多分完結はしない。
憑依転生氷川透
『透君…起きるです!』
耳元で高い声で喚かれた不快感にうめき声を上げる。
「透は御寝坊さんだな…アイスマンもう寝かせておいてくれ」
『でも…』
「今日は水道局で会議があるんだ…アイスマンがいないとプレゼンが始められないだろう?」
『分かったですぅ』
「行ってきます!」
パタンと離れた所からドアが閉じたような音がする。
「うん?アイスマン?」
アイスマンって氷の下から発見されたミイラ…いや、返事をするわけがない。
「ここ…どこだ?」
あれから二時間、ある程度自分が置かれている現状を理解したのでパニック対策の基本。声を出して状況判断を開始した。
「僕の名前は『
しかし、この父親の顔には見覚えがある。ロックマンエグゼでアイスマンを操って断水させた水道局のキャラクターだ。
「ロックマンエグゼの世界?」
じゃあ、さっきテレビでやっていた光博士逮捕のニュースは。
「調べたい…けどエグゼの世界はネットナビがいないと検索もできないし」
父が帰ってきたらネットナビを強請ってみよう。
それにしても転生したのか、元の自分が誰だったのかも分からない。ロックマンエグゼの知識だけが急に生えて来たみたいだ。
「待ってる間は…テレビでも見るか」
あ、この時代ってケロさんいないんだな。緑川ケロって結構好きなキャラクターだっただけに、生で姿を見られるのはいつになるのだろうか。少なくとも小学5年生になるまでには、あと7年もかかるのだ。
「原作開始まで、あと7年か…その間に僕はナビも貰えず部屋で缶詰か…ん?光博士って熱斗の親父だよな?」
僕の知る限り光博士が逮捕される話なんて聞いた事がない。プロトの反乱ですら捕まってないのに、何をやらかしたら逮捕される事になるんだ?
それ以前に逮捕されたのが父親の方なら、ゲーム版の原作は頓挫した事になる。
「自分の顔をみてもしかしてとは思ったけど…アニメ版かぁ」
鏡で見た自分の顔は、原作であるゲームのゲコゲコフェイスのモブキャラとは違って、どこか頼りなさそうなイケメンだった。
「僕…アイスマン嫌いなんだよな」
アイドルに夢中になったり、直ぐに猫化して役に立たなかったり、ロックマンのパワーアップアイテム扱いされたりとネットナビとして正直いらない。属性攻撃持ちの点は評価に値するが、バトルチップを使えば済む話なのでむしろ弱点になっている。
「バトルチップか…そう言えば漫画では熱斗がオリジナルチップを作ってたな…原作開始まで未来の見通しも何もないし。ネットナビを強請る口実にも良いかも知れないな」