バトルチップ職人『氷川透』   作:バウ

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原作キャラとの絡みが栄養豊富だと聞いたマン


ケロケロニュース!

「皆さん、こんにちも明るいニュースを伝えるケロケロニュースのお時間です。お相手は私、緑川ケロがお送りします!」

 

 緑色のカエル帽子を被った女性が司会を務める、ニュース報道番組、ケロケロニュースは今年始まったばかりの人気番組だ。

 

「本日はな、な、な、なーんと、僅か7歳で最年少Sランクオペレーターになり、これまた最年少オフィシャルネットバトラーになった氷川透くんに、お越しいただいております!氷川くん本日はよろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」

 

 ゲストの少年のプロフィールが、小さくテレビに映し出される。

 

「オフィシャルといえば、日本ではまだ馴染みがない方が多いかと思いますが、国際的にネット犯罪の調査や逮捕権限を認められたスッゴイ資格なのです。所で氷川くん、オフィシャル資格はいつ頃取られたのでしょう?」

 

「つい先日…ほんの5日前です。合格の連絡があって…」

 

 恥ずかしげにポリポリと頬を掻いて見せる。

 

「では私と同じ、新人ホヤホヤな訳ですね!試験はやっぱり難しかったですか?」

 

「世界最高峰の難関試験だけあって、とても頭を悩ませる試験が多かったです。国家ごとの法律を勉強しなければいけなくて、試験まで毎日勉強で大変でした」

 

 何処となく疲れた様子を見せ、質問に答える。何かを思い付いた様に手を叩くと、続けてゲストへ質問を飛ばした。

 

「試験と言えば開催地はクリームランドでしたが、海外へ出られたのは初めてだったのでは?」

 

 首を左右に振ってから答えた。

 

「オペレーターランク認定試験を受けに、前年クリームランドに行きました。現地のネットバトラーと対戦しましたが、とても強かったですよ」

 

「あ、インタビューの時間じゃない?…はい、そんなわけでゲストの氷川くんでーす!」

 

 テロップが変わり、最初のニュースが報じられる。

 

「最初のニュースは、コチラ!最高のPETでお馴染みのI.P.Cから、新型PETの開発発表が有りました。完成は数年の見通しと発表されておりますが、これまで以上の携帯性と使い勝手の両立を目指しているとのことです」

 

 ゲストにニュースの所感を求めると、ゲストは当たり障りのないコメントを返し、番組は進行してゆく。

 

「続いてのニュースです。バトルチップメーカーのアドバンス社から新作バトルチップが販売されました!今までウイルスから精製していたハイキャノンが、これからはなんと店頭で手に入っちゃいます!」

 

「ハイキャノンか、僕も買わなくっちゃ…」

 

「その他にもショットガン、スプレッドガンなどの射撃系チップが販売されます。これまで少ない生産数で中々手に入らなかったバトルチップが、お求めやすいお価格で入手できるようになった裏側には、アドバンス社に雇われたバトルチップ職人の努力があったと言います!……VTRーどうぞ!」

 

 画面が切り替わり、アドバンス社の広報映像が映し出される。工場の建設地探しから始まり、プログラマーを集めてミーティングをする様子。程なくしてバトルチップが生産後、ベルトコンベアに載せられて箱詰めされてゆく映像が終わり、「こうしてお馴染みの店頭に並ぶ訳ですね」っとケロの声がすると画面が、VTRからスタジオに切り替わった。

 

「バトルチップと言えば、氷川くんも自作のバトルチップを作られているとか?」

 

「あ…よくご存知で」

 

「テレビ局ですから!…それで氷川くんから見て、安定生産されたバトルチップというのはどのように映るのでしょうか?」

 

 困った質問をされたと、ぽりぽり頬を軽く引っ掻く。

 

「そう、ですね…ネットバトルがお得意なケロさんは馴染み深いかなと思いますが、同じバトルチップでも相手や状況に因って使い方が変わるように、必要とされる場面が複数ある事は珍しくありませんから、複数枚を余裕を持って確保できるのは有り難いですね」

 

「ああ、私もアクアタワーを使う時には、水柱を出すだけじゃなくて、渦潮を作り出し相手を閉じ込めたりしますね」

 

 実例を出しながら、ケロはコクコクと頷いて見せる。

 

「おっと皆さんお待ちかね!緑川ケロの突撃!ネットバトルのコーナーのお時間です!!」

 

 派手なテロップが映し出され、スタジオでクラッカーが破裂する。

 

「ちょっと!クラッカーは早いでしょ…んん、本日はお招きした氷川透くんとネットバトルしていきます。街中ネットバトルは、来週の予定なのであしからず」

 

「よろしくお願いします」

 

 PETを構え、準備ができた事を伺わせる。

 

「プラグイン、トードマン!トランスミッション!」

 

「プラグイン、ヘイズマントランスミッション」

 

 2体のネットナビが電脳空間に降り立ち、向かい合う。緑色の体色をしたカエル型ナビは、番組の司会緑川ケロがオペレーションするトードマン。相対する騎士型のネットナビが、ゲストのネットナビだろう。

 

「じゃあ、本番でーす!」

 

「出番だよヘイズマン!」

 

 バトルの開始が表示されると共に、それぞれのナビが動いた。ヘイズマンは得物を構えてトードマンに迫り、トードマンはそんなヘイズマンを得意な歌声で迎撃する。

 

 番組の視聴者はケロのバトルを見慣れているだけあって、トードマンの強さをよく知っていた。緑川ケロも認定試験を受けていないだけで、Bランククラスのオペレーション能力があると噂され、未だに敗北シーンが放映された事はない。

 

「攻撃用バトルチップ『アクアタワー』スロット、イン!」

 

 トードマンの歌声で動きを止めたヘイズマンに、トードマン得意のアクアタワーが放たれる。水属性のトードマンは他の属性のナビよりも、水を操る能力に秀でている。

 

 流石にゲストが一撃で負けることはないだろうとトードマンが警戒をする中、水煙の中から無傷のヘイズマンが姿を現した。

 

「流石は緑川ケロって所かな…プログラムアドバンス『ゼータキャノン』」

 

 放たれた一文字の閃光が、トードマンを飲み込み。

 

「ぷ、プラグアウトです!」

 

『ケロ〜』

 

 デリートされる直前でトードマンをプラグアウトさせた。あと少し判断が遅ければ、トードマンはデリートされてしまっていた事だろう。

 

「あ、危なかったぁ〜」

 

『けろけろけろ』

 

 トードマンは目を回して倒れた。

 

「いや〜やっぱり最年少天才ネットバトラーは強かったです」

 

「トードマンこそ強かったですよ。まんまと動きを止められちゃいました」

 

 バトルの感想を話していると、番組スタッフの名前が流れ始める。

 

「さぁ、本日のケロケロニュースもお別れの時間となりました。氷川くん今日はどうでしたか?」

 

「テレビ局に入るのは初めてで、色々と面白かったです。ケロさんとも会えましたし」

 

 ゲストの軟派な返答に、新人故か初々しく頬を赤らめる。

 

「ん〜何だか恥ずかしいですねぇ。コホン、それでは本日のケロケロニュースは、緑川ケロと!」

 

「氷川透で「お送りしました」!」

 

「次回のケロケロニュースもまた見てね!」

 

 番組が終わり、CMが再生されている。

 

「くくく、その平穏もじきに終わる。デリートじゃ!」

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