にじさんじ決闘王   作:七倉八城

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今回で最終回になります。
行き当たりばったりなストーリを最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回作はしっかり構成を練って作っていきたいと思います。



BATTLE.Final「葛葉vs加賀美ハヤト」

 デュエルの決着がつき、戌亥は力が抜けたようにデュエルディスクを外した。

 リゼが一息ついてデュエルディスクを外す。アンジュは泣きそうな顔でリゼに近づいた。

 

「リゼーー!!」

「はぁ……やっと勝てた」

「…………強くなったな、ィゼ」

「とこちゃん……帰ろう」

 

 リゼがとこの前に手を差し出す。

 戌亥も観念したこのように落胆すると、差し出された手を掴もうとする。

 すると、急に地獄の門の引力が強まり、戌亥が手を掴もうとした瞬間に戌亥は身体を強く引っ張られ、門に吸い込まれそうになる。

 

「とこちゃん!!」

「戌亥!!」

 

 二人が引っ張られる戌亥の手を掴もうとするが引っ張られる力の方が速く、掴み損ねてしまう。

 戌亥はそのまま地獄の門に吸い込まれてしまった。

 

「アンジュ、行こう!!」

「うん!!」

「いや、もう時間だ」

 

 二人が地獄の門に向かおうとした瞬間、心配で追いかけてきていたチャイカが到着し、二人を抱きかかえた。

 

「チャイカさん!」

「は、放してください!! まだ戌亥が」

「ダメだ。これ以上は二人も危険だ」

 

 チャイカは二人の話を無視して、地獄の門から脱出する。

 

「恨むなら情けない俺を恨め」

「そんなっ!!」

「とこちゃん! とこちゃーーーん!!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 地獄の門に吸い込まれた戌亥は虚無の空間を漂っていた。

 

「あーあ……結局、こうなっちゃったか」

「まったく……とこちゃんが頑固だからこうなっちゃったんでしょ?」

「…………なんで、アンタがここにおるねん」

 

 戌亥の横にはいつの間にかオレンジ色の長髪を三つ編みでまとめた少女がいた。

 

「とこちゃんが心配だったから来ちゃった♡」

「…………」

「ちょっとぉ!!」

「で、何でここにいるん?」

「おっほん。とこちゃんが大変だって聞いたからねー、どんな無茶をしているのか見てみようと思ったら、思っていた以上に無茶してたからね。思わず、助けにきちゃった」

「このお人よしが……」

「で、どうするの?」

「どうするって?」

 

 オレンジ髪の少女は呆れるようにため息をついた。

 

「とこちゃんはここから出て、皆の所に帰りたいの? それともここにずっといるの?」

「…………」

 

 核心を突かれた戌亥は黙ってしまった。

 

「……帰りたい……帰りたいッ!! でも、もう何もかも遅いんや!!」

「仕方ないなぁー、私が何とかしてあげる」

 

 オレンジ髪の少女が投げキッスをすると二人の前にガラスの階段が現れた。

 階段の先にはまばゆい光が放たれていた。

 

「さぁ、とこちゃん!ここを登れば皆の所に帰れるよ!」

「アンタはどうするん?」

「私? 今の私は幻みたいなモノだからね。とこちゃんが帰った後におさらばするよ」

「本当にアンタは……」

 

 戌亥は呆れていたが笑みを浮かべていた。

 

「じゃあ、帰るわ」

「うん! いってらっしゃい!」

 

 戌亥はオレンジ髪の少女に手を振ると階段を駆けていった。

 階段を上るたびに先にある光が近づいてくる。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 チャイカによって皆の元に戻っていたリゼとアンジュは泣き崩れていた。そこにフレンやニュイなど女性ライバー達も泣きながら抱き着いていた。

 それを見ていたチャイカは悔しそうに顔を歪ませながら拳を強く握る。隣にいた社はチャイカを慰めていた。

 

「……とこちゃん……」

「……戌亥……」

 

 戌亥を救えなかった不甲斐なさに涙を流す二人。

 

「…………ゼッ!! …………ジュッ!!」

 

 どこからか声が聞えるが二人には届いていないようだ。

 

「…………ィゼッ!! …………ンジュッ!!」

「?」

 

 

 声が聞えた加賀美はふと上空を見上げる。

 すると空からまばゆい光が放っていた。

 

「皆さん! あれを見てください!!」

 

 加賀美が指を指すと光から戌亥が飛び出してきた。

 

「ィゼ!! ンジュ!!」

「とこちゃん……?」

「戌亥……?」

 

 リゼとアンジュは幻を見ているのかと自分たちを疑うが他のライバー達も空を見上げていた。

 紛れもなく戌亥だった。

 

「とこちゃん!!」

「戌亥!!」

「ィゼ!! ンジュ!!」

 

