、岩を受け止めて投げ返すんだ!」
「リッキッ!」
カイリキーが走り、ドータクンに当たる寸前に大岩をキャッチする。かなりの豪速球だったのか少し歯を食い縛ると、4本の腕によるフルパワーでサイドンに投げ返した。
岩はサイドンに命中するものの倒れる様子はなく、むしろ激しさが増している。
「ガルァァ! グギガァァァァ!」
「アンバーさん。あのサイドン、確かに怒ってますが、それと同時に苦しんでるようにも見えます」
「あの叫び方は普通じゃない。何か、サイドンの体に異常でもあるのか……? カイリキー、『クロスチョップ』で弱らせるんだ!」
「ドータクンは『ねんりき』で出来る限り暴れさせないで!」
ドータクンが念力を送り込み、サイドンの腕や足の動きを鈍くさせる。その間にカイリキーがサイドンに向かって走り、『クロスチョップ』を決めた。
「カァァァイリッキ!」
「グルァ!? ガ、グゥゥ……」
ズシンと言う音を立てて地に伏せるサイドン。その時、彼の体から何かが落ちた。それに気付いたアンバーが慎重に近付いて拾い上げる。
「これは……『どくバリ』じゃないか!」
『どくバリ』とは、弱めの毒が染み込んでいる針で、持たせると毒タイプの技の威力が上がると言う、不思議なアイテムである。
しかし、針なので自身のポケモンに刺さると言うリスクがある。そのため、毒タイプ以外のポケモンに持たせる場合は、先端を丸くして刺さらないようにするのだ。
アンバーが『どくバリ』を見て驚いたのは、その先端が尖っていると言うことだったのだ。すると、サイドンの様子を見ていたマナが声をあげた。
「アンバーさん! このサイドン、弱めですが毒状態になってます!」
サイドンは息が若干荒く、怒りから覚めたその目は虚ろだった。
「つまり、何者かが人為的にサイドンの体に『どくバリ』を刺して、暴れさせていたのか……!」
体をチクチクとした痛みが襲い、体を蝕む毒の不快感がサイドンを怒らせたのだろう。自然に刺さったとは思えず、人為的であることは明らかだった
バックから、もしものためにと用意しておいた『毒消し』を取り出し、針が刺さっていた場所に振りかける。傷口に薬を掛けられて染みたのか、痛そうな声を上げた。
「少し我慢してくれ……。すぐ解毒するからな」
「グゥ……」
「オボンの実よ。食べれる?」
「グルル……」
マナが差し出したオボンの実を、サイドンはゆっくりと食べる。段々と彼の目に光が戻ってきた。苦しくなくなったことが嬉しいのか、笑顔で声を上げる。
「グルァ! グルル!」
「ははは、声が元気になってきたな」
「良かったわね、サイドン!」
「おやおや。人が入り込んでるじゃないか」
突如聞こえた声の方向へ顔を向ける。そこには、淡緑色のおかっぱ頭の男たちと、白衣を着た老人がいた。
「せっかく『火山の置き石』を探すために、人が入らないようにしていたと言うのに、やれやれ……。やはり野生のポケモンに任せても意味なかったか」
「お前か……! お前がサイドンに『どくバリ』を刺したのか!」
「若者は短期でイカンねぇ。それに儂自らがやったわけじゃない。儂に怒りを向けるのは間違っとるよ」
老人が馬鹿にするような目でアンバーを見ていたが、ふとマナの存在に気付くと、驚くように目を見開いた。
「おやおや……。まさか裏切り者のマーズが居るとは思わなかったわい」
「プルート……!」
プルート……ギンガ団幹部の1人である老人は、ニヤリと笑った。
ギンガ団幹部(の中では下っぱ)のプルート登場! マナはどうなってしまうのか? 次回をお待ちください。