バトルチップ職人『氷川透』   作:バウ

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ミッション15 決戦前日

 日暮さんの減刑に四方手を回し、オフィシャルセンターから沢山の嫌味を受け取って、与党の人から少しの説教と僅かな感謝を受け取り、疲れ果てた僕はベットに倒れ込んだ。

 

 今日ぐらいは一日にゆっくり休もうと、日光を遮るべくカーテンに手を掛けた。

 

「魚?」

 

 窓の外を悠々と泳ぐ、魚影の群れ。思わず頬を引っ張って見るが、返ってくるのは現実の証明(ほっぺたのいたみ)だけであった。

 

『マスター、メイクマンが拾って来た情報によりますと、ロボット水族館のコンピューターに大量のウイルスが発生しているとのことです』

 

「ロボット水族館…いよいよか」

 

 少々早計ではあるがWWWが起こした事件であるとみて、ほぼ間違いないだろう。氷川透として産まれ、何度も反芻した水道局の事件。ロボット水族館のロボット暴走事件は、その前日に行われたWWW幹部三名により起こされた事件。この事件の次に起こるのが、氷川透が初めての登場する水道局機能停止事件である。

 

「これはダメだね」

 

 窓から外の様子を探っていると、ロボット達が妙な動きで家の周りを泳いでいるのが分かった。大きなロボットがまるで周囲を警戒するように、家の周りを旋回している。

 

「目的は僕か…」

 

 危険が迫っていることを悟り、全てのパソコンのセキュリティレベルを最大に設定、全てのビーストに厳戒態勢を敷かせる。メイクマンのPETに電子ロックを掛け、メイクマンに暫しの別れを告げてから、見られてはならないデータが詰まった金庫の中にしまい込む。

 

「流石にヘイズマンを隠すのは無理か…」

 

『はい、いつでもマスターのお側に、メイクマンもきっと同じ気持ちです』

 

「そうかな?」

 

『はい、必ず』

 

 引き出しの中から水道局のカードキーを取り出し、ポケットの中にしまう。

 

「熱斗くん、水族館は任せたよ」

 

 僕は明日の事件に備えて、家中のペットボトルに水道水を詰め込んだ。

 

 

 

―熱斗視点

 

 やいとちゃんの建てた秘密基地で、デカオやメイルちゃんの二人と一緒に、グライドが監督するなかネットバトルのトレーニングしていたら、マサさんが体をしっかり動かせって秘密基地まで乗り込んできた。

 

 思いっ切り運動した後は、マサさんのおもしろお魚講座をせんべい片手に聞いていた。魚のことにちょっと興味を持ち始めた頃、空いっぱいに泳ぐ魚の群れ。様々なアクセス権限を持つグライドが、ロボットを管理しているサーバーが置いてある水族館を調べに行くと、そこらかしこにウイルスが暴れ回っていた。

 

「ロックマン!」

 

『くっ、攻撃が効かない!』

 

 無数のクラゲ型のウイルスジェリーが合体して、一つの巨大ジェリーが誕生。どんな攻撃をしても、直ぐに回復してしまい有効打にならない。

 

「ダメだ!今のチップじゃ!」

 

 気持ちが高ぶり、コンソールを力の限り叩いては弱気を吐き出す。

 

「誰だ!?」

 

 金属製の食べられた魚型の何かが、コンソールの上に刺さる。咄嗟に声を上げても返ってくる返事はなかった。

 

「これは…エレキソード?」

 

 魚の骨に挟まれたバトルチップを手にした熱斗は、直ぐにマサさんのお魚講座を思い出し、ロックマンにエレキソードを転送した。

 

『エレキソード!』

 

 体に電気の刃が突き立てられたジェリーは、全身に電気が通電し、分離することも叶わず焼き尽くされた。

 

『思ったよりやるじゃないか?』

 

『君は何者なんだ!?』

 

 身体の大部分を青色に染めた、背ビレを持つそのネットナビは、ウイルスの駆除中に流れ弾が当たりかけた事を謝罪し、自らをシャークマンと名乗り、ロックマンが再び呼びかけるも応えることなくプラグアウトしてしまった。

 

『彼は一体?…』

 

 ロックマンとグライドが水族館の電脳からプラグアウトした後、ロボット水族館を後にし、仲間たちに囲まれていた。

 

「これで事件は解決だな!」

 

「マサさんの授業のお陰ね。あとでマサさんにお礼を言わなくちゃ」

 

『よく食べ、よく学び、よく遊ぶだね熱斗くん!』

 

 ロックマンがマサさんの言っていた口上を諳んじて、この勝利の立役者であるマサさんを称える。

 

「ああ、マサさんがクラゲの体は、ほとんどが水で出来てるって教えてくれたおかげだ!」

 

 手の中のバトルチップを見つめた。いったい誰がエレキソードを渡してくれたのだろう。

 

「フフフ、カルシウム取れよ!」

 

 そんな熱斗達を見つめるマントの男は、優しく微笑むとその場を去って行った。

 

「ビーフ!」

 

 

 

―氷川視点

 

 ピンポーン。

 

 家のインターホンが、客人の訪れを知らせる。

 

「はい、今出ます」

 

 玄関のドアを開けると、妙齢の女性が佇んでいた。

 

「はーい、僕?」

 

「貴方は?」

 

 僕は努めて冷静に、女の顔を怪訝な表情をして見つめる。

 

「これで伝わるかしら?」

 

『透君!』

 

「アイスマン?」

 

 見せられたPETの画面には、焦った様子のアイスマンが映っている。

 

『パパさんが!』

 

「父さんがなにかあったの?!」

 

 アイスマンが予期していた事態を告げた。

 

『WWWに捕まっちゃったですぅ!』

 

「なんだって!?」

 

 アイスマンが叫ぶと、女はPETの画面を消してアイスマンを黙らせた。

 

「じゃ、行こっか?」

 

 僕に拒否権は残されていなかった。

アイスマンの戦う相手は?

  • ロックマン
  • ブルース
  • グライド
  • カラードマン
  • ヘイズマン
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