 二人は空から落下してきた戌亥を抱きかかえるようにキャッチする。

 

「戌亥!! 戌亥!!」

「本当にとこちゃん?」

「そうやで……お節介な引きこもりが助けてくれたんや」

「良かった……これだまた三人でいられるね」

「本当に……本当にごめんな」

「もう良いんだよ!!」

 

 三人は抱き合って泣き合った。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 草壁誠一郎の暗躍から一週間が過ぎた。

 崩壊したスタジアムの修繕工事も終わり、にじさんじ決闘王のスタジアムは綺麗に修復されていた。

 修復されたスタジアムにはたくさんの観客が集まっていた。

 

「さぁ、皆様! お待たせしました!!」

 

 夢追がマイクを持って高らかに声を上げる。

 

「色々ありましたが、にじさんじ決闘王を再開したいと思います!!」

 

 夢追の宣言で歓声が上がる。

 草壁誠一郎の乱入で中断されていたにじさんじ決闘王を再開することになった。

 しかし、準決勝に進出していた戌亥とリゼは迷惑を掛けた。という理由で辞退した。

 よって、最後の決勝戦が行われることになった。

 

「さぁさぁ!! 最後に残ったのはこの二人! 世界を! にじさんじを救った二人のデュエルだぁ!! 実況は私、夢追翔と!」

「解説は社築がお送りします!」

「社さん! ついに決勝戦です!」

「えぇ、有耶無耶になっていましたがついにこの日が来ましたね」

「さぁ! 決勝戦で戦う二人の登場です!!」

 

 東ゲートが開かれるとスモックが噴き出した。

 

「東ゲート! 最強のアドバンス召喚使い! 古の召喚法を扱うこの男はついに頂点まで上り詰めた! その悪魔の歌声はスタジアムに勝利の喝采を響かせる!! 悪魔の勝利宣言(デモンズ・ヴォイス)!! 加賀美ハヤト!!」

 

 スモックが晴れるとスーツをビシッと着こなした加賀美が出てきた。

 

「社長~!!」

「頑張れぇ!!」

 

 同期の夜見れなや葉加瀬冬雪など沢山のライバーが歓声を上げる。

 そして、次に西ゲートが開かれ、スモックが噴き出した。

 

「西ゲート! コントロール奪取、ランクアップエクシーズなど、数々の戦法で敵を惑わす! 世界を救った男は今度は頂点をもぎ取る! 誇り高き吸血鬼は勝利という名の栄光を掴み取る! 吸血帝王(ヴァンパイア・エンペラー)!! 葛葉!!」

 

 スモックが晴れる前に勢いよく飛び出してきた。

 いつものラフな格好でスタジアムに向けて走り出す。

 

「葛葉ーー!!」

「頑張ってください!!」

 

 ゲーマーズの皆や凛月など沢山のライバーが歓声を上げる。

 二人はスタジアムの中央に立つとデュエルディスクを構えた。

 

「等々。この時が来ましたね」

「えぇ、優勝は頂きますよ! 社長!!」

「勝つのは私です!!」

「さぁ、にじさんじ決闘王! 決勝戦の幕開けです!!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は頂きます! 私のターン! 私は【魔境絶唱 宴の贄】を発動します!」

 

【魔境絶唱 宴の贄】

魔法

〇デッキからレベル1の【魔境絶唱】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「私はデッキから【魔境絶唱 ファウスト】を特殊召喚! ファウストの効果発動! デッキから【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚します!」

「下級モンスターが二体!! 来るか!!」

「いいえ、下準備はまだです!私は手札から【帝王の開岩】と【冥界の宝札】を発動します!」

「うわぁー」

「加賀美ハヤト!! ここでブースターを用意していく!!」

「これでアドバンス召喚するだけでアドが取れるようになったな」

「私は【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ベーゼ】二体を生贄に捧げ、【魔境絶唱 アマデウス】をアドバンス召喚します!!」

 

 ファウストとベーゼの二体の悪魔が消滅すると、その場の空間に亀裂が入り、空間の狭間から巨漢な悪魔が現れた。巨漢な悪魔は両肩に骸骨の頭が付いており、威圧を放っている。 

 

「アドバンス召喚成功時、アマデウスと【帝王の開岩】と【冥界の宝札】の効果を発動! 【冥界の宝札】の効果で二枚ドロー! 【帝王の開岩】の効果で【魔境絶唱 シューマン】を手札に加えます。そして、【魔境絶唱 アマデウス】の効果で葛葉さんの手札を一枚、墓地に送ります」

「くっ……【ヴァンパイアの使い魔】が」

「モンスターが墓地に行きましたね! 【ヴァンパイアの使い魔】の攻撃力分のダメージを与えます!」

 

葛葉LP:4000→3500

 

