「バジス、お前はあっちの山猫の相手をしてもらうつもりだが……何か異論は?」
「そもそもメの俺がズのお前に従わなければ行けない理由が分からない」
「……ならばガドルとタイマンするか?」
「……遠慮する」
ゴオマに言われたバジスは渋々と言った感じでミッテルトの方に歩いて行った。
「勝手に決めないでくれるかなッ!!」
黒アーシアはそう叫びながら手に持つホロスコープススイッチを押した。
そうしてその姿を双子座を模したゾディアーツ、ジェミニ・ゾディアーツへと変化させるとゴオマに接近しその首に向かって蹴りを放った。
「それは悪かったな。だが、我慢するんだな後輩」
「……貴方、人間じゃ無さそうだけど何なの?」
黒アーシアの放った蹴りは生身の人間が受ければ簡単に骨を折る威力だったがゴオマはその攻撃を左腕で防御していた。
「当然だ。さっきも言っただろ後輩、とな」
「その後輩っての……ムカつくんだけど?」
「事実だからな」
そう言ってゴオマもその姿を蝙蝠を模した何処か貧相な姿の怪人体ズ・ゴオマ・グ通常体へと変化させた。
「何その姿?」
「貴様らと同じ怪人としての姿だが?」
「ふーん」
ゴオマの答えを聞いた黒アーシアは少し考えた後嗜虐的な笑みを浮かべた。
「私達と同じって事は人間よりは頑丈なのよね!?」
「答える必要は無いが……貴様、ドSか?」
若干興奮気味に聞いてきた黒アーシアにゴオマがそう言うと黒アーシアは嗜虐的な笑みを続けたまま大きな声で言った。
「そうよ?白い方は知らないけど私は自他共に認めるドSよ!!」
我慢の限界だったのか武器の一つである赤いカード、リュンケウスを複数取り出すとそれをゴオマに投げつけた。
ゴオマがそれを鬱陶しそうに払いのけようとした瞬間
「何ッ!?」
「アハハ!!!!今の声凄く良いよ!!!もっと聞かせて!!!!」
カードが爆発を起こしゴオマは驚きと苦痛の混じった声を出しながら後方に下がった。其処に黒アーシアは追撃として更にリュンケウスを投げつけた。
「くっ……(グロンギの再生能力を利用すれば色んな攻撃のダメージも軽減できるが爆発には弱いらしいからな。実際、ドルドはそれで死んだと聞いた。だが、ガドルはそれでも死ななかったとも聞いた。……とすれば究極体ならばどうにかなるか?)」
ゴオマは攻撃を避け、時には空を飛んで逃げながら桃花から聞いた話を元に作戦を考えていた。
元来のゴオマからはありえない程の思考速度だが”ダグバ”の力を手に入れ、物にした恩恵か前よりも知能が上がっているからこそ出来る事だった。
「……やはり難しいか」
「何がかな!蝙蝠男!!?」
「お前を殺さないように手加減しながら勝つ方法を考えることだが?」
ゴオマの発言を聞いた瞬間、今まで楽しげにしていた黒アーシアの表情が凍った。
「……もう一回言ってくれる?」
「お前を殺さないように手加減しながら勝つ方法を考えることだが」
「そう……人をおちょくるのも大概にしとけよ糞蝙蝠」
黒アーシアは赤と青のカードを取り出し、ゴオマの四方を囲むように投げた。
「この程度……」
ゴオマがそのカードから逃れようと移動しようとした瞬間
「爆ぜろ!!」
「ぐっ!?」
周囲にあった青のカード、イーダスが爆発しゴオマはその爆発に巻き込まれた。
「私の持つイーダスは任意で爆発するタイミングを選べるんだっての。リュンケウスだけを避けれて勝ち誇ってんじゃないっての」
黒アーシアはぶっきら棒に言いながらゴオマの状態を確認しようと近づいて行った。
「……あ?」
その黒アーシアの手が爆風の中から出てきた先程のゴオマとは違う腕の誰かに掴まれた。
「アラリチョグギビンッデンジャネェゾガキガ(あまり調子に乗ってんじゃねぇぞガキが)」
先程までとは違う言語と共にそう言った誰かは軽々と黒アーシアを持ち上げると地面に投げつけた。
「さっきまでと大分雰囲気が違うけどそっちが本性?」
受身を取って地面に着地すると黒アーシアは直ぐにそんな質問を投げた。
「デレェビバタスヒズヨグザバギンザ ガバァ……ホンギョグンヒオズッデオボソザ バァ(てめぇに語る必要は無いんだがなぁ……本性の一つって所だなぁ)」
「うわー、全然分かんないんですけど……ウザイから死んでよ」
爆風が晴れると同時に黒アーシアは声の聞こえていた場所に向かってリュンケウスとイーダスの混じったカード群を投げつけた。
「……ブスギバァ(……ぬるいなぁ)」
それらを声の主、ズ・ゴオマ・グ通常体よりも後ろ髪が伸び、体毛も濃くなりそれに伴ってか全体的に黒くなったズ・ゴオマ・グ強化体はその言葉と共に飛んできていたカード郡に向かって手を払った。その時の拳圧で飛んできていた全てのカードは地面に叩き落されてしまった。
「いやいや、拳圧で私のカードを全部落とすとかあんた化け物?」
「ゴラエモバベモンザ ソグガァ(お前も化け物だろうがぁ)」
「いや、だから分かんないっての」
