ルカリオにこんな設定があってもいいと思うんです 作:hareth
「ルカリオ、”ボーンラッシュ”!」
「キリキザン、”つじぎり”!」
金属音が響き渡り、技のぶつかり合い衝撃による突風が吹き荒れる。実力は互角。が、両手で”つじぎり”を使用しているキリキザンと違いルカリオの”ボーンラッシュ”は一本だ。手数では劣っている、ならば──
「”ストーンエッジ”展開、
「”でんじは”で動きを止めろ!」
「短めの”ボーンラッシュ”で防げ!」
機動力を削ぐ”でんじは”には当たってはいけない。ルカリオは両手に出した骨のエネルギー体を振り回し打ち消した。その間にルカリオの視界からキリキザンが消え、対処し終わった頃には”ハサミギロチン”を構えていた。
「!?受け止めろ、骨持ったまま”れいとうパンチ”!」
「押し切れキリキザン!」
凍った骨と必殺の刃がぶつかりあう。咄嗟に技を出したため大した威力にはなっていないが、元々かくとうタイプであるため持ち直し弾く。
さて、ルカリオという種族は波導を扱うことに長けている。その波導を球状にして打ち出す技は多くの人が知っているであろう攻撃であり、タイプ相性的にも使えば有利に進むはずなのだがこのルカリオはまだ一度も”はどうだん”を使っていない。
「……”はどうだん”を何故使わない?」
「得手不得手は誰にでもあるだろう?種族で決めつけると痛い目にあうぞ。
相手選手が疑問を口にした瞬間、バトルが終了した。
俺――ユウマは幼少期を独りで過ごした。誰もかも――親ですら俺を気味悪がった。
親も祖父母もそのまた前の世代にもオッドアイどころか灰と紅の目をした人間はいなかった。
生まれはカントー。カントー生まれにそんな目をした人間はいない。
いじめられもした。親からは人として生きる権利は守ってくれたものの愛情を注がれることはなかった。
そんな俺の唯一の拠り所が現在の相棒の進化前、リオルであった。
彼は種族柄波導を感じることができる。が、それを練ることができなかった。ルカリオに詳しい人から聞くと、波導の総量が大きすぎてリオルはおろかルカリオになっても制御がままならないだろうという言葉を受けていた。
彼をゲットした人は例外なく彼を捨てた。ルカリオ以外で”はどうだん”を使えるポケモンは少なく、またルカリオという種族が絶大な人気を誇ることから、「自分の指示で”はどうだん”を撃たせたい」という願望を持つ人は多い。しかし、このリオルは進化しても”はどうだん”を使えない。それが分かった瞬間切り捨てる。
身勝手なことだ。
だからこそ俺たちは惹かれ合った。お互いに色眼鏡を通して見られてきたからお互いを素直に見ることができた。――初対面では流石に驚き驚かれたが。
対戦後。
「……すまなかった」
「分かってくれるならいいさ。疑問に思うのも仕方ないしな。俺の方こそ悪かった」
知らない相手からしたらその疑問は当然のもの。お互いに謝罪をして終わらせる。
対戦相手の青年はアラン。パートナーをリザードンとして修行に出ているそうだ。またとある事情からメガシンカができるトレーナー及びポケモンと多く戦っているとのこと。俺とバトルをしたのもその辺の事情があるのだが、あいにくメガストーンは持っていてもキーストーンがないのでお互いを鍛えるためにも普通のバトルを行った。…結果ああなってしまったのだけれど。
「キーストーンさえあればメガシンカはできるんだがなぁ……」
「その口ぶりだとやったことはあるんだな?」
「あぁ。さっきも言った通りこのルカリオは少し事情があって”はどうだん”が使えない。メガシンカしたら使えるかもしれないと思ってやっては見たが……」
メガシンカしてもダメだった。”はどうだん”を使うために波導を練り始めた瞬間暴走しメガシンカ強制解除。以後波導を安定させられるようにいろいろ研究しているところである。
メガストーンを持ったままなのは、あれがあると波導の流れがある程度安定する(ルカリオ談)からだ。
「それとあのピンボール?というのはなんだ?」
「あれか?波導を制御するために練習したんだ」
「現状あれが精一杯なんだと。あんまり無理して体壊しても嫌だから少しづつ頻度と量、大きさを増やしてるところだ」
「なるほど…いや、真似はできないな。あそこまでの身のこなしは付け焼き刃でどうにかなるものじゃないし失敗したら危険すぎる」
ちなみに同じ技をほぼ同じ練度で使えるポケモンがもう一匹いる。あちらは特性により自身を加速させていくので、ルカリオより瞬発力は劣るものの最大速度はルカリオを超える。
「ところで、カロスリーグには出場するのか?」
「現状はそのつもりだ。ある意味育ちはカロスだし、地元の大会には出たいからな。バッチは既に集め終わってる」
バッチ自体はルカリオの修行のためジム周りを進められていたので同時に集めた。
とはいえ真面目に優勝を目指しているわけではない。自分の、自分たちの経験がどこまで通用するかが知りたいからだ。
「もう一戦やりたいのだがいいか?」
「俺は構わないが…何故?」
「純粋に興味が湧いた」
なら、こっちも真剣に行かなければ。
その日、そこのポケモンセンターのバトルフィールドは荒れ地と化した。当然俺たちは怒られ、整備が終わるまでそこから離れることはできなくなった。
要望がない限り続かないよ