「くっ! 先制バーンとはやりますね」

「加賀美ハヤト初っ端から攻めていく!!」

「墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】の効果で自身を特殊召喚し、ダメ押しで【真帝王領域】を発動します」

 

 加賀美のフィールドはうす暗い空間となり、背後に巨大な玉座が現れた。その玉座に巨漢な悪魔が座る。

 

「ここでエクストラ封じ。十八番であるロックもしっかり決めていくな。それに【魔境絶唱 アマデウス】で一妨害は確実にできる」

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンドです!!」

「加賀美ハヤト! 初手で上級モンスターを出しつつ、しっかりとエクストラ封じを決めていく! この状況を葛葉はどう覆していくのか!!」

「俺のターン! ドロー! よし、俺は手札から【ヴァンパイア・ストーム】を発動!!」

 

【ヴァンパイア・ストーム】

魔法

〇デッキから【ヴァンパイア】モンスターを二体まで墓地に送ることで発動できる。墓地に送ったモンスターの数だけ、相手の魔法・罠カードを破壊することができる。

 

「俺は【ヴァンパイアの眷属】と【ヴァンパイア・ソーサラー】を墓地に送り、社長の伏せカードと【真帝王領域】を破壊する!!」

 

破壊されたカードは【ガード・ブロック】だった。

 

「私のカードが!!」

「さらに俺は【ヴァンパイアの領域】を発動!!」

 

 葛葉のフィールドが真紅の夜に変貌した。

 

「墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動! 手札の【ヴァンパイア・ソルジャー】を墓地に送ることで自身を特殊召喚! そして、特殊召喚された【ヴァンパイアの使い魔】と墓地に送られた【ヴァンパイア・ソルジャー】の効果発動!」

 

【ヴァンパイア・ソルジャー】

レベル4/地属性/アンデット族/攻1900/守500

〇このカードがアンデット族モンスターの効果で墓地に送られた時に発動できる。相手のレベル4以下のモンスター一体を破壊する。

 

「【ヴァンパイア・ソルジャー】の効果で【魔境絶唱 ベーゼ】を破壊する!!」

「……通します……」

「葛葉! ここで上手く【魔境絶唱 ベーゼ】を破壊した!」

「これでアマデウスの効果を発動する時には自身をリリースすることしか出来なくなった」

「そして、【ヴァンパイアの使い魔】の効果でライフを500払い、デッキから【聖鬼公ヴァンパイア】を手札に加える」

 

葛葉LP:3500→3000

 

「そして、墓地の【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! さっき手札に加えた【ヴァンパイア・ビショップ】を墓地に送ることで自身を特殊召喚! そして、【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! ライフを500払い、デッキから【ヴァンパイア・デザイア】を手札に加える! そして、【ヴァンパイア・デザイア】を発動! 墓地の【聖鬼公ヴァンパイア】を選択し、フィールドの【ヴァンパイアの使い魔】を墓地の送り、【聖鬼公(セントレア)ヴァンパイア】を特殊召喚! 【ヴァンパイアの使い魔】はゲームから除外される」

 

葛葉LP:3000→2500

 

【聖鬼公ヴァンパイア】

レベル8/光属性/アンデット族/攻2800/守1500

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【ヴァンパイア】モンスター二体を手札に加えることができる。

〇相手モンスターが墓地に送られた時に発動することでできる墓地の【ヴァンパイア】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターのレベルは7となる。

 

 葛葉のフィールドに純白のスーツを着た真紅の瞳の男が現れた。真紅の瞳の男が笑みを浮かべると口元から鋭い牙が見えた。

 

「【聖鬼公ヴァンパイア】の交換発動! デッキから【竜血公ヴァンパイア】と【ヴァンパイア・フロイライン】を手札に加える! そして、【ヴァンパイアの領域】の効果で追加で召喚が可能! さらに墓地の【ヴァンパイア・ソーサラー】をゲームから除外することで、リリース無しで上級モンスターを召喚する! 来い、【竜血公ヴァンパイア】!!」

 

葛葉LP:2500→2000

 

「厄介なモンスターが出てきましたね」

「【竜血公ヴァンパイア】の効果発動! 社長の墓地の【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ベーゼ】を俺のフィールドに特殊召喚!! 俺は【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ベーゼ】でエクシーズ召喚! 【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】!! シェリダンの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで【魔境絶唱 アマデウス】を墓地へ送る!」

「くっ!! 【魔境絶唱 アマデウス】の効果発動! 自身をリリースすることで【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】を破壊します!」

「上手くかわしたか! だが、【聖鬼公ヴァンパイア】の効果発動! 【聖鬼公ヴァンパイア】の効果で墓地の【ヴァンパイア・ソルジャー】を特殊召喚! 俺は【ヴァンパイア・ソルジャー】と【ヴァンパイアの眷属】二体でリンク召喚! リンク2【ヴァンパイア・ドレイク】!!」

