バトルチップ職人『氷川透』   作:バウ

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本編入りまーす
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ロックマンエグゼ
ミッション13 プラグイン!ロックマンエグゼ!


 ケロさんとのドキドキ初共演から二年が経ち、僕は十歳になった。その間に開発していたビーストは完成し、いまでは計三体のビーストがセキュリティを担っている。このビーストがヘイズマンの切り札になるので、同型のビーストがダメージを受けない様にガレージに格納されている。

 

 五年生になって、無事に熱斗くん達と別のクラスになった。まだロックマンを手にしていない熱斗くんは、デカオくんとのバトルに勝つために、アドバンス社のバトルチップをいくつか購入したようだ。外から見ている限り、ウイルスバスティングはあまり積極的ではないようで、おこづかいでやりくりしているみたい。

 

(カレー屋に通う頻度さえ減ればなぁ)

 

 そんな本日最初の授業はウイルスバスティング。最近になって活動が活発化し始めたWWW(ワールドスリー)の影響で、ネットワーク上にウイルスが急増している為、少しでもウイルスを駆除したい官庁街からの指示で全国の学校みんなでウイルスバスティングの授業だ。

 

 熱斗くん達A組は、秋原町一の美人教師まりこ先生が教鞭を振るっているが、我々B組は何故か僕がウイルスバスティングの講義を行っていた。

 

「では、早速プラグインしてください」

 

 僕の指示でクラスメイト達が、一斉に机から学校の電脳にプラグインした。

 

「それではウイルスバスティングの授業を終わります」

 

 授業の予鈴がなり休み時間に入るが、クラスメイト達はプラグインしたままウイルスとの戦いを続けている。普段は学校の電脳にプラグインする機会がないので、全く気が付かなかったが、学校の電脳はウイルスだらけだったのだ。

 

 この事態に慌てたのが、我等が担任の名勝先生。授業のウイルスバスティングが終わった後で、成績を餌に自由参加のウイルス駆除会を宣言した。僕が不用意にインビジブルを落とす、ゴースラーを見掛けたことで参加者が続出。結局、クラスメイト全員でウイルスバスティングをすることになった。

 

「みんなインビジブルが欲しいんだね…」

 

『当然かと。一般的に入手困難なバトルチップですし、使用後はごく短時間ですがダメージの発生を防ぎます』

 

 ネットナビを家族や友人として受け入れている世代の子供達からしたら、ナビを守れるバトルチップは欲しがって当たり前の代物なのだろう。

 

『マスター、貴方ぐらいです。傷付かないナビを作る発想をするのは…』

 

「無敵には程遠いけどね」

 

 ヘイズマンは身体が粒子で出来ているネットナビだ。鎧自体は頑丈な部類ではあるが、あれは服を着ているのに等しく、鎧をソードで切り付けたとしてもヘイズマンには何のダメージも発生しない。

 

 ヘイズマンを倒すにはヘイズマンの実態を捉える攻撃をするしかない訳だが、それを可能とする攻撃はけして少なくない。炎、水、電は通常通りヒットするし、エネルギー弾を発射するロックバスターは普通に効く。あえて弱点を上げるなら、体を固定させられる氷結系の攻撃だろうか。動きを止められたら危ないのは当たり前なので、他のネットナビでも注意して当たり前のものだ。

 

 授業が終わり宿題のプログラムを手早く終わらせると、消防車のサイレンを聞きながら廊下に出た。

 

「また火災?」

 

『そのようです。今月に入ってもう10件近くになります』

 

「せいぜい火事には気をつけないとね」

 

 この後は、クリームランドでのオフィシャル会議が待っている。プライドさんは今ではすっかりお得意様で、雑談がてらバトルチップのアイデア出しに協力してくれて、クリームランド電脳国防軍の評判は鰻登りだ。やはりセキュリティプログラムのホストに、バトルで使うネットナビを使用しない方がいいとアドバイスしたのが効いたのかも知れない。代りにビーストを一機持って行かれたが、相応の金額を頂いたので不満は飲み込んだ。

 

 自宅に帰り、ベッドに飛び込みたくなる衝動に駆られながらも、パソコンの前の椅子に腰を下ろす。

 

 ヘイズマンをプラグインし、粉雪舞うクリームランドの電脳に降り立った。

 

 

―光熱斗視点

 

『熱斗くん…起きて熱斗くん!』

 

 その日デカオに負けた熱斗は、幼馴染のメイルや通りすがりのマサさんに慰められ、家に帰って来ないパパが約束を破ったと思いこんでふて寝していた。

 

『こら!光熱斗!』

 

 突然の大声に驚いた熱斗は、ベッドの上から転がり落ちた。

 

「あー痛ぁ、誰だよ…大声出すやつは…」

 

『ここだよ熱斗くん、PETの中だよ』

 

「PETの中だって?」

 

 マジマジと画面を見つめる熱斗に、ロックマンは不安を覚えながら自己紹介をする。

 

『僕の名前はロックマン。熱斗くんのパパにプログラムしてもらった、熱斗くん専用のオリジナルナビだよ』

 

「そっか…」

 

 気落ちした様子の熱斗に、ロックマンが理由を尋ねてみると、熱斗の考えていた理想のナビとは違うのだとガッカリされてしまった。

 

『ははは』

 

 その場を愛想笑いでやり過ごそうとしたロックマンの視覚情報から、温度の急激な上昇を感知した。

 

『熱斗くん、様子がおかしいよ!』

 

 その言葉と共に下の階から、女性の悲鳴が響く。

 

「ママ!!?」

 

 手に持っていたPETを片手に、慌てて階段を駆け下りると炎を吹き上げるオーブンレンジが騒動の原因だと理解した。

 

「業者の人は?!」

 