「あれ、まだ終わって無かったんっすか?」
二人がお互いに睨みあっていると別の場所でバヂスと戦っていた筈のミッテルトが戻ってきた。
「……バヂスの奴は負けたのか?」
「バヂスが誰かは知らないっすけど、さっきの蜂見たいな怪物なら私が叩き落としたっすよ。」
ゴオマは相手に聞くためかグロンギ語を止めて普通の言語で質問し、相手の返答にため息を吐いた。
「どうせ相手が飛行して驚いてる隙にでもやられたんだろぉが……情けなさすぎる」
「それで黒いアーシア、手伝いは必要っすか?」
「私の超新星を使えば余裕だから必要ないー」
黒アーシアの返答にミッテルトはぎょっとした顔になった。
「それは駄目っすよ黒いアーシア!!それを使うのは儀式の時だけってレイナーレ様との約束っすよ!?」
「……儀式だと?」
ミッテルトの溢した言葉をゴオマはしっかりと記憶に焼き付け、桃花に伝えようと心に決めていた。
一方、それを言われた黒アーシアは苛立たしそうにしながらミッテルトを睨んだ。
「前々から思ってたんだけどさー……何で私があんたらに従う必要が有る訳?」
「そんなのは決まってるっすよ。あんたを誕生させる切欠のスイッチを渡したのが私達だからっすよ」
「……アハハ、面白いこと言うなー」
黒アーシアは口元に軽い笑みを浮かべると続けて言った。
「私が誕生したのはスイッチを貰う前から、つまり従う義理は無いんだけど?」
「どういうことっすか?あんたはアーシアがスイッチを押した時に初めて出てきたじゃないっすか」
「それは白い方の秘密だから内緒ー。……ま、超新星は貴女のお願い通り使わないであげるよ」
黒アーシアはそう言ってから再度ゴオマに振り向いた。
「その代わり、あれを倒すの手伝ってよ」
「了解っすよー」
「…………(2vs1は流石に厳しいだろうが……究極体を使う程ではないか)」
ゴオマ達が再度戦おうとした瞬間、黒アーシアが地面に膝をついた。
「アァ?」
気合いを入れ直したゴオマだったが黒アーシアの行動に呆気に取られた声を出してしまった。
「ど、どうしたっすか!?」
「白いのが目覚めそう。あー、もう押さえるのめんどくさいから後の説明はお願いねー」
黒アーシアは投げやり気味にそう言い、ゴオマの方を見た。
「貴方との決着はちゃんと着ける、だから私以外の奴にやられないようにー。オッケー?」
「…………」
言われたゴオマはクウガに夢中だったダグバやゲゲル中のガドルの事を内心で思いながら返事を返した。
「てめぇにも負けるつもりは無ぇがな」
「上等、絶対泣かせてやるわ」
そう言った後、黒アーシアの姿がジェミニ・ゾディアーツから人間の姿に戻った。その時には色が変化していた服装が元の色に戻っていた。
「アーシアに戻ってるっすね……えーと、私的には帰りたいと思うんっすけどそちらはどうっすか?」
ミッテルトはアーシアを一瞥してそう判断すると変身を解除してゴオマに聞いた。
「別にそれで構わん。俺達の本来の目的は兵藤一誠を生かす事とお前達の足止めだったからな」
ゴオマも変身を解き最初の時のある程度は礼儀のある話し方で言った。
「一応感謝はしとくっすよー。ていうかカラワーナはもう少し軽くならないっすかね」
ミッテルトはアーシアとカラワーナを背負うとそんな愚痴を言ってその場を去った。
「さてと……バヂスを回収するついでに桃花に連絡でも入れておくか」
ゴオマはそう言うと懐から蝙蝠のストラップのついた携帯電話を取り出して目的の番号を電話帳から探して電話を掛ける。
『どうかしましたか?』
「お前の指示通り堕天使連中は追っ払っておいたぞ。後、バヂスが負けた」
『ご苦労様ですよ。ていうかあの変態は負けたんですね』
電話の向こうからでも呆れた様な声が漏れるのを無視してゴオマは話を続ける。
「それと兵藤一誠は例のグレモリーの所に届いたか?」
『ええ。先程メビオさんから受け取りましたよ。今頃ありがたい説教を受けていると思いますよ?』
「そうか……ん?」
今の桃花の言葉を聞き流そうとしていたゴオマだったが一つの単語を聞いた瞬間耳をしっかり傾けた。
「桃花……今何処にいる?」
『企業秘密ですよゴオマさん』
桃花はそう言うと電話を切ってしまった。
「おい、こら!……はぁ」
再度電話を掛けようとしたゴオマだったがめんどくさくなったのか近くの茂みに気絶していたバヂスを見つけるとそれを引きずって帰って行った。
個人的に不完全燃焼な回です。ゴオマさんはどうしても戦闘方法が地味になってしまうし究極体もおいそれと使えないし……個人的には武器を持たせたいけど批判が多そうだから今のままで行くしかないか……。
後、バヂスさんは暗殺特化だと自分は思います。原作でも針を回避されて驚いてる所にブラストペガサスをくらいましたし、今回は相手が飛べるとか知らなかったから負けたんです。最初から暗殺に専念してたらミッテルトにもか、勝てたし(せめてもの言い訳)