 

【ヴァンパイア・ドレイク】

リンク2/闇属性/アンデット族/攻2000/↖↘

【ヴァンパイア】モンスターを含む効果モンスター二体以上

〇このカードのリンクマーカー先に存在するモンスターはアンデット族になる。

〇相手のアンデット族モンスターが効果を発動した時に発動できる。その効果を無効にして、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「葛葉!! 完全に加賀美ハヤトの盤面を一掃し、強力なモンスターを展開していく!!」

「バトルだ!! 【竜血公ヴァンパイア】で社長にダイレクトアタック!」

「手札からトラップカード【魔境絶唱 幻惑の賛美】を発動します!!」

「なっ!?」

「加賀美ハヤト!! ここで手札からトラップカードを発動だ!!」

「完全に意表を突いたな」

 

【魔境絶唱 幻惑の賛美】

〇墓地の【魔境絶唱】モンスター一体をゲームから除外することで発動できる。このターン、戦闘ダメージを受けない。

〇自分フィールドにカードが存在しない時、このカードは手札から発動することができる。

 

「このターン。私は戦闘ダメージを受けません!!」

「クソッ!」

「これは痛いな。葛葉はこのターンで決める覚悟でライフを削ったからな。下手したらカウンターされて負けるまであるな」

「俺はターンエンド!」

「私のターン! 私は手札から【魔境絶唱 奈落からの誘い】を発動!」

 

【魔境絶唱 奈落からの誘い】

魔法

〇墓地のレベル1の【魔境絶唱】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはアドバンス召喚する場合、二体分のリリースにできる。

 

「私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚! 二体分となった【魔境絶唱 ベーゼ】を生贄に捧げ、【魔境絶唱 シューマン】をアドバンス召喚!! この瞬間、【魔境絶唱 シューマン】【帝王の開岩】【冥界の宝札】の効果を発動!」

「通しますよ」

「では、【冥界の宝札】の効果で二枚ドロー! そして、【帝王の開岩】の効果で【魔境絶唱 バッハ】を手札に加えます! 最後に【魔境絶唱 シューマン】の効果で【魔境絶唱 ヨードン】と【魔境絶唱 オロゴス】を墓地に送ることで【魔境絶唱 ヴェートーベン】を特殊召喚!」

 

 黒いローブを身にまとった、骸骨の仮面をかぶった悪魔が現れ、指を鳴らす。横にスーツを着た男性の悪魔が現れた。悪魔の髪は無数の蛇になっており、メデューサのようだった。

 

「加賀美ハヤトも負けじと大型モンスターを次々と召喚していく!」

「しかし、互いのモンスターの攻撃力は2800。パワーバランスが拮抗しているな」

「いいえ、その拮抗は破れます! 墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を復活させ、私は手札の【魔境絶唱 ビビヨン】の効果を発動します!」

 

【魔境絶唱 ビビヨン】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇手札のこのカードとフィールドの【魔境絶唱】モンスター二体をリリースすることで手札のレベル8の【魔境絶唱】をアドバンス召喚することができる。

 

「手札の【魔境絶唱 ビビヨン】と【魔境絶唱 ベーゼ】をリリースすることで【魔境絶唱 バッハ】をアドバンス召喚!!」

 

 二体のモンスターが消滅すると、そこから黒い空間が現れ、空間から半人半獣の悪魔が現れた。悪魔は咆哮を上げる。

 

「【魔境絶唱 バッハ】と【冥界の宝札】、【帝王の開岩】の効果発動! デッキから二体目の【魔境絶唱 シューマン】を手札に加え、カードを二枚ドローする。 そして、葛葉さんのモンスターの攻撃力を半分にさせます」

「やべぇ」

 

聖鬼公ヴァンパイア 攻撃力:2800→1400

竜血公ヴァンパイア 攻撃力:2800→1400

ヴァンパイア・ドレイク 攻撃力:2000→1000

 

「おぉっと! 宣言通りパワーバランスが一気に崩壊した!!」

「ここでの攻撃力半減は大きいな」

「バトル! 【魔境絶唱 バッハ】で【聖鬼公ヴァンパイア】に攻撃!!」

「させるか! 手札の【ヴァンパイア・フロイライン】の効果発動! 自身を特殊召喚!」

「ですが、ライフが少ない葛葉さんでは【ヴァンパイア・フロイライン】の効果を発揮できません! 攻撃続行です!」

「それを待っていたぜ! 俺は【ドレインシールド】を発動!!」

「何ッ!?」

「葛葉!! ここで【ドレインシールド】!!」

「これは上手い! 攻撃を防ぎつつライフを回復させた。これで【ヴァンパイア・フロイライン】の効果も使える」

 

