夢を見ていた。地上を照らす太陽は地に堕ち、命あるものを支える大地は真っ二つになっていた。そんな地獄の中で透き通った白と濁った黒が激突していた。それらが激突するたびに大地の裂け目が広がっていった。
「……!?」
「……!!」
黒が咆哮するとその周囲に彼と同じ色の剣、槍、矢が現れ白に向かって放たれた。白の体から鮮やかな赤が吹き出した。が、白は甲高い声を上げ、その手に白い剣を生成し黒に向かって駆け出す。黒もその手に剣を生成し、上空に振り上げる。その二人のすぐ近くの赤い薔薇はその光景を残念に思い、膝をつき泣いている蛇はその顔を上げた。……唐突に視界が暗くなった。何も見えなくなった私に唐突に声が聞こえてきた。
「…………」
聞いたはずの声を思い出せないまま私の意識はどんどん浮上して行った。
待ってください!貴方の名前は……
「戦士…………だ」
その言葉を最後に私の意識は途絶えた。
「ッ!!夢……ですか。随分と不可思議な夢でしたね」
私は額にかいていた汗をぬぐいながらベッドから出て時計を確認します。
「3時ですか。変な時間に起きてしまいましたね。こんな時間じゃグムンさんも起きていないでしょうし……自分でやりますか。インスタント食品があるといいのですが」
キッチンに向かって歩きながら先程の夢のことを思い出そうと頭を捻る。
「……駄目ですね。全く思い出せません。何か大事な内容だった気がするのですが……おや?」
キッチンに行く途中で外から金属がぶつかる音が数度聞こえてきました。しばらくすると何かが倒れる音がしました。
「どうやら何か起きたみたいですね……。やはり、この町にいるのは正解ですね。次から次におもしろいモノがやってきますね」
あの後、カップ麺を作った私はそれを早めの朝食とした後で伝説との戦いの記録の新しく増えたページを整理しながら夜明けを待った後に学校に登校しました。
「あれ、何で教室でのんびりしてんの桃花?」
「はい?」
私が教室でのんびりしていると桐生藍華が私に声をかけてきました。
「いや、来週には部活対抗の……そっか。別に桃花には関係なかったね」
「そうですよ桐生さん。何を勘違いすればそうなるんですか」
「いや、桃花って結構オカ研に行ってるじゃん?だから一瞬部員かと勘違いしちゃってさ」
「ああ、そういうことですか。別に構いませんよ。入り浸ってたのは事実ですし」
そういえばそうでした、来週は球技大会でしたね。窓の外を見てみると丁度グレモリー眷属のメンバーが練習をしていました。あ、木場祐斗がボールを取り損ねましたね。珍しい
「手伝ったりはしないの?」
「逆にしないでほしいそうですよ。流石に部外者を参加させるのは問題でしょうし、元から手伝う気はありませんでしたよ」
一誠は忘れていそうですが私と彼女達は本来は敵同士ですからね。今まで仲良くやってたのがおかしいのですよ。まあ、リアス・グレモリーは未だに甘いのでどう思ってるのかわかりませんが。
「さてと……行きますか」
先程、リアス・グレモリーからメールが届き今日の昼休みに部室に来て欲しいと呼ばれていた私は一誠とアーシア出て少ししてから教室を出ようとしました。
「あれ桃花もどっか行くの?」
「ええ、少し野暮用がありましてね。桐生さん、今日はお一人で?」
「そうなのよー。アーシアはさっき彼氏と一緒にオカルト研究部の部室に行っちゃったし、レイはいつのまにかいなかったし、凜ちゃんは今日も仕事だもんね」
ああ、そういえば彼女は一誠のことをアーシアの彼氏って言ってからかってましたね。まあ、いずれはそうなりそうですけどね。
「凜ちゃんもここ最近は忙しいですからね……では、私はこれで」
「ああ、うん。ごめんねー、引き留めて」
「いえいえ」
さて、凜ちゃんの方に任せた案件はどうなりましたかね。
「凜ちゃん、今日の仕事の件なんだけど……」
「マネージャーさん♪」
駒王町にあるライブ会場の控え室に入ってきた自身のマネージャーに対し、今話題沸騰中でいずれは世界に進出することを期待されているアイドルの伽部凜は笑顔で近づき
「少し、眠っててくれるかな?」
「う゛!」
