陣営のおいとま   作:J-2

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忙しい中、投稿が遅れたのに加えて、書いてたら収まりが悪くなったので、前後編に分けました。

ゴルフは齧る程度しかやったことないですが頑張って書きました。

褒めてください(傲慢)




ロイヤルとゴルフ 前編

ゴルフ

 

15世紀頃に現在の形に近くなった球技である(Wiki調べ)

発祥は諸説あるが、企業間や外交におけるツールとして用いられることが目立つスポーツである。

 

しかし、ゴルフも本質はスポーツであり、下手な球技よりも繊細な技術を要求されるものだ。

特に取引のツールとして長年用いられていれば技術が要求される水準が高くなり繊細さが重要になる。

 

ゴルフは良くマナーが重視されるスポーツとも言われる。

打席にはいるときはキチンと同じグループの人間に挨拶をする。

ゴルフが下手な人間を連れていけば、コースを回る同じグループの人間にストレスを与える。

打球を変なところに飛ばせばグループ全員でボールを探すうえに、別のコースに入って他人に怪我をさせることも考えられる。

コースにいる全ての人間に配慮が必要なスポーツなのだ。

だから、かなり神経を使う。

しかも、道具は少しでも当たりが悪ければボールは飛ばない、飛んだもしても変な方向、最悪ボールに当たらないということもある。

だから、常に打つフォームなどにも気を配りつつ、相手を待たせないファストプレーが要求される。

ゴルフとは相手を思いやり、己と戦うスポーツなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロイヤル保有ゴルフコース

通称ロイヤルゴルフクラブ

 

ロイヤル所有の島を一部改修しゴルフ場にした国際ゴルフ場である。

コースは基本に忠実であり、谷越えや、コースの3分の1以上を占めるような大きな池、やたら多いバンカーなども存在しない。

比較的難所が少ないことで有名なゴルフ場である。

 

芝もキチンと整備されており。自然に囲まれた清々しいゴルフ場である。

 

今回はロイヤル寮にてゴルフを嗜むKAN-SEN達と指揮官の親睦会である。

 

 

 

「着いたなー」

「ええ、着きましたわね」

 

ジャケットとチノパンを着た指揮官と長袖のブラウスとフレアスカートを纏ったイラストリアスが輸送機から降りる。

彼等の背後ではメイド隊が手荷物やゴルフバッグなどをゴルフ場へ運び出すために忙しなく動いている。

 

「しかし、こんなに綺麗に晴れるとはな」

「まさにスポーツ日和ですわね」

「確かにそれに違わぬ快晴ぶりだ」

 

のほほんと二人が話していると、後ろから声がかかる

 

「良い場所でしょ?この私自らが設計や設備に助言したんだから」

「おお、陛下。長旅ご苦労様です」

 

ロイヤルのフラッグシップたるクイーン・エリザベスが輸送機から降りてきた。

その身は白を基調としたワンピースにロイヤルブルーのジャケットというこちらもラフな格好だ。普段とは違った大人びた雰囲気抱かせる気品のある色使いだ。

クイーン・エリザベスは指揮官の発言を聞き、少し呆れた様子で指揮官に告げる

 

「何言ってるのよ、私があなたを招待したんだから労うのはこちらでしょ」

「そりゃそうですな」

 

指揮官はハハハと笑う

イラストリアスもクスクス笑いながら、クイーン・エリザベスに向けて微笑みながら諭す

 

「陛下、指揮官さまなりの陛下への配慮でしてよ」

 

クイーン・エリザベスはその発言を聞き少し口を尖らせながら話す

 

「下僕として当然の配慮だけど、今回は下僕である前に客人よ。少しはTPOをわきまえてほしいわ」

「ですって、指揮官さま」

 

イラストリアスは微笑みを崩さないまま指揮官に声をかける。

指揮官はわざとらしく困った顔をして

 

「こりゃ手厳しい。お手柔らかに頼みますよ」

 

クイーン・エリザベスは呆れた表情で指揮官に指摘する。

 

「厳しくもなるわ。名目でも私達を率いてることになってるんだから。それにふさわしい振る舞いをしてもらわなきゃ」

「ノブレスオブリージュってヤツですかな?」

「そうよ。ましてや私達は王族。貴族よりも多くの義務が伴うわ」

 

指揮官はほう、とクイーン・エリザベスの姿勢に感心しながら同意をする。

 

「なるほど、では、私も陛下の面目を潰さないためにも努力しなくてはいけませんね」

「日頃の業務でそれを果たしなさい。今日は余暇よ。思う存分楽しみなさい」

「心からの配慮感謝いたします」

「いいのよ。さあ、受付は済ませてあるわ。着替えてコースへ行くわよ」

 