葛葉LP:2000→4800

 

「くっ……カードを三枚伏せ、ターンエンドです。エンドフェイズ時に【魔境絶唱 ヴェートーベン】を手札に戻します」

「俺のターン! ドロー! いいカードが来たぜ! レベル8の【聖鬼公ヴァンパイア】と【竜血公ヴァンパイア】の二体でエクシーズ召喚! いでよ! ランク8【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】!!」

 

【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】

ランク8/闇属性/アンデット族/攻3000/守2100

レベル8アンデット族モンスター×2

〇このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキから【ヴァンパイア・ロード】一体を特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を一つ取り除くことで発動できる。デッキからアンデット族モンスター一体を墓地に送ることで、墓地に送ったモンスターとは名前の異なるアンデット族モンスター一体を墓地から特殊召喚することができる。

 

「【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】の効果発動! デッキから【ヴァンパイア・ロード】を特殊召喚する!! さらに俺は【ヴァンパイア・フロイライン】と【ヴァンパイア・ロード】の二体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク5【ヴァンパイア・ユングフラウ】!!」

 

 二体の吸血鬼がそれぞれ光となり、交わると光の渦が現れ、光が溢れ出す。光から赤い霧が立ち昇ると、そこから黒いドレスの女性吸血鬼が現れた。黒いドレスの吸血鬼は黒いレースで顔を隠しているが口元は妖艶に笑みを浮かべていた。

 

「【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果発動! エクシーズ召喚素材を一つ取り除くことで【魔境絶唱 バッハ】のコントロールを得る! 頂くぜ! さらに【ヴァンパイア・ユングフラウ】のもう一つの効果発動! 【魔境絶唱 バッハ】と【魔境絶唱 シューマン】を墓地に送る!」

「カウンタートラップ【魔境絶唱 魅惑の賛美】を発動します! 【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果を上書きします!」

「くっ! 俺は【ヴァンパイア・ドレイク】を破壊! まだだ! 俺は【ヴァンパイア・ユングフラウ】一体でオーバーレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らす龍よ! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7【紅月龍(こうげつりゅう)リントヴルム】!!」

 

 紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。

 

「リントヴルムの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで、【魔境絶唱 シューマン】を墓地に送る!」

「させません! 【魔境絶唱 激昂の絶叫】を発動! 【魔境絶唱 シューマン】と【紅月龍リントヴルム】、【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】を破壊します!」

「まだだ! 速攻魔法【RUM-ブラッティ・カオス・フォース-】!!」

「何っ!!」

「【紅月龍リントヴルム】一体でオーバレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! 紅き龍は満月の光を浴び、魔の力を手に入れる! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅き魔龍よ、満月と共に降臨せよ! ランク9【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】!!」

 

 紅い満月が空に昇ると、紅い龍は天に向かうように飛ぶ。満月の光を浴びた紅い龍は徐々に姿を変え、蝙蝠のような大きな翼を広げ、咆哮を上げる。

 

「効果処理を行います。私の【魔境絶唱 シューマン】と【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】を破壊します!」

「だが、これで社長のフィールドはがら空きだ! バトル! 【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】でダイレクトアタック!!」

「リバースカード【ガード・ブロック】を発動します! 戦闘ダメージを0にしてカードを一枚ドローします!」

「くっ!! これでターンエンド!」

「私のターン、ドロー! 私は【汎神の帝王】を発動します! 手札の【真源の帝王】を墓地に送ることで二枚ドローします! さらに墓地の【汎神の帝王】をゲームから除外することで、デッキから【帝王の烈旋】二枚と【再臨の帝王】を選択させます」

「俺は【再臨の帝王】を選択」

「では、そのまま【再臨の帝王】を発動します! 墓地の【魔境絶唱 シューマン】を蘇生させます! さらに墓地の【真源の帝王】の効果を発動! 【真帝王領域】をゲームから除外することで、【真源の帝王】をモンスター扱いで特殊召喚! 私は二体分の生贄となった【魔境絶唱 シューマン】と【真源の帝王】を生贄に捧げ、【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】をアドバンス召喚!!」

 

 二体のモンスターが消滅すると、そこから腕が四本生えた悪魔が現れた。

 悪魔は下の二本の腕で禍々しい形のギターを持っており、上の右腕でマイクを持っていた。

 

「【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】と【冥界の宝札】、【帝王の開岩】の効果発動! デッキから【魔境絶唱 魔境絶唱 ショパン】を手札に加え、二枚ドローし、ヘヴィメタルの効果で相手のモンスターを全て破壊する!!」

「マジかよ!!」

 

 ヘヴィ・デス・メタルがギターを奏でながらシャウトする。

 シャウトは衝撃波となって、葛葉のモンスターが全滅した。

 

