中編集 ラブライブ 虹ヶ咲   作:カーテンと手袋

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受胎告知 (天王寺璃奈3 完)

ここから先、引きちぎられたような跡があり、ぽっかりと物語は空白になってしまっていた。最後の一枚に目を通すと、破られたほかに数枚の原稿が紛失していることが分かった。起承転結の承に辿り着いた物語が残り数百文字で完結するとは考えづらい。これは意図的に破棄されている。これを書いた誰かか、別の誰かか。断言は出来ないけど、高い可能性で後者だと思う。それはこの最後の一枚に著者の意見が散りばめられていて、読み手の思考に必ず植え付けてやろうという意志を感じるからだ。

 

『何もかもが変わってしまった。数え上げるのも億劫になるくらいに、変化とは突然に流れ込む。私は、あそこから動かず、慎ましく生きるべきだった。茅葺き屋根の家の半径1キロをテリトリーにして、外界を拒み続ければよかった。そうすればこんなことにはならなかったはずだ。

急な出来事が起こって、大切な人が死んでしまった。

私の大好きな仲間達が、友達がいなくなってしまった。

どうしてこんなことが起こってしまったのだろう。私の運命は初めから決まっていて、そのレールを眺めているしかない?

だとしたら、きっと私の元にもやって来る、だから……

私はこんなものを書いている。このように幕が閉じた物語を、再度上演に運ぶ力など私にはない。この小さな気づきが、読んだあなたに気づきを与えて、それをまた伝えて、新たな気づきを……

出来ることはこれだけ。

あなたはそこにいない?

私はそんなことを望んでいます。』

 

深呼吸。確かに肺を潤す風を感じながら、今度は空になるくらいに思いっきり息を吐いた。それから腕を空高く上げ、体を伸ばす。ゼロになろう。私は思考を消した。そしてゆっくりと、再起動をするようにもう一度息を吸った。

読み手によっては支離滅裂に受け取れるこの一枚。私にはこれが宣告に似た恐怖を煽るツールになっている気がしてならない。何か不幸が起こる。いや、もう既に突き落とされた私に、どんな不幸を与えるというのだろう。

歩夢さんが飛び降りて、侑さんは事故に遭って、愛さんは車に轢かれて。目元が熱くなり、鼻を啜った。

ーー私は確かに覚えているはずだった。

でももう良い。これで何回目だろう。反芻も反復も私を苦しめるだけだというのに。私は読み終えた紙を鉄のような箱にしまい蓋を閉めた。そして、箱の形に空洞ができた土に箱を差し込み、周りに盛られた土を被せる。例え手が汚れても、こんな物は埋めてしまいたいと思った。

ーー何かの作用がぽっかりと記憶に穴をあけている。

いつの間にか、はんぺんは姿を消していた。夕暮れ。歩きながら夜となり、差し込む街灯の光や車のライトに当てられ、やがてうつむく塵となる。家の中は沈黙。ドアのロックを外し、私はまた慣れ親しんだ一人となった。

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