クイーン・エリザベスは言いたいことを言い終えたのか、スタスタと施設の中へと歩を進める。

それを確認するとイラストリアスは指揮官に耳打ちをした。

 

「指揮官さま、陛下はあのようにおっしゃっていますが、指揮官さまのこと非常に評価してるんですよ」

「そうなのか?」

 

意外なものと感じた指揮官は少し驚く。

 

「もちろんですわ。でなきゃ今日のような催しに呼ぶはずもないじゃないですか」

「確かに、それもそうか」

「2人ともー!何話してるのー!はやくしなさーい!!」

 

2人が何か話していることに気づいたのかクイーン・エリザベスは2人を急かす。

 

「さあ、指揮官さま着替えに行きましょう?陛下が待っていらっしゃるわ」

「確かに、待たせては今回の主催者に失礼だからな。行こうか。」

 

クイーン・エリザベスに追い付くよう、少し駆け足で2人も施設の中へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってコースへ入る。

青々とした芝が広がり、空も雲一つない快晴。そして芝の奥行きを強調するかのようにコースに沿って植樹された針葉樹と広葉樹達。

爽やかな風が吹き抜けるコースは非常に清々しいものである。

 

18ホールの1番初めである第1ホールに参加者は並んでいた。

 

まず、主催者たるクイーン・エリザベス。ピンクを基調としたゴルフウェアに身を包み、サンバイザーをつけ、髪もゴルフがしやすいよう後ろに束ねている。

 

イラストリアスもクイーン・エリザベスと同様ではあるが、ミントブルーとホワイトを基調とした装いである。

 

そして、ゴルフウェアは動きやすくするため体のラインが非常に出やすい。イラストリアスのようなメリハリのある体つきは紳士諸氏の眼を奪う。しかし、決して下品なわけではなく整った美しさがある。

クイーン・エリザベスはイラストリアスには体つきのメリハリに関しては劣るが非常に均整のとれたスタイルであり、健康的でありながらも眼を奪われる美しさがある。

 

そして、指揮官は上は黒に青いラインの入ったポロシャツ。下は藍色のベルトに黒の差し色が入った白い七分丈のパンツを履いている。

日頃、書類業務に追われてるにもかかわらず鍛練は欠かしていない体つきがゴルフウェアの上からも明らかだった。

張りがある大胸筋、引き締まった大腿筋にヒラメ筋。

古代ギリシアからローマにおける大理石の彫刻を思わせる無駄のない体つきだ。

 

それぞれの姿を見て三人は思った

 

(((これゴルフに集中出来る?)))

 

三者それぞれ魅力的な姿をしていることに加え、ゴルフは相手のプレーをキチンと確認し、誉めるときは誉め、フォローするときはフォローしないといけない。

つまり、常時異性としても同性としても魅力を感じる体を見ざるをえないのだ。

 

クイーン・エリザベスは瞬時に考えた。

ゴルフを楽しめ、かつ、ゴルフに集中するために何かゲームを儲けなければならないと。

接待ではない。このゲームに参加者全員が集中するというルールが必要だと。

そうしなければ、グダグダして終わる。労いもへったくれもなくなる。

そして、クイーン・エリザベスは考えをまとめ、提案をした。

 

「2人ともゲームをしましょう」

 

それぞれの美しさに意識を奪われていたクイーン・エリザベスを除く2人はその声に目が覚めて。当然のことを思う。

 

「ゲームですか?」

「そう、ゲームよ。ゴルフを全力で楽しむためにもね。2人とも意識がゴルフとは別のところに向けられてたでしょ?それじゃ今日の催しは台無しだわ。だからよ。」

「なるほど、名案ですわね」

 

2人とも意外にも乗り気であった。

クイーン・エリザベスは続ける。

 

「それで、ゲームとは何をするんです?」

「ゲームに出場する全員に対して勝者が望むものを賭けてもらうわよ」

「なるほど。勝者1人に全員から贈り物があるということですな」

「その通り。因みに相手に肉体的損傷を与えなければ望むものに基本大きなルール違反はない。許容範囲を超えるかどうかは第3者にやってもらうわ」

 

「誰にやってもらいますか?」

 

イラストリアスは疑問を投げ掛ける。

クイーン・エリザベスは少し考え、

 

「そうね、フッド辺りにでもやってもらおうかしら。ベル、通信機を用意して」

 

そういって手をたたくと瞬時に白を基調とし、ラベンダー色の差し色が入ったゴルフウェアを着たベルファストがクイーン・エリザベスの隣に現れる。

 