彼の首に氷の針を突き刺した。
「うん、桃花ちゃんから頼まれていた実験も成功だね。まさか、神器で現出させた能力は武具に宿せるなんてね」
手元にあるおもちゃの銃をなでながら凜はそう言い、後ろにそれを向けた。
「で、何の用かな、グムン?ズのあなたが私の背後に立つとか烏滸がましいんじゃない?」
「……相変わらず下の者を見下しているんだなゲラグ。トウカの前でのあれは演技か?」
凜の後ろにはいつの間にやってきたのか怪人体のズ・グムン・バが立っていた。その際に呼んだ桃花の名前のイントネーションは日本語とはどこか違っていた。
「別にー、桃花ちゃんには従ってるよー?だから、彼女の前では最低限の良い子を心がけているだけ。大体、蘇ってすぐにしたのが日本語の言語の勉強とかそれでもグロンギー?」
「……ならば一つ質問だ」
凜の挑発にもとれる発言をされたグムンだったがその言葉を聞いていないのか、あるいは無視したのか自分の言葉を発した。
「何?」
「貴様は自分の最後の光景を憶えているか?」
「それは……」
「言い換えよう。……お前の憶えているのはクウガに封印された光景か?それとも殺された光景か?」
グムンが言い終えた瞬間、彼が立っている横の壁にクラゲの触手が叩き付けられた。
「バビグギギダギグムン?」
「ゴセジャゴラゲクウガビボソガセダザズザ。ザガ、ボグギデズダダヂジョリガゲダダ。ゴセパゴセゾトウカンゴバゲドゴロダダ。ゴセパギラロバパサン」
グロンギ語でグムンはそう言うと、人間体に戻り近くの椅子に座った。
「しかしだ、全員がそうなのか?」
「……どういうこと?」
凜も銃をしまい、グムンの話に耳を傾けた。
「恐らくだがトウカにはまだ何か秘密がある。あの感じからして本人も知らない何かがな……それを恐らくダグバは知っているのだろう」
「根拠は?」
「俺自身だ」
「はあ?」
グムンの発言に凜は呆れた顔でグムンの顔を見た。
「冷静に考えろ。以前の俺はここまで知性的だったか?」
「……まあ、今が知性的かどうかは置いといて。確かに前のあなたは知性派とは決して呼べなかったねー」
「独断専行でゲゲルを始めたあげくに殺された俺がリントの言葉を学ぼうとするか?これはどう考えても俺の性格とは一致しない行動だ」
「結局、何が言いたいわけ?」
グムンは懐からメモ帳を取り出すと凜に向けて投げ渡した。
「何、これ?」
「長野県にあるとある遺跡の所在地だ。お前のアイドルとしてのコネとその小銃があれば密かに調査ができるはずだ」
グムンの発言に嫌そうな顔をしながら凜はスマホで書いてある住所の場所をネット検索した。
「九郎が岳遺跡?ここに何かあるの」
「俺も調査の際に偶然見つけたのだがな、この遺跡のことをゴウマに聞いた結果わかったことだが……ここは俺達が封印されていた遺跡だ」
「は?」
グムンの発言に驚いた凜がスマホを落としそうになったが寸前のところでキャッチしながらグムンに詰め寄った。
「ちょっと、待って。ここは私たちが生前いた場所じゃないでしょ?だったらその遺跡があるわけ……」
「その話はトウカから聞いた物ではないのか?それに調査をしていて感じたが一部の悪魔は俺達のことを知っている様子がした」
「………」
グムンのその発言に黙った凜はメモ帳のページを破りそこに電話の番号とメールアドレスを書いた。
「これ、私のガラケーの番号だからこれについての会話はこっちに送って」
「わかった。それと本来の要件だが……」
「ああ、そっちはもう調べ終わったよ。ファンの子で趣味がオカルトの子の情報だけど信憑性は高いよ」
凜の言葉にグムンは黙って聞きながらメモ帳に文字を書いていた。
「それで、うちに勧誘をしてきた馬鹿はどこの誰だ」
「三大勢力のどこからも弾かれた連中が集まってできた組織で確か名前は……
※後半のグムンとゲラグの会話は今はそこまで重要じゃないです。
翻訳してないグロンギ語に関しては感想で要望多かったからここか、次の前書きに掲載します。それから補足として桃花の神器は設定上自動でアップデートされるのでバグスターやスマッシュの能力も使用できます(敵で出すかは未定)