魔法少女リリカルなのは~笑顔のために~   作:sinku0004

8 / 14
第五話

「というわけです」

 

春夜は美希に訓練の中断を申し入れたあとにリニスに対して今までの経緯を全て説明した。春夜が訓練中だということは話していない。話が逸れるだけだからだ。

 

説明を行う前に変身魔法を解除し、その際に一悶着あったがそれはこの際置いておこう。

 

「そういうことでしたか。それは失礼しました。フェイトを助けて頂きありがとうございました」

 

ペコリ、とリニスは春夜に頭を下げた。

 

「頭をあげてください。俺は礼をいわれるようなようなことはしていませんよ。目の前で助けを求めている人、特にそれが子どもなら誰だって助けようとします」

 

「ふふ。おかしなことを言いますね。あなたも子どもではないですか」

 

「あはは、そうでしたね・・・・・」

 

と苦笑する。某体は子ども頭脳は大人な名探偵の気持ちが少しわかるような気がした春夜であった。

 

「家はこの辺なんですか?」

 

「まぁ・・・近くではあると思います」

 

春夜の回答に対してリニスは不思議そうに首を傾げる。これが漫画なら頭に?が浮かでいただろう。

 

彼女の反応は当然だ。どこに、「自分の家はこのへんだと思います」なんて答える人がいるだろうか。

 

だが、春夜はこう答えるしかないのだ。なんせ目隠しでここまで連れてこられたのだ。どの方向に自分の家があるのか。そもそもここはどこなのか。春夜自身にはわからない。

 

彼にわかることは、トラップ等を考慮しても徒歩5時間以内には自宅に到着できるということだけであった。

 

実際の距離は訓練開始地点から徒歩3時間程度のところに自宅があるのだがそれは教官である美希のみが知ることである。

 

「よくわかりませんが、私達の家はここから20分程歩いたところあるのですけど、もしよければこのあと一緒に食事でもどうでしょうか? お礼とお詫びを兼ねての。」

 

「いえ。そこまでしていただかなくても」

 

春夜は正直早く訓練に戻りたかった。現在時刻は1605(ヒトロクマルゴ)。フェイトの救助、リニスとの戦闘、そして事情説明等を行っているうちにすっかり遅くなってしまったがそれを理由に途中で訓練を中止にはしたくなかった。

 

「連絡先を教えていただければ、ご両親には私から連絡しますので、遠慮なさらずに。それとも私達と一緒の食事は嫌ですか?」

 

「いえ・・・・そういうわけではありませんが・・・」

 

「はぁ~ ではこれでどうでしょうか。フェイト~」

 

リニスはため息を一度つくと春夜と話している間、近くで遊んでいたフェイトを呼んだ。

 

フェイトは「は~い!」と元気に返事をして、リニスのそばへと駆け寄った。

 

「実はこれから春夜と一緒に食事でもと思っているんですが、フェイトはどうですか?」

 

「うん。いいよ。ご飯はみんなで食べた方がおいしいし、助けてくれたお礼もしなきゃ!」

 

「そうですね。でも中々、春夜がうんって言ってくれないんです。だから、フェイトからもお願いしてくれますか?」

 

「うん!いいよ!」

 

するとフェイトは春夜の方を向くと数歩前に進んだ。

 

「しゅんやお兄ちゃん、一緒にご飯食べようよ。ね?」

 

と春夜に笑顔で言う。春夜はなんとか断ろうとしたが、その度フェイトが不安そうな顔をするのだ。そんな顔をされたら断れるわけがない。

 

春夜はリニスに抗議の視線を送るがリニスはニコニコと自分たちの方を見ているだけであった。

 

「わかったよ。フェイト。じゃ、一緒にご飯食べようか」

 

「うん!」

 

フェイトは春夜の答えをを聞くとリニスの方に向き直り嬉しそうに報告するのであった。

 

そんなフェイトの姿をみた春夜は「まぁ、あそこまで喜んでくれるなら、別に訓練はいいか」と思い、美希へと通信をつなぎ、正式に訓練の中止を申請。多少文句を言われると思っていたが、あっさりと許可が下り、訓練は中止となった。が、一つだけ条件を出された。それは、「私も連れて行くこと」だった。理由を聞こうとした春夜であったが、その前に通信を切られてしまった。

 

さてどうしたものか。そう思いながら春夜はこのことを話すためにリニスに注意を向ける。

 

「狡いですよ。リニスさん、こんな方法」

 

「さて、なんのことですかね」

 

「・・・まぁいいです。それと、食事のお誘いお受けする前に、一つお願いしたいのですが」

 

「はい。なんでしょうか? 私にできることならなんでも」

 

「ありがとうございます。では、その食事に一人追加してもらってもいいでしょうか?」

 

「追加ですか。別に構いませんがどのような方なのですか?」

 

「どのような・・・・・」

 

春夜は美希のことをどう説明しょうか考えた。彼女のことを一言でいうと明るく元気な人なのだが、それだとあまりにも抽象的だ。とちょっと困っていた春夜だが、それはクライシスからの念話により解決されることとなった。

 

『マスター、ボイスメッセージが届いています』

 

恐らく美希だろうと春夜は思った。現在、春夜にメッセージを送る人間は限られている。両親と美希の3人だけだ。まぁ、美希が人間かどうかは少し怪しいが。

 

春夜はリニスに一言言って、メッセージを確認するため2人と離れた。

 

「クライシス、メッセージは1件か?」

 

『はい。美希様からです』

 

「わかった。早速再生してくれ」

 

『了解』

 

そうして美希からのメッセージが再生された。20秒ほどの短いものだった。

 

『訓練のために用意していたトラップの回収が終わったので今からそっちに向かいま~す。2~3分程で到着するのでリニスさん達に話し通しておいてね』

 

メッセージを聞いた春夜はリニス達のもとに戻り美希が今からこちらに来ることを説明した。

 

春夜はなぜ美希がリニスの名前を知っているのかが少し疑問であったが、恐らく近くにいて、訓練の様子をモニタリングでもしていたのだろうと思いあまり気にしないことにした。

 

そうして、美希は本人の言う通りメッセージの3分後に春夜達と合流。4人はテスタロッサ家へと向かった。

 




原作開始はもう少し先です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。