「さらに【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚し、バトル! 【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】でダイレクトアタック!」

「ライフで受ける!!」

 

葛葉LP:4800→1300

 

「【魔境絶唱 ベーゼ】でダイレクトアタック!」

「これもライフで受ける!!」

 

葛葉LP:1300→800

 

「葛葉ッ! 一気にライフを削られた!!」

「だが、葛葉のヴァンパイアデッキではライフを回復できるカードが多い、まだ勝敗は決していない」

「そうだ! 勝負はここからだ!」

「えぇ、葛葉さん!!」

「俺のターン! ドロー! ッ!! 来たぜぇ!! 手札から【RUM-ドラゴニック・フォース】を発動!!」

「RUMマジックカード!! 来ますか!!」

「墓地の【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】を特殊召喚し、リントヴルム一体でオーバレイ! ランクアップ! エクシーズチェンジ!」

 

 葛葉の前にエースカードであるリントヴルムが舞い降りた。

 真紅の月が照らされ、周囲は赤い霧で覆われた。リントヴルムが咆哮を上げると赤い霧がリントヴルムの周囲を囲った。

 

「赤き月が満ちたりし時、古の龍王が今、目覚める! 呪われし力を解き放て! エクシーズ召喚! 出でよ、ランク11! 呪われし血の龍王! 【呪血龍鬼(じゅけつりゅうき)ヴァンパイア・ドラグオン】!!」

 

 リントヴルムの周辺に赤い霧が立ち昇り、姿を包み込んだ。龍は姿を変え、人型になった。

 龍人となったリントヴルムは皮膚が龍の鱗になっており、ヴァンパイア特有の蝙蝠の翼を広げた。

 

「葛葉さんのリントヴルムの最終形態ッ!!」

「【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】の効果発動! 墓地の【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】をゲームから除外することで、自身の攻撃力を3000アップさせる! そして、社長のモンスターの攻撃力をダウンさせる!! 【呪血結界】ッ!!」

 

魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル 攻撃力:3500→500

魔境絶唱 ベーゼ 攻撃力:500→0

呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン 攻撃力:4000→7500

 

 ヴァンパイア・ドラグオンが持っていたグラスから一滴垂らすと、赤い液体は波紋のように広がり、スタジアムを赤く染めた。

 

「私のモンスターが!?」

「バトル!! 【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】で【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】に攻撃!! 【紅蓮呪血斬】ッ!!」

 

 ヴァンパイア・ドラグオンは赤い液体を自由自在に操作し、無数の輪を作りだした。血液の輪は高速で回転し、チャクラムのように放つ。

 

「まだです! 負けるわけにはいきません! 私は手札から【魔境絶唱 エピタス】の効果を発動!」

 

【魔境絶唱 エピタス】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇手札からこのカードを墓地に送ることで発動できる。戦闘ダメージを一度だけ0にすることができる。

 

「削りきれねぇ……だが、【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】は破壊するぜ! カードを一枚伏せターンエンド!」

「ここが…………正念場ですね。このターンで決めます! 私のターン、真のデュエリスト(ライバー)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロォォォォ!!」

「来るかッ!!」

「私は手札から【魔境絶唱 鎮魂五重奏(レクイエム・クインテット)】を発動!」

 

【魔境絶唱 鎮魂五重奏】

魔法

〇デッキからレベル8以上の【魔境絶唱】モンスター一体を選択して発動する。選択したモンスターのレベルの数と同じになるように墓地の【魔境絶唱】モンスターをゲームから除外することで、選択したモンスターをアドバンス召喚扱いで特殊召喚することができる。

 

「私は墓地の【魔境絶唱】8体をゲームから除外することでデッキから【魔境絶唱 ウィズン】をアドバンス召喚!! これが私の切り札です!!」

 

 8個の魂が一つに束ねられると人型の姿になった。

 スーツ姿の長身の男が現れた。茶髪に真っ白い肌。青白い瞳が怪しく輝いていた。その姿は加賀美に瓜二つだった。

 

【魔境絶唱 ウィズン】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇このカード以外の自分フィールド・手札のモンスター一体をリリースして発動できる。以下の効果から一つを選び、ターン終了時まで適用する。

●このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。

●このカードは戦闘・効果では破壊されず、カード効果を受けない。

〇このカードは相手モンスターに一回ずつ攻撃することができる。

〇このカードがフィールドを離れたエンドフェイズ時に発動することができる。ライフを半分払うことで、このカードを特殊召喚することできる。

 

「【魔境絶唱 ウィズン】の効果を発動! 手札の【魔境絶唱 メンデルスゾーン】をリリースすることで効果を適応させることができます!」

「葛葉!! 攻撃力が上がっている【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】が逆手に取られた!!」

