堕天使の大冒険   作:VerT-EX

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3話[堕天使はおもいついた!]

次の日、起床。朝ごはんを手早く済ませ、身支度を整えると焚き火を消した。

 

「忘れ物は無いですね?」

 

「はい、先生!」

 

「ありませんよ、アバン先生。」

 

改めて自己紹介も終えて、進み出すこととなった。きりんのおうぎもきちんと持っている。

 

「では、行きましょ……ん?エルくん、それはあなたの荷物ですか?」

 

「へ…?」

 

荷物は持っていなかったはずだ。見覚えのない袋があるのが見えた。どういうことかと思いながら袋へ近寄り、中身を覗く。

 

中にあったのは、黄金に輝く実が7つ。洋梨に近い形をしているが、全くもって別物。

これを()は知っている。天使界の世界樹に成る奇跡の実。口にしたモノの願いを叶える、天使たちの悲願だった実。

 

 

 

 

 

─────『女神の果実』。

 

 

それは、もう無いはずだ。いや、そもそもこの世界に存在するはずも無い。しているはずがない!

例外の実も、私を追い詰めるために「奴」が使ったはずだ。なら、これはどういう……?

 

「エル?おい、どうしたんだ?」

 

ポップに声をかけられて我に返る。慌てて袋を括り、持つ。

 

「あ、いや……自分の荷物、てっきり無くなったと思っていたからビックリして……」

 

「ならいいんだけど……」

 

「2人共〜!日が落ちる前に森をぬけますよー!」

 

女神の果実については歩きながら考えよう。とにかくと思い、先生の方へと向かう。

 

 

─────

 

 

数時間歩いて、森を抜けると草原へ出た。海も比較的近いらしく、潮風が吹いてくる。

少し先に村か集落かが見える。今回の目的地はそこだそうだ。

「風がしょっぱい……」

 

「海が近いですからねぇ。これから行く村は塩漬けの魚が美味しいんですよ?」

 

「魚!」

 

「そういえば最近、肉ばかり食べてましたから、魚は久しぶりになりますねぇ」

 

「あの……興味で聞くのですけど、先生とポップってどのくらい森に居たのですか?」

 

「んー……どのくらいでしたっけ?ポップ」

 

「えっ?!えーっと……4日くらい?」

 

4日くらい肉ばかり食ってたらしい。そりゃあ魚食べたくなるよね。

 

「エルくんはどうです?魚好きですか?」

 

「え、あ、はい。自分、スシとか好きですよ。」

 

「スシ……ああ、遥か極東に存在すると言われている島国に伝わるという料理ですね。珍しいものが好きですね?」

 

先程から『エル(くん)』と言われているが、これに関しては「エルギオスと呼ぶのは長い」という話から、こう呼ばれることとなったものだ。悪くないけど、ちょっとこしょばい。

尚、ポップとは敬称なしの互いに呼び捨てで行くということで同意した。

 

で、村について宿をとり、荷物を置いて砂浜へ来た。

ちなみに自分の荷物に関しては小さな袋のようなものなので、自分で持っている。質量保存の法則とか無視してんのかな、この袋。

 

「んーー、潮風がいい匂いですねぇ!そう思いませんか?ポップ、エルくん?」

 

一足先に来ていた先生がラジオ体操に近い運動をして待っていた。

 

「えっと……先生?」

 

そう声をかけると、先生は体操をやめてこちらへ向き直った。

 

「道中詳しく聞きましたが、エルくんは呪文の使い方が分からないのですよね?何を使っていましたか?」

 

「は、はい。バギ系とメラ系を使っていた記憶はありますが……」

 

「ふむふむ……そ!こ!で!魔法の使い方を思い出そう作戦です!」

 

「「作戦??」」

 

自分もポップも同時に首を傾げた。

 

曰く。『使っていた記憶があるなら、何かの拍子に思い出せるかもしれない。だから色々試す』のだそう。

太陽はまだ真上手前。時間はある。

 