「異常なしって帰っちゃったわよ!」

 

 どう見ても異常が発生しているのだが、文句を付ける業者の人は見当たらない。

 

『熱斗くん、僕をプラグインして!僕がレンジの中を調べてくる!』

 

「お前が?…ダメだ火が強くて近付けない!」

 

『熱斗くん、何か火を消せる物は無いの?』

 

 ロックマンの声を聞いて、周りを見渡して見つけた消火器を両手に構える。

 

「これで…」

 

 勢い良く吹き付けられる消火剤が、レンジから噴出る炎を弱め、レンジのコネクターが見えた。

 

「行けぇ、ロックマン!」

 

 ママに消火器を手渡し、ロックマンをレンジの電脳に送り込むと、直ぐにロックマンは慌てた様子で報告した。

 

『熱斗くん、ウイルスだ!レンジの中でウイルスが暴れている!』

 

「ウイルスだって?!」

 

 ロックマンが右腕をバスターに換装し、電脳を荒らしていたメットールを撃ち始めた。放たれた複数のエネルギー弾は雨のように流れ、メットール達をデリートする。

 

「凄いぞ、ロックマン!お前強いんだなぁ。気に入ったぞ!」

 

 鎮火し危険が過ぎ去ったレンジの前で、無邪気に喜ぶ熱斗に苦笑いで返しながら、ロックマンは炎の陰に消えたナビらしき影に、事件がまだ終わっていない事を直感していた。

 

 翌日の朝、意気揚々とデカオにネットバトルを申し込むと、放課後の視聴覚室でPETを手にデカオと向き合っている。

 

「がはは、それが新しいお前のナビか?」

 

「そうだ!ロックマンだ!」

 

 デカオは不満げに鼻を鳴らし、そんな貧弱な青いナビがガッツマンに勝てるものかと、鼻息を荒くして口撃した。

 

「うるさいなぁ、早くはじ『助けて!』」

 

 突然ロールの声が響き、向き合うロックマンとガッツマンの間に現れ、リアルタイムの映像を映し出し、再び助けを求めた。

 

『突然煙が!』

 

 事態を素早く認識した二人は、ロールのリンクを辿ってメイルの電脳に送る事にした。

 

「こんな時に氷川がいたら…っ!」

 

「いないやつの事は後回しだ熱斗!俺達もメイルちゃんの家に行くぞ!」

 

 秋原町の有名人である氷川は、世界最年少でオフィシャルネットバトラーの資格を取った天才少年。付き合いが良い奴で、学校でのネットバトルも氷川が監督しているなら、まり子先生も特例として許可してくれている。視聴覚室に鍵が掛けられていないのは、良く氷川監督の元にネットバトルが行われているからだ。

 

 氷川は最近ネットバトルの解説に呼ばれる事が多いとかで、授業が終わると直ぐに帰ってしまうのだ。

 

 ローラーシューズで車道を走り、メイルの家にたどり着く。メイルはお隣さんなので、道に迷う心配も家を間違える心配もない。

 

「メイルちゃん!」

 

 黒煙を吐き出す家に躊躇することなく飛び込み、食器棚の前で咳き込むメイルを抱き上げた。

 

「大丈夫か?メイルちゃん」

 

「熱斗…」

 

 弱々しき声で反応を返すメイルを、家の外へ移動させる。そこに息も絶え絶えのデカオが現れたのを確認して、メイルをデカオに預ける。まだメイルの家では、ロックマンがウイルスと戦っている。

 

 昨夜と同じ様にプラグを差し込む。

 

「待たせたなロックマン!」

 

『熱斗くん!』

 

 その時、ロックマンは絶体絶命のピンチを迎えていた。暴れていたメットールを倒したまでは良かったが、その直後に現れたファイアマンの攻撃で、ガッツマンがデリートされてしまった。

 

 泣き叫ぶデカオの声が響く中、ロックマンは一つ目の爆弾に追われながらロックバスターで迎撃を試みていた。

 

「攻撃用バトルチップ『ショットガン』スロット、イン!」

 

 バスターから放たれた散弾がシーカーボムを貫き、派手な爆炎を上げる。

 

「ナニっ!」

 

 シーカーボムの仕組み上、全ての爆炎はファイアマンに向う。視界を塞がれたファイアマンは、ロックマンのいた方角に火炎放射器を構える。

 

「甘いぜ!まり子先生直伝『エリアスチール』『ソード』ダブルスロット、イン!」

 

 爆炎の中を高速で接近するロックマンに対応できず、伸ばしていた右腕をソードで切り落とされる。

 

「クッ、プラグアウトだ!」

 

 ヒノケンが慌てた様子で、ファイアマンをプラグアウトさせる。消える寸前にロックマンへの再戦の意志を見せると、ファイアマンはメイルの電脳から姿を消した。

 

「やったなロックマン!」

 

『うん、熱斗くん』

 

 家の外からは救急車のサイレンが聞こえている。ガッツマンの消失に気落ちしながらも、メイルの身を案じて通報したのだろう。

 

「家に帰ろうぜ、ロックマン」

 

『うん。あ、デカオくんにひと声かけてあげなよ』

 

「え〜」

 

 

 

―???

 

 暗闇の中、一つのモニターが点灯した。

 

「ワイリーさま、お探しのファイアプログラムを手に入れて参りました」

 

「ご苦労、してロックマンは?」

 

 ヒノケンが身を固くし、デリートの失敗を告げる。

 

「ふん、光の孫か…まぁ、良い」

 

 杖を打ち鳴らし、別のモニターが灯る。

 

「次は、まどい。アクアプログラムをみごと奪ってみせよ!」

 

 妙齢の女が深々と頭を下げる。

 

「デリート」




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