「来い! 社長ッ!!」

「バトルです! 【魔境絶唱 ウィズン】で【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】に攻撃ッ!! 【ゼロ・スクリーム】!!」

「させるかよぉ!! リバースカード【ヴァンパイア・ディアボリック】を発動!」

 

【ヴァンパイア・ディアボリック】

〇自分フィールドの【ヴァンパイア】モンスター一体を選択して発動できる。選択したモンスターと相手のモンスター全てを破壊する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキからカードを一枚ドローすることができる。

 

「【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】を破壊することで、社長のモンスター全てを破壊する!!」

「くっ! 【魔境絶唱 ウィズン】の効果を発動します! 手札のモンスターをリリースすることで破壊耐性を付与させます!」

「だが、【魔境絶唱 ウィズン】の攻撃力は0! ダメージは回避できる!!」

「…………私はこれでターンエンドです」

(社長のモンスターをは強力だ。俺のモンスターで対抗できるか……)

 

 葛葉の目の前には二人の加賀美が立ちはだかる。

 

「このデュエルは私が……私たちが勝たせていただきます!!」

「社長……ッ!! 俺だって負けません! 私のターン、真のデュエリスト(ライバー)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロォォォォ!!」

「引き当てるつもりですか!!」

「俺が引いたのは【RUM-レインボー・フォース】!!」

「くっ!!」

「葛葉!! ここで最強のカードを引き当てた!!」

「俺は墓地の【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】一体でオーバーレイネットワークを再構築!! 103個の意志を受け継ぎ、今こそ一つとなって希望と虹を紡げ!! これが我ら、にじさんじの結晶!! 現れよ、希望の龍! 【希望虹龍(きぼうこうりゅう)レインボードラグーン】!!」

 

 ヴァンパイア・ドラグオンが虹色の光に包まれると、そこから純白のドラゴンが飛び出した。虹色に輝く翼を大きく羽ばたかせる。

 

「来ましたか!!」

「まだだ! 俺の! 俺たちの力はまだ出し切っちゃいねぇ!!」

「何!?」

「俺は墓地の【ヴァンパイア・ディアボリック】の効果を発動! ゲームから除外することで、一枚ドローする! こでが運命を決めるドローだ!! うおぉぉぉぉ!!」

 

 スタジアムにいる全てのライバーが息を吞む。

 

「ドロォォォォ!!」

 

 葛葉がカードを引いた瞬間、引いたカードが輝きだした。

 

「あ、あの光は!!」

「俺は手札から【HRUM-アルティメット・フォース】を発動!!」

 

 カードを発動させた瞬間、スタジアムが光に包まれた。その光は強烈な光ではなく、温かく優しい光だった。

 

【HRUM-アルティメット・フォース】

魔法

〇自分フィールドのXモンスター一体を対象にして発動する。ランク12以上のXモンスター一体を対象の自分のXモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてXEXデッキから特殊召喚する。その後、このカードを特殊召喚したモンスターの下に重ねる。

 

「HRUMカード!?」

「俺は【希望虹龍レインボードラグーン】一体でオーバーレイネットワークを再構築!! 虹色の魂を束ね、飛び立て! 白き英雄! 新たな夢が今! 虹色に輝く! エクシーズ召喚! これが俺の最後のカードだッ!! 【七星龍皇(セブンス・ロード)レインボーヴァーミリオン】!!」

 

【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】

ランク13/エクシーズ/光属性/戦士族/攻4000/守4000

レベル13モンスター×5

〇一ターンに一度、X素材を一つ取り除くことで発動する。墓地のXモンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力は4000となる。

〇モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手の全てのモンスターの攻撃力を0にする。

〇フィールドにこのカード以外のXモンスターが存在する場合に相手がカード効果を発動した時に発動できる。フィールドのXモンスター一体を墓地に送ることでその効果を無効にする。

 

 【希望虹龍レインボードラグーン】の正面に粒子が現れると、粒子が人型となった。すると【希望虹龍レインボードラグーン】がパーツのように分解され、鎧のように人型の粒子に装備されていく。

 【希望虹龍レインボードラグーン】を装備した人型はやがて、白銀の戦士へと姿を変えた。そして、白銀の戦士の背中に虹色の光の翼が生える。両手には光輝く剣を持っている。

 虹色の翼を羽ばたかせると、周囲に虹色の粒子が降りそそぐ。

 

「これが【希望虹龍レインボードラグーン】の進化系!! ここで【魔境絶唱 ウィズン】の効果を発動します! 手札のモンスターをリリースすることで破壊耐性を付与させます!」

「あぁ、そうだ! 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで、墓地の【紅月龍リントヴルム】を特殊召喚させる! 蘇れ、俺のエース!!」

 

 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】が剣を構えると、葛葉の背後からリントヴルムが飛び出してきた。

