セイレーンとの戦いが少し落ち着き早数年。
街中には活気が戻りつつあり戦時であることを忘れてしまうような風潮だ。
ところが、軍人という職業はなかなか難儀なもので、民衆が呑気になってもその空気に流されてはいけない。
ということでもない。
アズールレーン陣営におけるとある基地。
ここの指揮官は廊下を走っていた。
必死な顔つきで、ある人に会うために。
着いたところは憲兵宿舎のある部屋
呼吸を落ち着け戸を叩く
「失礼するぞ」
部屋の戸が開かれ、指揮官は部屋の中に入っていく。
中には2人の青年が服装を整えた常態で気を付けをしていた。
「指揮官殿に敬礼!!」
青年の一人の号令と共に海軍式の敬礼を指揮官に向けて行った。
指揮官は彼等に対して敬礼を返す。
指揮官が敬礼を解くと
「直れ!」
号令の後に2人は敬礼をやめ、気を付けの体制戻る。
「2人とも楽にしてくれ」
青年達は休めの体制になり、目を指揮官に向けたまま微動だにしない。憲兵として、一兵士として上官に対し、失礼のない状態を維持しているのだ。
2人に対して視線を一通り送り、指揮官は懐から小箱を取り出す。
「これから君達にこの箱の中身を渡す。受けとれば私が言わんとしてることがわかるだろう」
2人の青年はゴクリ…と唾を飲み込む。
指揮官は箱の中身を取り出した。
中には紙切れが4枚と金貨が2枚入っていた。
指揮官は青年達に対しそれぞれ紙切れ2枚と金貨1枚を与える。
手にした紙切れを確認した青年達は目を見開きわなわなと震えた。
「指揮官殿、発言よろしいでしょうか?」
「許可する」
「本当にこれを頂いてよろしいのですか?」
「もちろんだとも、君達はそれに値するだけの働きをした。」
だが…、と指揮官は言葉を続ける
「これからのためにも君達にはこれまでと同じく私の手伝いをしてもらいたい。決して強要はしない。やめたい時は何時でも相談に来るがいい。私から推薦状を書き、別部隊への上層部に掛け合おう。」
その言葉を聞いた青年達はこめかみに銃口を突きつけられたような恐怖の表情を浮かべ、慌てた様子で答えた。
「滅相もございません!指揮官殿には数多の恩義があるため、それを返すためにも、より一層尽力させていただきます!だから!何卒別部隊だけはご勘弁を!!」
指揮官は青年二人に表情を隠そうともせずニヤリと口角を上げ2人を見回した。
「その言葉が聞きたかったよ。では、君達にはこれから任務を与える。」
指揮官は任務と聞いて真剣な表情に変わった2人を確認して大きく息を吸った。
「お前ら2人ともこれから休暇だああああああ!!!任務は休暇期間中は犯罪、規律違反行為以外自由に過ごせ!お小遣いは金貨1枚だ!お釣りは持ってけドロボー!!」
「「いやったああああああああ!!!」」
さっきの空気はどこへやら。部屋の中が一気に大学生の一人暮らしの部屋で飲み明かすサークル仲間達みたいな雰囲気へと変わった。
「指揮官殿!ありがとうございます!!今から街で遊んできます!!」
「おう!全力で楽しんでこいよ!面倒毎はお前らの上官に頼んどくからな!」
青年の1人は笑顔で更衣室へ向かっていった。
「指揮官殿!指揮官殿!KAN-SENの子と遊んでも良いですか?如月ちゃんと睦月ちゃんと公園へ行きたいんです!」
「非番か確認しとけよ!あと、アークロイヤルは俺にまかせな!あの2人をまかせたぞお兄ちゃん!あ、でもお菓子を与えすぎるなよ。」
「そんな殺生な…」
「お前なあ、可愛い可愛いで好きなものを与えまくったらろくでもない女になるぞ。可愛いあの子達を自分の手で台無しにするのか?」
「うっ…わかりました。自重します。」
「分かればよろしい。さあ行ってこい!2人が待ってるぞ!」
「ありがとうございます!お義父さん!!」
もう一人も輝かしい笑顔で更衣室へ向かった。
「ふっ、誰がお義父さんだよ…」
部屋に残されたのは指揮官ただ一人、清々しい笑顔を浮かべていた。
「さて、執務室に戻って書類仕事するかぁ…。」
大きくあくびをしながら指揮官は部屋を出て執務室へと歩を進めて行く。
多くの基地で働く者達の笑顔の未来のために指揮官は今日も誰かの休暇の予定を捻出するため、仕事量の調整をする……
金貨の価値は1枚辺り30万円程度するのでめちゃめちゃ厚待遇です。
え?KAN-SENが出てきてない?
そんなわけ…
ホンマや……