「お持ちいたしました」

「ん、ありがとう」

 

ベルファストとはどこからともなく通信機を出した。

クイーン・エリザベスはすぐに連絡をとりはじめた。

指揮官は少し違和感を感じ、問いかける。

 

「ん?ベルファスト。どうしてメイド服ではなくゴルフウェアなんだ?」

「申し遅れました。ご主人様、今回私もキャディー兼プレイヤーとして参加するよう陛下から仰せつかっておりました。」

 

指揮官は少々驚き、疑いを賭けているわけではないがクイーン・エリザベスに問う。

 

「そうなんですか、陛下?」

 

フッドとの話をすぐに終えたクイーン・エリザベスは通信機をベルファストに渡し、指揮官に答える。

 

「ベルの言うことは本当よ。ベルの労いもしてあげたくてね。ベルはこれでも結構ゴルフが好きなのよ」

「ほう、それは初耳ですな。陛下の従者を配慮にも感服いたします」

「世辞はもういいわよ。これから勝負するんだから。さて、じゃあそれぞれ参加者から貰いたい景品をフッドに伝えなさい。そのあと書いたものを全員に発表するから」

「初めに発表するんですか?」

「そうした方が全力出せるでしょ?さあ、許される限りの欲しいものを書きなさい」

 

参加者各々欲しいものをフッドに連絡をとりながら、書き出していく。

そして、全員が書き出すまでものの5分もかからなかった。

その紙をベルファストの代わりに近くで給仕を行うダイドーに渡す。

それぞれの紙を確認してるダイドーは少し表情をひきつらせた。

クイーン・エリザベスは少し疑問を覚えたがゲームを始めない限りには何も起きない。

とりあえず、一抹の不安を抱えつつ続行することにした。

 

「じゃあ発表するわよ」

 

ダイドーは書き出したモノを公表する。

参加者4人はそれに近づき各々確認をする。

内容は下記の通りだ。

 

クイーン・エリザベス

イラストリアス→高級茶菓子 一ヶ月分

ベルファスト →秘蔵の紅茶(客人用)一ヶ月分

指揮官 →一日デート

 

イラストリアス

クイーン・エリザベス→秘蔵の紅茶 1ヶ月分

ベルファスト →お茶会の茶菓子増量

指揮官 →貞操と子供

 

ベルファスト

クイーン・エリザベス→キャ◯ウェイ最新ゴルフクラブセット

イラストリアス →一週間秘書交代

指揮官 →貞操と子供

 

指揮官

クイーン・エリザベス→秘蔵のウィスキー

イラストリアス →自由時間の拡張

ベルファスト →休肝日の削減

 

クイーン・エリザベスと指揮官は顔がひきつった。

ダイドーが顔をひきつらせたのはこれだったのかとクイーン・エリザベスは思い返した。

そして、頭を抱える。日頃の行いもロイヤルとしては少し目に余るから仕方もないイラストリアスはまだしも、信頼し、労おうとも思っていたベルファストまでこの様だ。

ましてや、その最たる負担を強いるのが、労いで招いた指揮官であれば尚更だ。

自分の浅はかな行動を悔いるに加え、フッドならここまで過激なことは許さないだろうという過信に後悔を覚える。

 

「ちょっと待て。これ許されるのかよ」

 

思わずいつもの口調が指揮官から出た。

そりゃ動揺するわ、とクイーン・エリザベスは心の中で思う。

 

「出ちゃいました♥️」

「出ましたね♥️」

 

当事者達な何も後悔してない。むしろ、嬉々とした表情で答えている。戦いが始まってすらいないのに勝者の表情をしている。

 

「お前ら淑女だろ。欲望駄々漏れじゃん、本当に淑女なのか?」

 

あまりにも衝撃的な為、指揮官はイラストリアスとベルファストに詰め寄るが、2人とも何も間違ってないと自信満々の表情である。

 

「(色んな意味で)ごめんなさい下僕。下僕と私の願いがスゴく可愛いものに思えるわ…」

「陛下、陛下は何も間違ってません。いや、ほんの少しでも良識があれば陛下のような要望になります。えぇ、コイツらが悪い」

 

クイーン・エリザベスはあまりの失態に頭を下げるが、指揮官は慌ててフォローに回る。

それを余所にイラストリアスとベルファストは

 

「あらあら、指揮官さま心外ですわ。私にも良識はありますのに」

「その通りでございますご主人様。本当は〇〇〇〇〇や********でも良かったんですが…」

「ベル、これ以上やめて。ロイヤルの品位を疑われるわ」

 

