父さんとの夕食を堪能した後、僕は疲れていたのか早々と眠ってしまった。
次の日には業者の人たちがパソコンの設定を済ませてくれて、無事に僕の部屋にネット環境が整ったのだった。
「それじゃあ、水道局に行って来るから」
「うん。いってらっしゃい」
『行って来るですぅ!』
専門業者の人たちが帰ると父さんも自分の仕事に出かけて行った。
早速、パソコンを起動させるとPETの説明書を片手にパソコンとの接続させた。
「…良し。後はPETを起動させて標準型ネットナビのディスクを読み込ませれば良いんだな」
パソコンに接続した状態でPETを起動。付随された標準型ネットナビの構成データをディスクからPETにインストール。
インストールが完了すると最適化の為にPETが再起動される。
「再起動するのか…今の内にカスタムパーツを…なんだこれもPETにインストールするのか」
PETの簡易カスタマイズ機能を使うんだから当然だな。
『再起動が完了しました。初めましてマスター』
再起動したPETから、ネットナビが音声を発した。
「初めまして…PETにカスタムパーツをインストールするから、用意して」
『わかりました』
昨日購入したカスタムパーツを全てインストールさせ、カスタマイズメニューを表示させる。
『カスタマイズを開始します。短い間でしたが、お世話になりました』
標準型ネットナビには疑似人格プログラムが設定されておらず、持ち主にとってはメール送信ペットと大差ない存在だ。でもお別れの挨拶なんてされると、何だか罪悪感が湧いてしまう。
ネットナビはカスタマイズメニューを開くと同時に休眠状態に入った。
「僕に技術があれば記憶を維持したまま新しい体をあげられたのかな…」
新しいネットナビを組み上げながら、独り言を呟く。少ないカスタムパーツから購入したパーツを選択する。
「後はナビの疑似人格プログラム設定か」
疑似人格プログラムのデータはナビマークに集約される。何を好むのか嫌うのか、記憶の蓄積に性格設定を含むデータの集合体だ。
「ナビマークは氷川家の氷の結晶。…うん、やっぱり性格を作るって気分良くないよね」
僕はナビの性格や趣向を記憶の積み立てに任せられる設定を施して確定させる。
「…さぁ、起きてメイクマン」
全てのプログラムが正常に動作し、再びPETが再起動を行うとガッチリとした肉体のネットナビが現れる。
『再起動を確認。初めましてマスター』
「これからよろしくね。メイクマン」
『メイクマン…私はメイクマン』
「そうだよメイクマン。君は僕と一緒に色んなものを創るんだ」
『はい、マスター』
「僕の名前は氷川透」
『はい。マスター氷川』
「もっと柔らかい呼び名にしようか?」
『柔らかいとは?』
記憶を元に性格が決まるのは人間と一緒だ。
「そうだなぁ…」
自分の呼び名を決めるなんてと悩まし気に俯くと、ベッドの上に散らばるパッケージが視界に映る。
「…親方なんてどうかな?」