「……とまぁ、こんな所かな」
話し終えて、過去の天狗になってた自分を思い出したのか苦笑いするアンバーと、話を聞いて唖然とするマナ。強いとは思っていたが、まさかジムリーダーになれるレベルだとは思わなかった。ましてや、こうてつ島でサバイバルをしていたなど、逞しいにも程がある。
「ははは、これでお互いに隠していた事を明かし合ったね」
「そうなりますね」
「無理に敬語にしなくて良いよ? もうハードマウンテンで素の口調聞いたんだし」
「あ……」
ついいつものように丁寧な口調で話してしまい、可笑しくなって2人でクスクスと笑ってしまった。
ふと、マナも、自分の過去を話したくなった。
「私は……最初はトレーナーだった」
「ふむ?」
「ある時、手持ちのポケモンに乱暴しているトレーナーを見つけて、注意をしたの。けど、『関係ない奴は引っ込んでろ』って言われちゃって……。暫くしてそのポケモンが捨てられていたのを知って、引き取ろうとしたんだけど……その子は人間を嫌いになっちゃってて……」
「………………」
「とても悲しくて、悔しくて、それが苦しく……。、何でこんな辛い気持ちがあるんだろうって、何でポケモンを虐めるような心を人間は持ってるんだろうって思うようになって。その時に……」
「……アカギって人と出会った訳だね」
マナはゆっくりと頷いた。
「心の無い世界を、ギンガ団にいた頃は素晴らしい世界と思ってた。だけどあなたと出会って、人とふれ合って、ポケモンと一緒に生活して感じた。もし世界から心が無くなったら、嬉しいとか照れるとか、そういった気持ちも無くなってしまう……。もしあの時、止める人が居なかったらと思うと、怖くなった」
「……そうか」
自分がギンガ団に入るきっかけを話した上で、もう一度、アンバーに質問をした。
「……アンバー。私はこんな話し方をする女で、しかも元ギンガ団幹部よ? 本当に、此処に居て良いの?」
真っ直ぐ見つめてくるマナの視線を、アンバーはしっかりと受け止めた。彼女を真っ直ぐと見つめて彼は答える。
「さっきの話を聞いて、尚更、ポケモンを大切にする人だと知ったよ。マナさんが此処に居たければ、ずっと此処に居て良い」
“ずっと此処に居て良い”。確かに、アンバーはそう言った。一瞬きょとんとしたマナだったが、段々と顔が赤くなる。
「そ、それって、プロポー……!」
「……あっ!? え、えっと、これは……!」
自分が何と言ったかを思い出し、アンバーも顔を赤くした。
何と言えば良いのだろうか。確かに彼女の事は、一緒に暮らしていくうちに惹かれていった。ここでもしも、「これは違うんだ」のような事を言ってしまえば、彼女を傷付けてしまう。それだけは避けたかった。
(……えぇい! ちゃんとした場で言おうと思ったけど、こうなったら!)
マナに悟られないように決心して、改めて真剣な顔になる。
「変な形になったけど、ずっと此処に居て良い。貴女の事が、好きだから」
言った。これ程ドキドキしているのは、このクロガネストーンショップを開店した時以来かもしれない。
そして、彼女からの答えは……
「こんな私で良ければ……お願いします……!」
目に涙を浮かべ、微笑みながら頷くマナ。アンバーは目を見開いたまま固まり、そして感情が爆発した。
「いぃぃぃよっしゃあぁぁ!」
彼の叫びに答えるかのように、モンスターボールからポケモンたちが飛び出す。
「リッキリッキ!」
「ガブア!」
「ミカァー!」
「お前ら……ありがとう!」
体の大きさの関係上、部屋に出れないハガネールとメガヤンマとサイドンは、ボールをカタカタと揺らして祝福した。
「ブニャーオッ!」
「ゴルゴル!」
「ドォー、タァ~」
「ブニャット、ゴルバット、ドータクン……あなた達もありがとう!」
マナのポケモン達も、ボールから飛び出して祝福した。
こうして、変わった形の告白となったが、1つのカップルが生まれたのであった。
次回、最終回です。どうかお待ちください。