ネットナビを求めるに当たって、知っていなければならないポイントは数多くある。ネットナビをカスタマイズする専用のシステムに始まり、細かく分類されるナビパーツやネットナビの根幹である疑似人格プログラムの性格設定。ネットナビのカスタマイズは専用のソフトウェアを買おうとすると相応の値段だが、PETに始めから入っている簡易カスタマイズソフトを利用する事で、比較的安易にカスタマイズナビを作る事ができる。もっとも簡易カスタマイズでは、ゲームで見かける一般ネットナビやネット商人の様なモブキャラな見た目に仕上げるのが精々だ。
何の勉強もしていない素人の僕がロックマンやブルースのようなカスタムネットナビを作り上げるなんて、例え専用のソフトウェアを使ったとしても作れると思えない。自力でガッツマンを作り上げたデカオは、自称なんかではなく本物の天才なのだ。
「透はどんなナビが欲しいんだ?」
「イメージは決まってるんだ…背が高くておっきなハンマーを担いでる」
「ハンマー?…それは強そうだな」
僕の様に初めてのネットナビを求める場合、最低限の機能があれば良いと言うのならPETに付属されている標準型ネットナビを使えばいい。それで物足りないならばカスタムナビを作らなければならないが、全てのネットバトラーがネットナビをカスタマイズ出来る訳ではない。そんなカスタマイズを手軽に楽しみたい層の為にPETを販売している店頭やネット商人は、ネットナビのカスタマイズに使用するパーツを販売してくれているのだ。
ネットナビのカスタマイズする部分を大雑把に纏めると、頭部、両腕部、胴体、背面、脚部、ナビマークの六項目になる。専用のソフトウェアを使用すれば細部まで細かく設定できるが、何の学習もしていない僕が使用するのはPETの簡易カスタマイズソフトだから、この六項目になる。
「大きなハンマーを十全に振り回すなら、パワーがある腕が必要になるな」
「うん…それを支える足も太くなると思うんだ。スピードはどうしても遅くなっちゃうけど」
「細かく設定すれば、バランスの良い腕や脚を作れるだろけど…」
「カスタマイズソフトも自分で買うんだ…それまでの…」
「頑固な所は母さんに似たんだな…じゃあこのガッツアームはどうだ?」
「えっガッツ?」
父さんが手に取ったパッケージを覗き込むと、ガッツマンというよりはロックマンやロールと言った人間らしい腕の絵が描かれている。
「ボディビルダーの腕みたいだ」
「うん…腕はこれで良いかな」
パッケージの裏側を確認して、ガッツアームの詳しいデータを見ながら呟く。
「胴体は肩幅を広いパーツで、足は全体を支えられる大型の物だな。頭と背中はどうしたい?」
「うーん、頭は特に決めてないんだ。でも背中には左肩まで伸びるキャノン砲を付けたいんだ!」
ハンマーを肩に乗せて闊歩する僕のネットナビには、両肩に武装を持たせる余裕は無い。ならばと妥協したのが左肩の上に乗るキャノン砲である。
「遠距離攻撃用か?」
「それもあるけど、バトルチップの試し打ちが出来るパーツが欲しくて」
「…肩から砲撃するバトルチップでも作るのか?」
電脳世界は可能性に満ちているのだから、僕は色んな可能性を形にしたい。
「あ、あったよ。ショルダーカノン…へー、どっちの肩にも装備できるんだ…」
「残すは頭だが…お、これなんかどうだ?オヤカタヘッド」
父さんが見つけたヘッドパーツは人型ヘッドパーツの一つで、強面の成人男性の頭に白いタオルのような物が巻かれている。
「うん…それにする」
「っえ…ほんとか?もっとカッコイイ、鎧武者シリーズとかでも良いんだぞ?」
「良いんだ。気に入ったから」
「……そうか?」
結局カスタムパーツは、頭部『オヤカタヘッド』腕部『ガッツアーム』胴体『ガッチリボディ』背面『ショルダーカノン』脚部『ガッチリレッグ』の五つを購入した。
買い物が終わった頃にはもう日が落ち始めていて、夕日を見たのは久しぶりの事だった。
「ナビマークはうちのを使えばいいから、買い物は終わりだな。折角だから外食にしようか」
「うん」
ネットナビに付けられるナビマークは、現代の家紋だ。だから親のナビマークのデザインをそのまま使うのが一般的で、自分から家を出たとしても態々変える人は少ない。
「そう言えば光博士ってどうなったの?」
「…ああ、ニュースを見たんだな。光博士なら誤認逮捕って事になって釈放されたよ。…あんなのでもライト博士の息子だからな」
ネットナビのカスタマイズ…メダロットです。
ナビマークはメダルです。
背面はエレキマンの電気発生装置とか、セレナードの衣のイメージです。