クイーン・エリザベスは若干涙目になりながら2人を静止する。

 

「これ維持でも勝たないといけないヤツじゃん。うちの基地大荒れするぞ。」

「本当にそれは良くないわね…何としても勝ちましょう」

 

指揮官とクイーン・エリザベスはあの暴徒2人を鎮圧するために結託し、

 

「ベル、真剣勝負よ。指揮官さまの貞操と子供を賭けたね」

「ええ、決して負けませんよイラストリアス様」

 

暴徒はスポ根漫画におけるライバル同士のように熱い対抗心を燃やしていた。

 

かくして、勝負の幕は切って落とされた。

 

ゴルフのルールが分からない諸氏も多いためゴルフのルールを少し説明をしよう。

ゴルフはポイントを争うゲームだ。某ゴルフゲームを少しでもやったことある人は分かるであろう。

そしてポイントは少なければ少ないほど良い。

例えると+1より0、0より-1の方が成績が良いのだ。

 

ゴルフはホール、コース毎にPARの数が変わる。

PARが4なら4回球を打って穴に入れることが出来ればポイントは±0ということになる。

PAR4で5回打って入れば+1ポイント

PAR4で3回打って入れば-1ポイントとなる。

 

少ない打数で入れば入るほど良いのだ。

全18ホールを回ったあと、総合ポイント数によって勝者が決まる。

 

第1ホール(PAR4)

第1打 クイーン・エリザベス

 

クイーン・エリザベスは固い信念を抱いている。

ロイヤルの、そして基地全体の秩序のために勝たねばなるまいと。勝利のあかつきには甘味やお茶、そして指揮官とのデートがあるが、某2人のせいで勝つ理由が変わった。

ロイヤルのトップとして勝たねばなるまい。そしてロイヤル陣営に今後似たようなことを表だって起こさないよう、秩序を改める必要がある。

クイーン・エリザベスは礼を参加者にしてフィールドに入る。

信念を持ちつつも心を落ち着け1番ドライバーと球に意識を集中させる。

 

スパン!

 

小気味いい音が響く。

球は空に吸い寄せられるかのように真っ直ぐ飛んでいく。

 

「ナイスショットー!!」

 

外野から声がかかる。本当にナイスショットだ。

素人から見ても美しく真っ直ぐ飛んでいる。

 

ボールは第1ホールの3分の2ほど進んだフェアウェイに乗った。

 

「文句無しのナイスショットでした陛下」

「ええ、素晴らしいショットでしたわ」

「流石陛下です」

 

お世辞抜きに3人は感銘を受けていた。

クイーン・エリザベスはやはり嬉しいのか照れ臭そうに言う

 

「ええそうでしょう、私にとっては造作もないことだけど。さあ、ゲームは始まったばかりよ。次は下僕の打席でしょ。いってきなさい」

「では、失礼して」

 

指揮官は(色々な意味で)負られないと闘争心を燃やし、打席に入る。

体調は万全。あとは集中力を掛けさせずにいつも通りにやればいい。大きく深呼吸をして。ドライバーを振り上げ…

 

スパン!!

 

先ほどと同様に真っ直ぐ飛んでいく。クイーン・エリザベスのモノとは違い力強い一撃によって飛ばされている。

 

「ナイスショット!」

 

こちらも先ほどと同様に外野から声がかかる。

低弾道ながらどんどんと距離を伸ばしていき、球が停止したのはクイーン・エリザベスよりも5ヤードほど先の場所だ。

確認した後、打席を離れるとクイーン・エリザベスが近づいてきた。

 

「良くやったわね下僕」

「ええ、この勝負負けるわけにはいかないんでね」

「その意気で頑張りなさい。私達の秩序のために」

「了解しております。陛下も御武運を」

「ありがとう」

 

軽くお互いの意思を交わし2人は残り2人の第1打を見る。

 

「よろしくお願いしますね」

 

イラストリアスは軽く会釈し打席へ入っていく。

イラストリアスは勝利を確信している。このゴルフで勝利し、指揮官の寵愛を確実に己のモノにしようとしている。

もう少し後に外堀を埋めてからの予定だったが、このチャンスは逃すわけにはいかない。

 

スパン!

