魔法少女リリカルなのは~笑顔のために~ 作:sinku0004
天野美希ことアマテラスは、春夜と別れた後、上空で訓練の様子をモニタリングしていた。
今までの訓練で、アマテラスは春夜の才能に何度も驚かされた。彼の経歴上、車両や銃器の取り扱い等に関してはすぐ習得するだろうと思っていた。なので最初は魔法から始めた。
最初のうちは優秀な生徒だと思っていた。教えたことを忘れず、指摘したことはすぐ改善する。物覚えがよく、アマテラスは春夜に教えることが楽しくなってきていた。そんな時、彼はアマテラスにこんなことを言った。「見て欲しいものがある」と。
不思議に思いながらもアマテラスは彼についていった。到着した場所はいつも魔法の実践を行う野原だった。そこで彼は一つの魔法を使用した。自分の周囲に小さい氷柱を10本程形成し、それを射出するという魔法だ。これだけならば関心はしても、驚きはしなかっただろう。
彼には凍結変換素質があるし、魔力弾形成、射出についてはすでに教えている。それを応用すればこれぐらいは簡単にできる。
「どうだった?」
「ん~ちょっと微妙ですね。発想自体は良いと思います。威力もこの系統の魔法にしては十分でしょう。しかし、速さがイマイチです。今の状態では実戦で使うには厳しいと思います」
より実戦で使える魔法を。彼はアマテラスが魔法を教え始めた際にそう言った。曰く、「実戦で使えない魔法は、弾がない銃と同じだ」とか。
「手厳しいな。でもまぁ速度か・・・・」
それっきり彼は考え込んでしまった。
「これなら・・・・いや・・・・でも・・・・」
それにしても、とアマテラスは一つ疑問が浮かんだ。これだけならば態々このように呼び出すだろうか。次の授業の時にでもみせればよいのだ。
「あなたはこれだけのために私を呼び出しのですか?」
「ん? いや、違うぞ。これだけならば態々呼び出さないさ。俺が今回呼び出したのはこの他にもいくつか見て欲しい魔法があったからさ」
それからは彼は自分独自の魔法をいくつかアマテラスに見せていった。
氷柱を射出し着弾時に爆発させ周囲を凍結させる魔法。五指を伸ばしその延長線上に氷でできた剣や槍を形成する魔法。魔力を限界まで収束、それを爆発させ視界を一時的に奪う魔法など、どの魔法も練度を高めれば実戦で使える魔法だ。だがまだ練度が低く、実際にこのまま戦闘に使うには難しいだろう。
例えば最初の凍結魔法だが、凍結力が弱くすぐに砕けてしまう。これでは相手を一時的に拘束することも難しい。2つ目と3つ目の魔法は形成が遅く耐久度に難あり。しかしこのどちらの魔法も魔導士としての技術が向上すれば問題なく実戦で使えるものとなる。とアマテラスは彼に魔法の感想を聞かれた際にこのように答えた。そして日々の授業や鍛錬で彼の魔導師としてのレベルは着実に上昇していった。
「さすがに、こんな幼稚な罠じゃどうにもならですよね~」
魔法で投影されたモニターには現在、春夜が川沿いを歩いている姿が映し出されている。彼は道中の罠(トラップ)をさけ、好奇心からだろうか時にはわざと引っかかりながら進んでいる。
だが、罠はこれだけではない。本命はこの先にある。発動方法は赤外線やワイヤートラップ、地雷型トラップなど色々とあるが問題なのは発動方法ではなくその中身だ。
この先のトラップには、射撃魔法や麻痺系魔法、爆発系魔法などが仕掛けてある。中には引っかかると、どこからか砲撃が飛んでくるようなトラップまである。
少し危険だが、今の彼なら問題なく対処できると判断してのことだ。そして映像は春夜が休憩に入ったところに変わった。
「油断大敵。休憩中といえど何が起こるかわからない。ということで何か仕掛けてみましょうかね~♪」
どうしようかと考えるアマテラス。その時、映し出されている映像に異変があることに気づいた。
その映像は春夜を移しているモニターとは別のモニターに映っていた。
モニターは春夜を移しているもの以外にも複数ある。そのうち川の様子を移しているモニターに異変があった。
「これは・・・・人?」
流れる川の映像には金色の小さい物体が映っていた。よく見るとそれは人の頭部であった。何らかの理由で川に落下して、もしくは川に入ったところを足を取られて流されたのだろう。
アマテラスはすぐに春夜に向けて通信(念話)をつなげようとした。が、その必要はすでになく、川に流されていた人物を救出しに向かっていく春夜の様子がモニターに映っていた。。
救出は問題なく成功した。問題はそのあとだった。救出した人物の名は、フェイト・テスタロッサ。原作の主要人物の一人だ。春夜とフェイトがここで邂逅したのは別段驚くことではない。フェイトはこの時期ならまだアルトセイムに住んでいる。ならばいつか出会うのは必然だろう。なので問題というのはそこではない。
では何が問題か。それはタイミング悪くフェイトの実質的保護者リニスが現れたことだ。全裸状態のフェイトと15~16歳くらいの姿となった春夜の前に。フェイトが全裸なのは濡れた衣類を乾かすため。春夜はクライシスの判断によって。だがそれは事情を知っているから言えることだ。何も知らない人から見れば春夜がフェイトに変なことをしようとしているようにしか見えない。
しかも、フェイトは再会できたことが嬉しかったのかリニスに抱きついて泣いている。この状況では春夜が悪者に見えても仕方がないだろう。
「このあとどうなるのかは想像できますし、止める方法もありますけど・・・・・まぁ面白そうなのでこのままにしておきますか♪」
それからアマテラスはすぐに、残りのトラップの起動装置を切り、トラップ自体にも魔法でロックをかけた。こうなった以上、一度訓練を中断しなければならない。恐らくこのまま中止の可能性が高い。もし、その間に誤作動や小動物達に作動させられては堪らない。
一通りの作業が終わったアマテラスは春夜の映るモニターへと視線を向けた。そこではちょうどリニスvs春夜の戦闘が行われようとしていた。
「本当に予想通りになってしまいましたね~ では、観戦といきますか」
その後アマテラスは春夜とリニスの戦闘を楽しそうに見ていた。戦闘終了後、春夜より訓練中断の要請があり、アマテラスはこれを受け入れ訓練は一時中断となった。
今月中にあと一回、更新できたらいいな・・・・