お願いしますゲーフリさん、殿堂入り後とかで良いから、もう片方のソフトのポケモンが出るようにしてください……。ぼっちに救済を……!
メガヤンマをゲットし、クロガネシティへの帰路についていたアンバー。その道中、赤髪の女性と出会った。
「どうしました?」
女性のほうは、まさか声をかけられるとは思っていなかったのか、少しだけ間が空いた後に事情を話した。
「実は、さっきドクケイルと出くわしちゃって……。ブニャットがそれで毒に……」
「えっと、毒消しとかは……」
「……お金が無くて、買えてないんです」
「あちゃー……」
だとしたら、残された手段はポケモンセンターに連れていくしかない。あそこは無料でポケモンの傷を治してくれるのだ。
ここから近いのはクロガネシティだが、女性は見たところ自転車を持っている様子ではない。徒歩だとかなり時間が掛かるだろう。
「うーん、これはかなり危険だけど……。俺の自転車に乗りませんか?」
「え?」
「俺もこれからクロガネシティに帰るんです。そこまで送りますよ」
「で、でも……」
「ポケモンが危ないなら、ジュンサーさんも見逃してくれますって。さぁ後ろに乗って」
ここで「あぁそうですか、頑張ってください」とは言えなかった。アンバーもポケモンを持っている以上、仲間が病気や毒で危険になったことはあり、その時の焦る気持ちは痛いほど分かる。見過ごすことは到底出来なかった。
女性の方は少しだけ迷ったようだが、苦しむブニャットを見ると決心したようだ。
「あと少しだけ頑張って……」
「ニャァ……」
モンスターボールに戻すと、ボールを着けるためのベルトにくっ付け、アンバーの乗る自転車の後ろに乗った。
「よろしくお願いします」
「それじゃ、飛ばしますよ! しっかり掴まって!」
アンバーは行きと同じく、全力でペダルをこいだ。
それからしばらくして、クロガネシティのポケモンセンター前に到着した。
「ありがとうございます!」
「お礼は良いですから。ほら、早くポケモンを」
「あの、お名前は……」
「良いから早く!」
女性がアンバーに名前を尋ねようとしたが、それよりもポケモンの治療が先だと言って、ポケモンセンターの中に押しやる。
「それでは、俺は用事があるのでこれで」
「あっ……」
女性がセンターに入ると、アンバーはさっさと自転車に乗って博物館に行ってしまった。颯爽と走り去るその背中を、彼女はただ見ることしか出来なかった。
「くそぉ、ジュンサーさんめ。見逃してくれたって良いじゃんか。なぁ、カイリキー?」
「リッキ」
「えぇー。お前も俺が悪いって言うの?」
「リキリキ」
「まぁ、そりゃ2人乗りは危ないけどさー……」
あのあと博物館に戻り、メガヤンマの捕獲を伝えた。メガヤンマはアンバーを慕っているらしく、それを察したナナカマド博士は彼がメガヤンマのパートナーになることを提案。元からそのつもりだったアンバーは喜んで引き受け、メガヤンマは正式にアンバーの手持ちポケモンになった。
しかし、最後は締まらないオチがついてしまう。ポケモンセンターまで女性を乗せて走っていた所をジュンサーさんに見られ、博物館から出たあとに厳重注意を受けたのである。その事をカイリキーに愚痴ったのだが、まるで『自業自得だ』と言うような反応されてしまい、ため息をついた。
そうして愚痴りつつも店内の掃除を終えた時、ドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませー。……あっ、さっきの」
「ブニャットが、無事に良くなりました。お礼が言いたくて……。ありがとうございました」
「それは良かった!」
「それにしても……凄いですね、ここ」
店内を見ると、商品棚には沢山の宝石が並んでいて、カウンターに近い中央テーブルにはポケモンの化石が丁寧に置かれている。値札が付いている事を除けば、小さな博物館のようだった。
「改めまして、いらっしゃいませ。『クロガネストーンショップ』へようこそ。店主のアンバーです」
「えっと、マーz……じゃなくて、マナです。旅をしてます」
「マナさん、か。よろしく」
「えぇ、こちらこそ」
マナと名乗った女性が微笑んだ。
さて、赤髪でブニャットを手持ちにしているキャラと言ったら、もう分かりますよね? そうです、ギンガ団幹部のあの娘です。
ただ、ゲームとは異なり、ここでの彼女はアカギが行方不明になった後すぐにギンガ団を辞めています。