 

小気味いい音で飛んだがボールは左にそれる。

 

「あぁ…やってしまいましたわ」

 

勝ちたいという思いが先行しすぎた。

それが普段のプレイスタイルを崩し、当たり所が僅かに逸れた。

何とか球はフェアウェイ上だが、すぐ隣はラフである。

 

「珍しいわね」

「あぁ、本当に珍しい」

「あのイラストリアス様が第1打で軽いミスをするなんて」

 

3人は驚愕していた。イラストリアスは指揮官やクイーン・エリザベスとも基地の付き合いは長く、ゴルフに行く回数もある程度あった。ベルファストはキャディーとして彼女のプレーを良く見ていた。

そのプレー中では第1打目は確実に誰よりも美しく真っ直ぐに飛ばしていた。彼女は1番難易度が高いとされるドライバーを得意としていたのだ。

その彼女がミスをした。

これは、彼女が心を乱すほどに勝利を渇望していることを意味する。

もし、これが相乗効果でプレーにうまく働いたら、優勝は彼女になる可能性が十二分に考えられる。

イラストリアスの本気度を3人は悟った。

 

クイーン・エリザベスと指揮官は更に不安を感じた。

もし、今のプレーを見てベルファストのゲームに臨む姿勢が変化したなら…このゲームは一瞬のプレーに対する油断が敗者への一方通行路となる。

クイーン・エリザベスと指揮官は油断はすることはなかった。むしろ、今まで以上に真剣に望んであのショットだ。

結果は伴っている。だが、まだ第1打。序盤も序盤だ。

これからどんなどんでん返しが起きてもおかしくはない。

2人は戻ってきたイラストリアスに労いの声をかけつつも、打席に入ったベルファストの様子を見守る。

 

2人の不安は的中してしまう。

 

スパァン!!

 

ベルファストは指揮官よりも力強い音を立てた。それは決して当たり所が悪いために発せられる音ではなく、ドライバーから球に伝わる力がかなり強いことを感じさせる音である。

その音の通りに球はまっすぐ長く飛んでいく。

 

「ナ…ナイスショットー!!」

 

あまりにも上手くいっているショットを受けて思わず声を出すのが遅れてしまう。

球は誰よりも遠くへ落ちた。その距離、グリーンまでおよそ80ヤード手前。現段階で最もホールに近い。

ベルファストは満足した表情で打席から戻ってきた。

 

「ベル、本当に良いショットだったわ」

「お褒めに預かり光栄でございます陛下。私としてもかなり良いショットでした」

「確かに良いショットだったわね。私も負けていられないわ」

「あんなショット久々に見たよ」

「ふふ、そこまで褒められると少し調子に乗りそうですわ」

 

軽い会話を交わしながら全員はゴルフカートに向かう。

その途中で指揮官にベルファストが近付いてくる。

 

「ご主人様、待っててくださいね。完膚なき勝利をおさめさせていただきますわ」

 

指揮官の耳元でそう囁く。指揮官は予想だにしない勝利宣言に、ベルファストの方向を向く。

ベルファストは妖艶にして余裕の笑みを浮かべている。

指揮官はベルファストを睨み付け

 

「そう余裕でいられるのも今のうちだ。まだ勝負は始まったばかりだ」

 

威圧の言葉をかける。しかし、ベルファストは動揺するどころか恍惚とした表情を浮かべ

 

「良い表情ですわ、ご主人様♥️ええ、その挑戦的な姿勢がいつまで続くか楽しみですわね」

 

そういってゴルフカートの運転席に乗り込んだ。

指揮官は強がったものの、不安に駆られていた。

実際、ベルファストは勝利への渇望を力に表した。

ただ、勝利を掴ませないよう動くだけというのは守りの姿勢である。

戦争において防衛は攻撃に勝ることはない。

攻めの姿勢こそが劣勢を覆すきっかけになるのだ。

防衛の姿勢を示していたクイーン・エリザベス、指揮官に対して攻勢をかけたベルファストは初撃で2人への優位を確立した。

イラストリアスのミスが思わぬ方向で2人に作用したのもベルファストの優位に大きく影響した。

指揮官は冷静に分析し、このままでは敗北が確定することが分かった。

ベルファストに対し、イラストリアスはライバル心を燃やし、これからのミスは望めない。

クイーン・エリザベスはベルファストのショットに多少なりとも動揺をしている。

この事を鑑みて現時点で指揮官とクイーン・エリザベスのどちらかが勝てる勝率は3割程度。

勝率の低さは、技術がほとんど拮抗してる中での防衛戦と攻撃戦というモチベーションの差が大きい。

 

指揮官は、どこかで勝てる要素を模索しなくてはならない、と不安に煽られながらも第2打を打つためゴルフカートに乗り込んだ。




別に今後役立つとは思えない知識

使用ゴルフクラブメーカー

クイーン・エリザベス 全てロイヤル製オーダーメイド

イラストリアス テー◯ーメイド

ベルファスト キャ◯ウェイ

指揮官 ◯リヂストン


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