クロガネシティの石屋さん   作:G大佐

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今回は他の地方からお客さんが来るみたいです。一体どんな方でしょうか?


遠方からの客

 ドォーンと言う音が遠くから聞こえたあと、店の窓ガラスが少しだけ揺れる。店の営業時間になってから、ずっとこの調子だった。

 

「何が起きてるんですか?」

「音の方角からみて、クロガネジムかな? ジムチャレンジャーが来てるんだろう。朝から続いてると言うことは、チャレンジャーはかなりの実力者かもしれないな」

 

 ポケモンジムがあるクロガネシティでは、このようにポケモンバトルによる爆音や揺れと言うのは日常茶飯事であった。何せ普段から、石炭などを採掘する重機の音なども聞こえる街である。ポケモンのバトルの音が加わった位で動じる住人達ではない。

 最初こそ近くでバトルが行われていることに驚いたマナだったが、すぐに慣れたのかそのままアンバーの手伝いをする。しばらくすると、バトルの音は収まっていった。

 

 

 

 

 バトルの音が聞こえなくなってから数十分後。店のドアベルが鳴ったため、マナが対応した。

 

「いらっしゃいませ!」

「こんにちは、マナさん。アンバーは居るかい?」

「はい。アンバーさーん!」

 

 店の奥で商品を並べ直していたアンバーは手を止めると、ヒョウタの元へやって来た。

 

「いらっしゃい! 随分と激しいバトルのようだったな?」

「あぁ。何せ、本気のパーティーによるバトルだったからね」

「……は? お前の本気パーティーってバンギラスとかいるじゃねえか!」

 

 ジムリーダーは、皆かなりの実力者である。しかし、ジムの順番によって所持ポケモンの数やレベルは決まっており、ヒョウタはシンオウポケモンリーグでは最初のジムである。よって本当ならば所持ポケモンは少なく、レベルも低めになっている筈なのだ。

 しかし、それはあくまで“ジムにバトルにおいて”の話。ヒョウタ個人としての手持ちのメンバーは、バンギラスを始めとする強力なポケモン達ばかりである。

 

「何せ、相手もジムリーダーだからね」

「え?」

 

 すると、少女が遅れて店内に入ってきた。少女は店に並ぶ石たちを見て、目を輝かせている。

 

「わぁ…! 凄い! 凄いです! こんなに心踊る石屋さんは初めてです!」

「彼女が、そのジムリーダーさ。ツツジさん、自己紹介して」

「あっ。し、失礼しました。私、ホウエン地方から来ました。カナズミシティのジムリーダー、ツツジです!」

 

 少女ツツジは、自己紹介をして丁寧に頭を下げる。まさかの遠方からの客に、マナは驚いた。

 

「ホウエン地方から!?」

「彼女は、僕と同じく岩タイプのジムリーダー。お互いに本気のパーティーでバトルになったんだ」

「なるほどな。初めまして。『クロガネストーンショップ』の店長、アンバーだ。こっちは店員のマナさん」

「マナです」

「初めまして。それにしても、凄いお店ですね。こんなに宝石や進化の石、化石まで売ってるなんて」

「石に囲まれた生活をしたいって言う、俺の趣味なんだけどな」

 

 他の地方から、それもジムリーダーが来たと言うのにあまり態度を変えないアンバーを、マナは不思議に思った。

 

「あの、アンバーさん。意外と冷静ですね?」

「そりゃな。他の地方から来たって客は、結構居るんだ。特にホウエンでの実力者が来たのは、これが初めてじゃない」

 

 その言葉に反応したのは、ツツジだった。アンバーの言葉を聞いてしばらく考え込むと……段々と震えていった。

 

「ホウエンの実力者で、石屋を訪れるような人……? ………………………………ま、まさか、()()()()()()が!?」

「お、よく分かったな。結構前にこの店を訪れたんだよ。リゾートエリアの方に別荘持ってるらしいけど、今はどうしているのやら」

「えぇぇぇ!? ホウエン地方チャンピオンって、『ツワブキ・ダイゴ』ですよね!? ここに来てたなんて初めて聞きましたよ!?」

「そりゃ、聞かれてないからな」

 

 それがどうかしたか?と言わんばかりの態度に、唖然とするマナとツツジ。幼馴染みの見慣れた態度に、ヒョウタは苦笑いした。

 

「ところで、バトルの結果はどうだったんだ?」

「引き分けさ。お互いに良い勝負が出来たと思ってる」

「お互いにジムバッジを交換したんです」

 

 2人の表情は良い笑顔だった。お互いに納得のいくバトルだったのだろう。

 

「何ならアンバー、君も彼女とバトルしてみるかい? 君だって元は……」

「おっとヒョウタ! 人の過去はあんまりベラベラ喋るもんじゃねえぜ? 今の俺はただの店長さ」

「……そうだったね。ごめん」

 

 ヒョウタがバトルを勧めようとした時、一瞬だけアンバーの表情が変わったのを、マナは見逃さなかった。

 

(アンバーさん、昔は何だったんだろう? 少し気になるな……)

 

 そんなマナの気持ちを露知らず、アンバーはツツジとのバトルを断ろうとする。しかし、少し顎に指を当てて考えると、ツツジと向かい合った。

 

「ヒョウタの本気パーティーには及ばないだろうが、俺なんかで良ければ」

「喜んで! バトルはいつにしましょうか?」

「今日はヒョウタとのバトルで、ポケモン達も疲れてるだろう。明日以降だな。ヒョウタ、フィールド借りるぞ」

「任せて!」

「アンバーさん、よろしくお願いします!」

 

 ツツジがアンバーと握手する。マナがそれを見た時だった。

 

 

 ズキンッ

 

 

(……あれ?)

 

 一瞬胸が痛くなったような気がした。不思議に思ったが、痛みはもう無くなっており、気のせいだと思うことにした。

 




次回、アンバーvsツツジ! 初めてのポケモンバトルシーン、 頑張ります!
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