 リントヴルムは虹色のオーラを纏っていた。

 

「【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の効果でリントヴルムの攻撃力は4000となる!」 

「ですが、【魔境絶唱 ウィズン】の反射効果があります! いくら強力なモンスターを出しても無駄です!」

「それはどうかな」

「何……!?」

 

 葛葉は怪しい笑みを浮かべた。

 

「バトル! 【紅月龍リントヴルム】で【魔境絶唱 ウィズン】に攻撃!!」

「【魔境絶唱 ウィズン】の効果発動! 手札のモンスター一体をリリースすることで反射効果を付与させます!」

「それを待っていた! 速攻魔法! 【エクシーズ・エクストリーム】を発動!!」

 

【エクシーズ・エクストリーム】

速攻魔法

〇自分フィールドに同じ攻撃力を持つXモンスターが存在する時に発動できる。同じ攻撃力を持つXモンスター一体を選択し

そのモンスターの攻撃力を0にすることで、もう片方のモンスターの攻撃力を倍にする。

 

「これにより【紅月龍リントヴルム】の攻撃力を0にして、【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の攻撃力を倍にする!!」

 

紅月龍リントヴルム 攻撃力:4000→0

七星龍皇レインボーヴァーミリオン 攻撃力:4000→8000

 

「攻撃力0同士のバトルでは互いのモンスターは破壊されず、戦闘ダメージも発生しない」

「えぇ……ですが、【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の攻撃力を上げたとて、私の【魔境絶唱 ウィズン】を突破することは不可能です!!」

「いいや、さっきのリントヴルムのバトルにはちゃんと意味があるんだ」

「何?」

「俺はさらに速攻魔法! 【ピース・オブ・バトル】を発動!!」

 

【ピース・オブ・バトル】

速攻魔法

〇戦闘で互いのモンスターが破壊されなかった時に発動できる。互いのプレイヤーは攻撃力が一番高いモンスターを選択し、戦闘を行う。この戦闘で発生する戦闘ダメージは0となる。バトルフェイズ終了時にフィールドの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力分のダメージをフィールドの攻撃力が一番高いモンスターが存在しないプレイヤーが受ける。

 

「これにより俺の攻撃力が一番高い【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】と社長の攻撃力が一番高いモンスターでバトルさせる!!」

「しまった! 私のフィールドには攻撃力が0の【魔境絶唱 ウィズン】しかいませんッ!!」

「バトル!! 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】で攻撃!! 【七星剣-レインボー・エクスカリバー-】!!」

「くっ!! いけ! 【魔境絶唱 ウィズン】!! 【ゼロ・スクリーム】!!」

 

 【魔境絶唱 ウィズン】がシャウトを放ち、衝撃波を発生させる。衝撃波は物凄い勢いで【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】に襲い掛かる。

 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】は両手の剣を構え、翼と剣に虹色の光を蓄積させる。両手の剣を一つに束ねると、一本の虹色の光の剣となった。【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】は虹色の剣を振り下ろすと【魔境絶唱 ウィズン】と社長をまとめて一刀両断した。

 

「ここまでですか……」

「【ピース・オブ・バトル】の効果で【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の攻撃力! 8000のダメージを受けてもらうぜ!!

 

加賀美ハヤトLP:4000→0

 

 勝敗が決した瞬間、スタジアムは静寂に包まれた。

 その静寂を破ったのは夢追だった。

 

「き、決まったぁぁぁぁ!! にじさんじ決闘王! 勝者は葛葉だぁぁぁぁぁ!!」

 

 その瞬間、スタジアムに歓声と拍手が巻き起きた。

 

「よっしゃぁぁぁぁ!!」

「おめでとうございます」

 

 ガッツポーズをする葛葉に加賀美は拍手をしながら近づき、握手を交わす。

 

「完敗でした」

「いやー、こっちこそ、いつ負けてもおかしくない状態でしたから」

「次は負けませんからね」

「次も勝つのは俺です」

 

 二人は笑い合いながら握手している手に力を込める。

 

「ほら、二人とも閉会式をするから整列しろ」

 

 解説席にいた社がいつの間にか二人のところまで降りてきて、二人の頭を優しく叩く。

 

「……えぇ、そうですね」

「ったく……分かりましたよ」

 

 加賀美は襟を直し、葛葉は恥ずかしそうに頭を掻きながら表彰台に向かった。

 




以上で【にじさんじ決闘王】を完結させたいと思います。
後半は個人的な事情により、更新が遅くなり申し訳ございませんでした。
しかし、何とか完結できたことは自分にとって誇りだと思います。

また、にじさんじのクロスオーバーか何かの先品を書く予定ではありますので、機会があれば読んで頂けると幸いです。

ご愛読、誠にありがとうございました。

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