 

作戦一、お手本。

 

 

「魔法の使い方は、根本的にはほとんど同じです。例外はありますが、実際に見れば思い出す……かもしれません!」

 

と、言うことで。まずはポップが魔法を使っているところを見せてもらうことになった。特にメラ系は彼の得意分野だから、ちょっと希望は見える。

 

「……ってことらしいから、頼みます。」

 

「出来ますよね、ポップ?」

 

「もっ、勿論ですよ!エル、見とけよ!」

 

用意された的へとポップが向き、魔法の杖を向ける。片手サイズなのでスティックか。

 

「メラゾーマ!」

 

ゴウ、と音を立てて大きめの火球が的へ飛ぶ。石製の的は燃え上がる。

 

「どうですか?」

 

先生に言われたものの、こう、分かるような分からないような。

というか、そもそもにおいて使い方が違うような気がする。

ポップはほぼ無詠唱で魔法を放っているのだが、こう……ドラクエシリーズだと、あの「テレレレテン」という効果音の後に魔法が使われている。つまり、何かしら詠唱を挟むのだ。

 

「うんと……そもそもにおいて、使い方が違うような?」

 

「ほう、使い方ですか?」

 

「はい。なんか……」

 

説明しにくいため遠回りしつつも、何とかして2人へ説明する。テレレレテンとかどう表現すればいいんだ。と、かなり苦戦した。

 

 

で、それを踏まえての作戦二。再契約。

 

「もしかしたら契約が消えてる可能性もありますからねぇ。まずはバギ系と契約してみましょう!」

 

 

契約って消えるの?とか思ったが、そこは突っ込まない方がいいだろう。

 

半裸になり、サササッと用意された契約の魔法陣の上に乗る。魔法陣が光ったかと思えば、ふわっとした感覚に襲われる。

 

「契約成功ですね。」

 

「えっ、今ので成功なんです?」

 

「そうですよ?」

 

謎の沈黙。とりあえず服を着る。

ポップから「まさか契約を知らないのか、お前……?!」と引かれた目で見られたがスルー。

 

 

「で、は!エルくん、とりあえず使ってみましょうか!」

 

「は、はい?!」

 

海へ向かってバギを撃ってみてくださいと言われる。いや、その撃ち方が微妙なんですよ先生?!

 

とは思うものの、何かしら変わったかもしれないしなぁ…と思いながら、きりんのおうぎを構えて海の方を向いてみる。

そう、イメージするのは常に最強の自分だとどこぞの赤い人は言っていた。なら、できると思えば多分できる、気がする!

 

ひとつ息を吸い、扇を開くと同時に叫ぶ。

 

「"バギクロス"!」

 

途端、海の方へと強烈な風の刃が吹き抜けた。特にXの形に重なった刃は、海をその形に切り裂いた。無論、海なのですぐにもとの形に戻るが。

 

そう、できちゃった。バギクロス、いきなりできちゃったのである。というか自分はどうして突然上位の魔法を使おうとか思ったんだ?!せめてバギにしろよ数秒前の自分!!これでなんにも出なかったら虚無だぞ虚無!!

 

先生とポップの方を見れば、呆然としているのが見えた。いや、多分先生は正確には呆然としているというかは驚いているという方が正しいのだろう。

 

「えーっと……テヘペロ?」

 

「て、テヘペロじゃねえよ?!エル、お前、バギクロスって?!」

 

「メラゾーマ使えるポップに言われたくは無いな……」

 

「ま、結果オーライってやつですねぇ!」

 

カラカラと笑う先生に毒気を抜かれ、自分とポップは互いに向き合って苦笑いした。

 

その後、その日は瞑想やモンスターについての講義(とは言っても、自分はほとんど覚えていたのでほぼ復習状態である。)があって、一日が終わった。

 

 

魚の塩漬けを使った料理、めちゃくちゃ美味しかった。




更新が!!モチベが!!不定期すぎる!!
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